デジタルパソロジー

Digital Pathology

Cureus 誌に掲載された総説によれば、顕微鏡でガラス標本を観察してきた従来の病理診断を、標本を高解像度のデジタル画像に変換し、保存・解析・電子的な共有ができるようにする取り組みである。中核となるのはガラス標本を高解像度で電子化する全スライドイメージング(WSI)システムであり、画像解析ソフトウェアやAIと組み合わせることで、観察者間のばらつきの低減や遠隔病理診断が可能になるとされる。

詳細

概要

Cureus 誌に掲載された総説(2024年)によれば、病理は1世紀以上にわたってガラス標本を顕微鏡で観察する実務に依拠してきたが、デジタル技術の登場により、ガラス標本を高解像度のデジタル画像へ変換し、電子的に保存・解析・共有できるようになった。同総説はこの変化を、診断の正確性・効率・協働を高める新たな道を開くものだと位置づけている。

技術的な要点

同総説によれば、この移行を支える中心的な技術革新が全スライドイメージング(WSI)システムであり、ガラス標本を高解像度で電子化する。電子化された標本は容易に保管・検索でき、画像解析ソフトウェアを用いた解析が可能になる。画像を自在に拡大縮小し、特定の領域に注釈を付けられることが解析の精度と深さを高めるとされる。従来の顕微鏡観察は観察者間のばらつきを避けにくいが、同総説は、AIや機械学習を用いたコンピュータ支援診断(CAD)ツールによって病理学的特徴の同定と定量を支援でき、病変の検出、バイオマーカーの定量、組織のセグメンテーションといった反復的な工程を自動化できるとしている。

産業での位置づけ

同総説は、標本を電子的に共有できることが遠隔病理診断(テレパソロジー)を可能にし、専門医が限られる地域でも遠隔での相談やセカンドオピニオン、症例の共同検討を行えるようになると述べている。また腫瘍を精密に特徴づけることを通じて個別化医療に寄与し、ゲノムをはじめとするオミクスデータとの統合が疾患のより包括的な理解につながる可能性を指摘する。一方で普及には、データの標準化、規制対応、堅牢なITインフラの整備といった課題が残るとしている。