Neutrophil serine proteases (NSP)
好中球セリンプロテアーゼ(NSPs)は、好中球のアズール顆粒に主に蓄えられるタンパク質分解酵素の一群である。出典の総説では、好中球エラスターゼ、プロテイナーゼ3、カテプシンG、NSP4の4種が挙げられている。いずれも不活性なチモーゲンとして合成され、主にジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1、カテプシンC)によって活性化される。
活性化は好中球が骨髄で成熟する過程で起こり、成熟して循環に入った好中球はすでに活性型の酵素を顆粒内に保持している。このため、成熟後にDPP1を阻害しても既存の顆粒内酵素には作用しない点が、薬効発現の時間経過を考えるうえで重要となる。生体内では、直接的なタンパク質分解に加え、好中球細胞外トラップ(NET)の形成を介した経路でも組織傷害に関与するとされる。生理的条件下では病原体の殺傷や組織修復に寄与する。
出典の総説は、過剰なNSP活性がCOPD、嚢胞性線維症、気管支拡張症、α1アンチトリプシン欠損症などにおける組織傷害の主要な媒介因子であると述べている。個々の酵素を直接阻害する薬剤に加え、上流のDPP1を標的として複数のNSPをまとめて抑える戦略が呼吸器領域の創薬で採られている。