Silicon Carbide Power Semiconductor (SiC)
炭化ケイ素(SiC)を素子材料に用いたパワー半導体。応用物理学会の解説によれば、SiCは3.3eVという大きなバンドギャップを持ち、シリコンの1.1eVを大きく上回る。ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ち、熱にも強い材料として説明されている。
ワイドバンドギャップ半導体としての理論的な性能限界は高く、同解説はシリコンの数百倍、すなわち損失を数百分の一以下にできる可能性があるとしている。ただし実デバイスがこの限界にどこまで近づけるかは、結晶欠陥の低減やゲート絶縁膜界面の品質など、製造側の課題に左右される。材料自体が硬く高温で結晶成長させる必要があるため、基板の製造がコスト構造の中心になる。
鉄道での実績が具体的である。地下鉄銀座線での試験では消費電力量が約38.6%減少したと報告されており、減速時にモーターを発電機として運動エネルギーを電気として回収する回生ブレーキの性能向上が主因とされる。2020年に投入された新幹線N700SにもSiCパワーデバイスが搭載され、高効率化と車両の軽量化に寄与したほか、トンネル内や橋の上での停電時に安全な場所まで自力走行できる設計が可能になったと説明されている。電力変換の損失がそのまま運用コストに直結する用途では、材料コストの高さを上回る価値が出やすい。