比推力

Specific Impulse (Isp)

ロケットエンジンなどの推進機関の効率を表す指標で、発生する推力を推進剤の重量流量で割った値である。単位系によらず秒の次元をもち、同じ質量の推進剤からより大きな推力を得られる機関ほど値が大きい。推進方式の比較や設計初期のエンジン規模の見積りに使われる。

詳細

概要

比推力は推進機関の効率を表す指標である。NASAの解説では「推力と推進剤の重量流量の比」と定義され、値が大きいエンジンほど同じ質量の推進剤からより大きな推力を得られると説明されている。エンジン同士の性能を共通の尺度で比べるために使われる。

技術的な要点

比推力Ispは、推力Fを推進剤の質量流量と重力加速度g0の積で割った式 Isp = F/(ṁ・g0) で表される。等価排気速度Veqを用いれば Isp = Veq/g0 とも書ける。英単位系でも国際単位系でも次元が秒になるのは、速度を加速度で割った量だからである。推進剤の重量流量が分かっていれば比推力から推力を求められるため、詳細設計に入る前の段階でエンジンの規模を見積る用途にも使われる。実際の値は推進剤の組み合わせ、燃焼室の条件、ノズルの膨張比、作動する環境圧力によって変わるため、真空中と海面上の値は区別して扱われる。

産業での位置づけ

化学推進と電気推進では比推力の水準が異なり、打上げ段と軌道上の運用では重視される性能も変わる。推力が小さくても比推力が高い方式は、時間をかけて軌道を変える用途に向く。ミッション設計では比推力と推力、機体質量の兼ね合いから推進方式が選定される。