ハイスループット計算スクリーニング

High-throughput Computational Screening

電子状態計算を多数の候補物質に対して自動的に実行し、得られた物性値を蓄積して有望な候補を絞り込む手法である。計算条件の標準化とワークフローの自動化により、数万規模の物質を同一条件で比較できる。電子・磁気・弾性・欠陥・有限温度の各物性の予測に用いられる。

詳細

概要

ハイスループット計算スクリーニングは、電子状態計算を多数の候補物質に対して自動的に実行し、得られた物性値をデータベースとして蓄積したうえで、目的に合う候補を絞り込む手法である。公的研究機関が運営する材料データベースでは、ハイスループット計算、電子状態計算の手法、およびデータマイニングのアルゴリズムを組み合わせ、電子物性、磁性、弾性、欠陥、有限温度物性の予測を数万規模の物質にわたって行っている。

技術的な要点

実装では、入力構造の生成、計算パラメータの設定、ジョブの投入と失敗時の再実行、結果の収集と妥当性検証までを一貫したワークフローとして構築する。個々の系を人手で扱う進め方に対し、計算条件を標準化することで結果の系統的な比較が可能になる点が要点である。得られたデータは、物性間の相関の抽出や設計指針の導出に用いられる。計算精度と計算コストのトレードオフ、および近似手法の選択に起因する系統誤差の扱いが課題となる。

産業での位置づけ

計算結果を公開する材料データベースが整備されたことで、材料探索の出発点として広く利用されるようになった。生成モデルで候補を生成し、計算スクリーニングで絞り込んでから実験検証に回すという流れが定着しつつあり、計算基盤の規模がそのまま探索できる空間の広さを左右する。