Targeted Alpha Therapy (TAT)
アルファ粒子を放出する放射性核種を、腫瘍細胞表面の抗原や受容体に結合する分子(抗体、ペプチド、低分子)に結合させて投与する治療法である。アクチニウム225、鉛212、アスタチン211などが治療用核種として検討されている。
アルファ粒子は組織中の飛程が短く、単位長さあたりに与えるエネルギーが大きい。このためDNA二本鎖切断を高い頻度で生じさせ、細胞が修復しにくい損傷を与える。主に一本鎖切断を引き起こすベータ線核種と対比される。鉛212は半減期10.6時間で、安定鉛への崩壊過程でアルファ粒子1個を放出する。アクチニウム225は半減期9.92日で、崩壊系列全体で4個のアルファ粒子、合計およそ28MeVを放出する。崩壊時の反跳によって娘核種が標的分子から離れて体内を移動する現象の制御が課題となる。
核種の安定供給、放射線防護を伴う自動化製造、品質管理が事業化の律速要因になる。半減期が短い核種では、製造拠点から投与施設までの物流設計が治療提供体制そのものを規定する。
投与量は放射能量で管理され、標的への集積と全身の残留を画像や採血で追跡する体内動態評価が治療計画の一部となる。