Antibody-Drug Conjugate (ADC)
米国国立がん研究所(NCI)は抗体薬物複合体を「モノクローナル抗体が薬物と化学的に連結されたもの」と説明している。抗体部分が標的細胞の表面に多く存在するタンパク質を認識して結合し、複合体が細胞内に取り込まれた後に、連結された薬物が細胞に作用する。
構成要素は抗体、リンカー、薬物(ペイロード)の三つである。NCIが解説する膀胱がん向けのエンホルツマブ ベドチンでは、抗体部分が膀胱がん細胞の表面に多く見られるnectin-4に結合し、そこに微小管阻害薬であるモノメチルアウリスタチンE(MMAE)が化学的に連結されている。NCIによれば、複合体が細胞に取り込まれると薬物が細胞分裂を止め、細胞死につながるとされる。どの抗原を標的にするか、リンカーが血中でどれだけ安定か、ペイロードにどの薬物を選ぶかが設計上の主要な変数となる。
抗体医薬の生産技術と低分子医薬の合成技術の双方を必要とし、抗体の製造、リンカーとペイロードの合成、複合体化と品質管理という複数の工程が関わる。工程ごとに求められる設備と技能が異なるため、受託製造や技術ライセンスを含む分業が形成されやすい領域である。