Trapped-ion quantum computing
Bruzewiczらのレビュー(Applied Physics Reviews 6, 021314, 2019)は、汎用量子計算に必要な基本要件はすべてイオンで実証済みであり、少数のイオン量子ビットによる量子アルゴリズムも実装されていると述べている。
量子ビットの取り方には、基底状態の超微細構造準位の対を使う超微細量子ビットと、光学遷移を使う光学量子ビットがある。同レビューによれば、超微細量子ビットは長い寿命に加えて磁場揺らぎへの高い非感受性を得られる。多量子ビットゲートはCiracとZollerが導入した考え方を共有し、イオン間で共有される振動モードを量子情報を運ぶバスとして使う。コヒーレンスについては、動的デカップリングを併用して600秒まで延長された例が挙げられ、コヒーレンス時間とゲート時間の比は10の6乗程度で、超伝導量子ビットで達成されている比率よりはるかに高いとされる。また、同一種・同一同位体のイオンは本質的に同一であるため、各イオンを操作するマイクロ波やレーザーの周波数が揃う点も利点として示されている。
規模拡大の方向としては、イオンを移送して領域を分けるQCCD(quantum charge-coupled device)構成や、中規模のイオンモジュール間を光でつなぐフォトニック相互接続が検討されている。