Thyrotropin Receptor (TSHR)
甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)は、甲状腺の濾胞細胞の膜を貫通する受容体タンパク質である。MedlinePlusの解説では、細胞外にある部分が甲状腺刺激ホルモン(TSH)を受け取り、鍵が鍵穴に合うように結合して一連の反応を起こすと説明されている。この経路は甲状腺の発生と機能を制御し、代謝や成長、脳の発達に関わる甲状腺ホルモンの産生につながる。
TSHR遺伝子の変異は受容体の働きを変える。膜を正しく貫通できなくなるものや、位置は正しくてもTSHとの結合が損なわれるものがあり、機能が低下すると甲状腺ホルモンの産生が減る。体はTSHを増やして補おうとするが、重い場合には甲状腺の発達自体が損なわれる。逆に受容体が持続的に活性化する変異では甲状腺ホルモンが過剰に産生され、甲状腺の腫大や動悸につながる。良性の結節や甲状腺がんで体細胞変異が見つかることもある。自己免疫疾患であるバセドウ病(グレーブス病)も、TSHRに関連する疾患として挙げられている。
受容体そのものや、受容体を活性化する自己抗体の作用を標的とする医薬品の研究が行われている。甲状腺機能の調節に直接関わる標的であるため、作用の強さと選択性の設計が課題となる。開発段階にある候補の有効性と安全性は、臨床試験を通じて確認される必要がある。