アルツハイマー病

Alzheimer's Disease (AD)

記憶と思考の能力をゆっくりと破壊し、やがて最も単純な作業を行う能力までも失わせる脳の疾患である。米国国立老化研究所は高齢者における認知症の最も一般的な原因と位置づける。脳内にはアミロイド斑とタウのもつれが蓄積し、神経細胞間の結合が失われる。損傷は記憶の形成に関わる海馬と嗅内皮質から始まる。

詳細

概要

米国国立老化研究所(NIA)は、アルツハイマー病を、記憶と思考の能力をゆっくりと破壊し、やがて最も単純な作業を行う能力までも失わせる脳の疾患と説明している。高齢者における認知症の最も一般的な原因であり、米国における死因の第7位に挙げられている。

技術的な要点

病理の中心には二つの変化がある。ひとつは脳組織に蓄積する異常な塊であるアミロイド斑、もうひとつは繊維のもつれた束であるタウのもつれである。これらに加えて神経細胞間の結合が失われていく。損傷は記憶の形成に関わる海馬と嗅内皮質にまず現れる。進行は段階を追い、軽度では記憶障害、徘徊、金銭管理の困難、人格の変化が現れる。中等度では言語、推論、意識的な思考を司る領域に損傷が及び、混乱と認識の障害が強まる。重度では脳組織が著しく萎縮し、意思疎通ができず全面的に他者へ依存する状態になる。

産業での位置づけ

NIA は、幻覚、妄想、猜疑、衝動的な行動のほか、不眠、抑うつ、不安、焦燥が現れうるとしている。記憶と認知の症状に加えてこうした行動・心理面の症状が介護の負担を左右するため、認知機能そのものを対象とする治療と、付随する症状を対象とする治療とが別々に開発対象となる。病期によって現れる症状が異なることは、臨床試験の対象集団と評価指標の設計にも影響する。