能動的デブリ除去

Active Debris Removal (ADR)

軌道上に残された使用済み衛星やロケット上段へ専用の宇宙機が接近して捕獲し、軌道から取り除く取り組み。衝突による破片の増加を抑え、軌道環境を将来の利用に耐える状態へ保つことを目的とする。接近・捕獲・軌道離脱という一連の技術は軌道上サービスと共通する部分が大きい。

詳細

概要

ESAのSpace Environment Report 2025によれば、宇宙監視網が追跡している物体は約40,000個あり、そのうち運用中のペイロードは約11,000個である。推定では、10cmを超える物体が50,000個以上、1cmを超える物体が120万個以上存在する。

技術的な要点

同報告書は、追加の打上げが一切なくても、破砕事象が自然な大気圏再突入よりも速く新たな破片を生み出すため、デブリの数は増え続けるという科学的合意があるとし、これをケスラーシンドロームと呼んでいる。低軌道のロケット上段については、25年以内の再突入基準を満たすものが約90%、ESAが採用した5年以内という厳しい基準を満たすものが約80%に達している。それでも現状の取り組みだけでは、能動的な除去なしにデブリの増加を止めるには不十分だと結論づけている。

産業での位置づけ

除去は、対象への接近、捕獲、軌道離脱という一連の技術を必要とし、軌道上サービスと基盤技術が重なる。回転する非協力的な物体を安全に掴む技術が要になる。ESAが打ち出した5年基準のような規制の厳格化は、確実な軌道離脱手段や除去サービスへの需要につながる。現時点の主要な需要家は宇宙機関であり、民間需要の立ち上がりは規制の動向に左右される。