Simultaneous Localization and Mapping (SLAM)
未知の環境の未知の位置に置かれた移動ロボットが、走行しながら環境の地図を構築し、同時にその地図の中での自分の位置を推定できるか、という問題である。ロボットの軌跡と環境中のランドマーク位置を、オンラインで同時に推定することが求められる。
問題の本質的な難しさは、ランドマーク位置の推定誤差がロボット位置の不確かさを共有するため互いに強く相関する点にある。したがって各ランドマークを独立に扱うことはできず、すべての依存関係を含む同時状態を保持する必要があり、計算量はランドマーク数の二乗で増える。当初は地図誤差が発散すると考えられていたが、観測を重ねるほど相関が単調に増加し、推定が収束するという性質が発見されたことが概念的な転換点となった。代表的な解法として、運動モデルと観測モデルを線形ガウスで近似し同時共分散行列を更新するEKF-SLAM、ロボット軌跡を重み付きサンプルで表現しランドマーク位置を解析的に扱うことで計算量を線形にするFastSLAM(Rao-Blackwell化パーティクルフィルタ)がある。理論面では1995年に構造と収束性が示され、SLAMという略称もこのとき提示された。
屋内搬送ロボット、清掃ロボット、自動運転、点群による測量など、外部インフラに依存せず自律移動する機器の前提技術である。センサ構成(LiDAR、カメラ、IMU)とアルゴリズムの組み合わせがコストと精度を決める。