ヌーナン症候群

Noonan Syndrome

身体の多くの領域に影響が及ぶ遺伝性の疾患である。特徴的な顔貌、低身長、先天性心疾患、出血傾向を示す。原因遺伝子のうち PTPN11 の変異が全症例の約半数を占め、SOS1、RAF1、RIT1 がこれに続く。これらの遺伝子はいずれも細胞の分裂と成長を制御する RAS/MAPK 経路で働くタンパク質をつくる。

詳細

概要

米国立医学図書館の MedlinePlus Genetics は、ヌーナン症候群を身体の多くの領域に影響を及ぼす状態と説明している。特徴的な顔貌、成長の問題、心臓の異常、出血の問題を伴う。

技術的な要点

顔貌には、間隔の広い淡い青色の眼、低い位置にある耳、鼻と口の間の深い溝といった特徴がある。低身長は患者の50〜70パーセントに見られる。心臓については、多くの患者が何らかの重篤な先天性心疾患を持ち、なかでも肺動脈弁狭窄が多い。このほか胸郭の変形、出血性の異常、男性における思春期の遅れが現れ、がんの発症リスクも高まる。同ページは、この疾患を持つ小児では白血病その他のがんを発症する危険が8倍に高まるとしている。原因遺伝子は複数あり、PTPN11 の変異が全症例の約半数を占め、SOS1、RAF1、RIT1 がより小さな割合を占める。これらはいずれも細胞の分裂と成長を制御する RAS/MAPK シグナル伝達経路で重要な働きをするタンパク質をつくる遺伝子であり、変異は多くの場合タンパク質の活性化を持続させてシグナル伝達を乱す。

産業での位置づけ

原因となる変異が特定の経路の構成分子に集中しているため、変異型そのものを標的とする治療の開発対象になる。変異のある遺伝子によって現れる症状の組み合わせが異なることから、遺伝子診断が診療と臨床試験の対象選定の前提となる。