On-orbit refueling
従来の人工衛星は、搭載した推進薬を使い切った時点で軌道保持や姿勢制御が難しくなり、機体そのものが健全でも運用を終える。NASAはISAM(In-space Servicing, Assembly, and Manufacturing)の説明で、多くの衛星は「燃料が尽きた後や技術が陳腐化した後も稼働している高価なハードウェアである」とし、サービス機能として打上げ後の衛星に対する燃料補給・修理・機器更新を挙げている。軌道上燃料補給はこのうち推進薬の移送に相当する。
地上の給油と異なり、微小重力下では液体が容器内で自由に分布するため、気液の分離と液の捕捉、タンク内圧の管理、残量計測が課題になる。移送側と受給側を結ぶには、宇宙機同士を接近・結合させたうえで、流体カプラや遮断弁を含む結合部を漏洩なく接続・切離しできる必要がある。極低温推進薬を扱う場合は、蒸発(ボイルオフ)の抑制と配管の予冷が加わる。加えて、事業者が異なる宇宙機の間で補給を成立させるには、結合インタフェースの寸法・信号・流体規格の相互運用性が前提となる。
NASAはサービス機や燃料デポの艦隊があれば、軌道上の資産は寿命が延び、機器の更新や軌道上インフラの支援を受けられるとしている。燃料補給は軌道上サービスやデブリ対策と組み合わせて論じられることが多く、弁・ポンプ・圧力調整器といった流体制御機器の供給網、および結合インタフェースの標準化が実用化の前提となる。