部分的エピジェネティック・リプログラミング

Partial Epigenetic Reprogramming

リプログラミング因子を一時的にだけ発現させ、細胞の同一性を保ったまま老化に伴う変化を戻す手法。多能性幹細胞まで初期化しきらない点が要点。

詳細

部分的リプログラミングは、OCT4、SOX2、KLF4、c-MYC、LIN28、NANOG といったリプログラミング因子を、mRNA導入などにより短期間(典型的には2〜4日)だけ発現させる手法である。細胞が完全に脱分化して多能性幹細胞になる「Point of No Return」の手前で止める。

細胞の同一性を失わずに老化を戻す仕組み

  1. 早期の若返り — 一過性の発現により細胞老化が速やかかつ広範に改善し、細胞は元の体細胞状態に戻る
  2. エピジェネティックのリセット — 加齢に伴うDNAメチル化パターンが戻り、原著論文ではエピジェネティック時計が約3〜5年戻ったとされる
  3. 同一性の保持 — 細胞同一性のマーカー遺伝子に有意な変化はなく、導入したmRNA以外に多能性関連マーカーは検出されない
  4. 多面的な回復 — ミトコンドリア機能の回復、炎症の低下、幹細胞の再生能の向上、老化マーカーの減少が線維芽細胞、内皮細胞、軟骨細胞、筋幹細胞で確認された