ナノシートトランジスタ

Nanosheet (Gate-All-Around) Transistor (GAA)

チャネルをゲートで全周から囲むトランジスタ構造を、水平なシートを縦に積層して実現したもの。imecは、チャネルがhigh-k/メタルゲートで完全に囲まれるためFinFETより短チャネルでの制御性が高く、同じ占有面積でより大きな駆動電流が得られると説明している。3nm世代以降のスケーリングの前提になっている。

詳細

概要

導電チャネルをゲートで全周から囲む構造(ゲートオールアラウンド、GAA)を、水平方向のシートを縦に積層して実現したトランジスタ。imecは、FinFETではゲートがチャネルを部分的にしか覆わないのに対し、ナノシートではチャネルがhigh-k/メタルゲートで完全に囲まれるため、ゲート長が短くなってもチャネル制御性を保ちやすく、短チャネル特性とリーク電流の面で有利になると説明している。

技術的な要点

製造はSiとSiGeをエピタキシャル成長で交互に積んだ多層膜から始まる。SiGeは犠牲層で、後工程で選択的に除去してシートを解放する。imecが難所として挙げるのは、ゲートとソース/ドレインを分離しつつ寄生容量を抑えるインナースペーサの形成、残渣を残さずSiGeを除去し、かつシート同士の貼り付き(スティクション)を避けるチャネルリリース、そして狭くなったシート間隔でのメタルゲート置換である。シートの幅を変えることで駆動能力を設計できる点もFinFETとの違いになる。

産業での位置づけ

imecの整理では、FinFETはセルの微細化に伴いフィン本数を減らさざるを得ず、その分フィンを高く薄くする必要が生じて駆動電流の低下とばらつきの増加を招いた。ナノシートは同じ占有面積でフィンより大きな駆動電流を得る手段として位置づけられ、3nm世代以降のスケーリング継続の前提になっている。選択エッチングとALDに要求される精度が上がるため、これらのプロセス技術を持つ装置・材料企業に影響が及ぶ。