中性原子量子コンピュータ

Neutral-atom quantum computing

レーザーで作る光ピンセットの配列に中性原子を一つずつ捕捉し、量子ビットとして使う方式。リュードベリ状態の強い相互作用(リュードベリブロッケード)でもつれを生成する。配列の形状はホログラフィック手法で任意に設計でき、ゲート回路によるデジタル方式とハミルトニアンを設計するアナログ方式の双方で計算できる。

詳細

概要

Henrietらのレビュー(Quantum 4, 327, 2020)によれば、光トラップの配列の中で単一粒子レベルの制御が達成されたことにより、コヒーレンスやもつれといった量子的性質を保ったまま計算を行えるようになった。トラップ用のレーザー光を直径1マイクロメートル程度の複数のスポットに強く集光したものが光ピンセットである。

技術的な要点

高く励起された電子状態(リュードベリ状態)では電気双極子モーメントが基底状態の千倍規模まで大きくなるとされる。この強い相互作用により、1個目の原子がリュードベリ状態に励起されると2個目の励起が条件付けられるリュードベリブロッケードが生じ、これを2量子ビットゲートに用いる。光ピンセットの数と配置はホログラフィック手法によって1次元・2次元・3次元の任意の幾何形状に設計できる。

産業での位置づけ

同レビューは、量子ビットを増やすには光ピンセットの数を増やせばよく新しいチップの製造を伴わない点を中性原子方式の主要な利点の一つとして挙げ、100〜1000量子ビット規模への本質的な拡張性があるとしている。計算はゲート回路を組むデジタル方式でも、ハミルトニアンの時間変化を設計するアナログ方式でも実行でき、最適化問題から量子系のシミュレーションまで扱えるとされる。