ランダム化ベンチマーキング

Randomized Benchmarking (RB)

ランダムに選んだ量子ゲート列を長さを変えながら適用し、誤り確率が系列長に対して指数関数的に減衰する様子から平均ゲート誤り率を推定する手法である。状態準備・測定の誤差の影響を受けにくく、量子過程トモグラフィより少ない測定回数で評価できるため、装置間の性能比較に用いられる。

詳細

概要

ランダム化ベンチマーキングは、量子ゲートの誤り率を評価するための実験手法である。量子過程トモグラフィが状態準備と測定の誤差を分離しにくく、系の規模とともに測定量が急増するという限界をもつのに対し、ランダムなゲート列の長さ依存性から平均的な誤り率だけを抽出する構成をとる。NISTのKnillらによる論文がPhysical Review Aに掲載され、手法の基礎を与えた。

技術的な要点

手順は次の通りである。まず基底状態を準備し、Clifford群から選ばれたπ/2パルスとPauliパルスをランダムに交互に適用する。系列の最後に、理想的には既知の状態へ戻る操作を加えたうえでσzを測定する。これを系列長を変えながら多数のランダム系列について繰り返し、誤り確率の系列長に対する指数関数的減衰をフィットする。得られた減衰定数から、計算に関係する平均誤り率を抽出する。個々のゲートの詳細な誤りチャネルは分からないが、多数のゲートにわたる平均的な性能を少ない測定回数で評価できる。原論文ではBe+イオンを用いた実験で誤り確率0.0048217が報告されている。

産業での位置づけ

ハードウェアの性能を装置間・方式間で比較する共通指標として使われ、量子ビット数と並んで開発の進捗を示す代表的な数値となっている。誤り耐性の実現可能性を議論する際の前提データでもある。