植物育種

Plant Breeding

作物に望ましい形質を与えるため、交配と選抜を繰り返して新しい品種を作り出す取り組みである。農研機構の解説では、改良したい元品種と、目的の形質を持ち交配可能な系統を遺伝資源から探索し、両者を交配して後代を増やし、その中から目的の形質を持つ個体を選抜する手順を踏む。必要に応じて戻し交配を行い、形質が安定して受け継がれることを何世代かにわたって確認する。

詳細

概要

農研機構の解説は、交配育種法の手順を次のように整理している。まず、改良したい元品種と、目的の形質を持ち交配可能な系統を遺伝資源から探索する。次に、元品種とその系統を交配して後代を増やす。そして後代の中から目的の形質を持つ個体を選抜する。元品種が持っていた有用な性質を保ったまま新しい形質を得るために、必要に応じて戻し交配を行う。最後に、形質が安定して受け継がれることを何世代かにわたって確認する。

技術的な要点

同解説は、交配による品種改良と遺伝子組換えによる品種改良の違いを2点で説明している。ひとつは必要な知識で、交配育種では有用な形質を与えている遺伝子がわからなくても改良を進められるのに対し、遺伝子組換えでは働きが判明した遺伝子を特定している必要がある。もうひとつは使える遺伝資源の範囲で、交配育種では交配可能な遺伝資源しか使えないのに対し、遺伝子組換えでは全生物の遺伝子を対象にできる。どちらの方法もゲノムに遺伝的な変化をもたらす点は共通しており、違いはその範囲と精度にあるとされる。

産業での位置づけ

交配可能な遺伝資源の範囲に縛られること、そして形質の安定を何世代かにわたって確認する必要があることが、育種にかかる年数を規定している。逆に言えば、遺伝資源の探索と後代の選抜をどれだけ速く正確に行えるかが、新品種を出すまでの期間を決める。表現型の計測、ゲノム情報の解析、選抜の自動化はいずれもこの工程を短縮するために導入される。野生種を含む未利用の遺伝資源をどこまで扱えるかも、作れる品種の幅を決める要因になる。