超伝導量子ビット

Superconducting qubit

ジョセフソン接合を非線形インダクタとして用い、エネルギー準位を不均一にした超伝導回路の量子ビット。広く使われるトランズモン型は接合を大きな容量で分流して電荷雑音への感度を下げた構成で、周波数5GHz程度に設計され、希釈冷凍機の20mK程度の環境でマイクロ波により制御・読み出しされる。

詳細

概要

Krantzらのレビュー(Applied Physics Reviews 6, 021318, 2019)は、量子調和振動子の線形インダクタをジョセフソン接合という非線形インダクタに置き換えることで、ポテンシャルエネルギーの形を変えられると説明している。これによりエネルギー準位の間隔が不均一(非調和)になる。0→1遷移と1→2遷移の周波数が十分に異なっていなければ個別に操作できないため、非調和性は大きいほど望ましいとされる。

技術的な要点

トランズモンは、接合を大きなシャント容量で分流して充電エネルギーを小さくし、電荷雑音への感度を下げた回路である。同レビューによれば、典型的な量子ビットは周波数5GHz程度に設計され、希釈冷凍機の20mK程度の温度で動作する。性能はエネルギー緩和時間T1と位相コヒーレンス時間T2で評価され、同レビューにはT1が85マイクロ秒、T2が98マイクロ秒といった測定例が示されている。

産業での位置づけ

同レビューは量子ビットの設計、雑音特性、制御、読み出しを回路量子電磁力学の枠組みで扱っており、ゲート方式の量子計算に向けた工学的知見が体系化されている。微細加工で製造できマイクロ波で制御・読み出しできる一方、量子ビットごとに配線を要し、希釈冷凍機の冷却能力とあわせて規模拡大時の制約になる。