Recirculating aquaculture system (RAS)
FAOは循環方式を、飼育水槽や池からの流出水を部分的または完全に水槽へ戻す方式として説明している。曝気や簡易な水処理にとどまる単純な循環方式と、機械ろ過および再曝気に加えて生物処理を組み込む複雑な循環方式に区分される。
中心となるのは生物ろ過による硝化である。魚が排出するアンモニアは従属栄養微生物によって変換され、硝化細菌により亜硝酸、さらに硝酸へと酸化される。毒性の高い窒素化合物を毒性の低い形へ移す工程にあたる。溶存酸素は水槽内の曝気装置、外部の曝気ユニット、純酸素の注入などで維持する。FAOが示す例では、複雑な循環方式の所要水量は魚1kg・1日あたり0.08立方メートルで、掛け流し方式の2.4〜3.0立方メートルと比べて大幅に少ない。循環率が15倍に達する例も示されている。
補給水は損失分を補う量に限られ、水温制御と防疫を閉鎖系の中で行える。天然水域の有無に依存せず立地を選べるため、消費地に近い場所での操業が可能になる。一方で、生物ろ過槽の立ち上げと維持、酸素供給の継続が運転上の要件となり、設備投資と電力消費を伴う。技術要素はろ過装置、酸素供給、水質センシングと制御、飼料、種苗といった層に分かれ、投資対象もこの層ごとに整理できる。