Fusion Energy Gain Factor (Q)
核融合装置の性能を表す無次元量で、ITERの解説では「核融合反応の出力対入力の増幅比、すなわち水素の核融合が生む熱出力と、注入された熱入力の比」と定義されている。Q=1はプラズマのエネルギー損益分岐点を意味する。
ITERはQが1に達した装置はこれまで存在せず、記録は欧州のトカマクJETが達成したQ=0.67であるとしている。ITER自身はQ≧10を設計目標とし、50メガワットの加熱入力に対して少なくとも500メガワットの核融合出力を得るとされる。Qが高い領域では、生成したヘリウム原子核が持つエネルギーによるプラズマ自己加熱が外部加熱を上回り、自律的に燃焼する状態に近づく。なお、この定義はプラズマに投入した熱量を基準にしており、装置全体の消費電力を分母に取る工学的な増倍率とは値が異なる点に注意が要る。
商用炉の成立条件は発電端での正味出力であり、Qは炉心プラズマ性能の指標としてマイルストーンの設定や装置設計の比較に用いられる。
したがって装置間の比較では、Qがプラズマ基準か装置全体基準かを確認する必要がある。
また核融合出力のうち中性子が担う分は発電に用いる前に熱へ変換する必要があり、Qの値がそのまま送電端出力に対応するわけではない。