テラヘルツ波

terahertz wave (THz)

おおむね0.1〜10 THz、波長3 mm〜0.03 mmの電磁波で、電子的に生成されるマイクロ波と赤外線の中間に位置する。光子エネルギーが低く非電離性である。多くの非導電性材料を透過する一方、水などの極性液体には強く吸収されるため、非破壊検査や厚さ計測に用いられる。

詳細

概要

テラヘルツ波は、0.1 THzから10 THzの周波数範囲にある電磁波を指す。波長では3 mmから0.03 mmに相当する。電子的に生成されるマイクロ波と、光学的に扱われる赤外線の中間の帯域に位置する。

技術的な要点

1 THzにおける光子エネルギーは約4.1 meVと低く、非電離性である。このため、厳しい安全規制を伴わずに現場へ装置を持ち込める。多くの非導電性材料を透過する一方、水をはじめとする極性液体には強く吸収される。水分子間の水素結合がテラヘルツ帯で強く共鳴するためである。計測手法としてはテラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)が広く使われ、サブピコ秒のパルスを試料に照射して、透過あるいは反射に伴う位相と振幅の変化を測定する。層構造の厚さdは、界面からの反射パルスの時間差Δtと屈折率nを用いて2d = Δt(c/n) の関係から求められる。

産業での位置づけ

非破壊・非接触で内部を可視化できることから、塗膜や積層構造の厚さ計測、材料内部の欠陥検出、セキュリティ検査などに用いられる。コンクリートでは厚さ100 mmまでの内部欠陥検出が報告されている。実用化の制約は、水分の多い対象への適用が難しいこと、装置コスト、計測速度にある。