Oxygen reduction reaction (ORR)
酸素還元反応(ORR)は、燃料電池や金属空気電池の空気極(カソード)で進む反応で、酸性条件では O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O と表される4電子還元が理想である。これに対し反応が途中で止まると、2電子2プロトン移動で過酸化水素が生成する2電子還元となり、エネルギー損失に加えて電解質や電極材料の劣化を招く。したがって4電子選択性の高さが触媒設計の主要な指標となる。
ORRは水素酸化反応(HOR)に比べて反応速度が遅く、固体高分子形燃料電池(PEFC)ではORR触媒の活性がセル性能を支配することが知られている。このため実用セルでは白金または白金合金の触媒が用いられるが、白金は高価かつ希少であり、製造コストと元素戦略の両面から白金を一切使わない非白金ORR触媒の開発が重要とされる。非白金系では鉄やコバルトを中心金属とする有機金属錯体、窒素ドープ炭素、金属-窒素-炭素構造などが検討され、活性点密度、耐久性、質量輸送を両立させることが課題となる。
ORR触媒は燃料電池のコスト構造を左右する要素であり、貴金属使用量の削減は普及の前提条件とされる。同じ反応は金属空気電池の空気極でも進むため、非白金ORR触媒は燃料電池と空気電池の双方に横断的に効く基盤技術である。触媒はガス拡散電極として実装され、単体の活性値だけでなく電極構造に組み込んだ状態での性能評価が求められる。