Surface-Electrode Ion Trap
表面電極型イオントラップは、閉じ込め用の電極をすべて一枚の平面基板上に形成し、基板上方の空間に生成した電場でイオンを保持する構造をとる。三次元的に電極を対向配置する従来のトラップに比べ、製造がフォトリソグラフィなど標準的な半導体プロセスに載せやすく、電極数を増やして機能を拡張しやすい。
報告されている実装例では、シリコン基板、酸化シリコンの絶縁層、アルミニウム電極からなるヘテロ構造でトラップを構成する。線形トラップの設計は、対称に配置された高周波(RF)電極リード、内側の直流電極、および軸方向に並んだ多数の側面直流電極から成り、この例では40個の側面直流電極が用いられている。製造工程では、PECVDで成長させた酸化シリコンの柱によって、張り出したアルミニウム電極をアルミニウム接地面から電気的に分離している。多数の直流電極を独立に制御することで、閉じ込め位置を連続的に移動させるイオンの搬送(shuttling)が可能となり、同一設計の複数トラップでの閉じ込めと搬送が実証されている。課題としては、基板表面に起因する加熱率(heating rate)と電極の帯電が挙げられる。
既存の半導体製造ラインを利用できることから、量子ハードウェアの量産性を確保する経路として位置づけられる。半導体メーカーとの製造提携が事業構造の要素になる領域である。