段階燃焼サイクル

Staged Combustion Cycle

液体ロケットエンジンの動力サイクルの一つで、プリバーナで推進剤を燃焼させてターボポンプのタービンを駆動し、その燃焼ガスをさらに主燃焼室で燃やす方式である。燃料リッチと酸化剤リッチのプリバーナを併用する全流量式は、タービン温度を下げやすく再使用性に効くとされる。

詳細

概要

段階燃焼サイクルは、推進剤をプリバーナと主燃焼室の二段階で燃焼させる液体ロケットエンジンの動力サイクルである。プリバーナで生じた燃焼ガスがターボポンプのタービンを駆動し、そのガスは主燃焼室へ送られて残りの推進剤とともに燃焼する。ターボポンプは推進剤を高い圧力で燃焼室へ送り込む役割を担う。

技術的な要点

全流量段階燃焼サイクル(FFSC)では、燃料リッチのプリバーナが燃料ターボポンプを、酸化剤リッチのプリバーナが酸素ターボポンプを駆動する。NASAの説明によれば、推進剤をすべてプリバーナで燃焼させるため、従来の段階燃焼サイクルよりタービンを駆動できる質量流量が大きく、その分タービンの温度と応力を下げられる。これはタービンの寿命につながり、再使用を前提とするエンジンで重要になる。酸化剤リッチのガスと燃料リッチのガスを分けて扱うことでポンプ間の複雑な推進剤シールが不要となり、推進剤が意図せず混合する故障モードも減るとされる。同解説では、タービン軸を推進剤で支持する静圧軸受により摩耗をなくす技術も併せて紹介されている。

産業での位置づけ

高い燃焼室圧力と性能が求められる打上げ用エンジンで採用される方式である。設計の検証には燃焼と流れの数値解析に加え、実機を用いた燃焼試験が段階的に行われる。