用語集

バロカロリック効果 Barocaloric Effect
素材・化学

固体に静水圧を加えて相転移を誘起し、吸熱と放熱を生じさせる現象である。Nature Communications に2022年に掲載された研究は、圧力を加えるとエントロピーが減少して熱を放出し、圧力を除くとエントロピーが増加して熱を吸収すると説明する。この吸熱と放熱を繰り返して冷凍サイクルを構成するのがバロカロリック冷却であり、作動物質が固体のまま動作するため気体冷媒を必要としない。同研究はヨウ化アンモニウムに40メガパスカルを加えると相転移温度が室温付近へ移り、可逆的なエントロピー変化が1キログラムあたり約71ジュール毎ケルビン、断熱温度変化が約34ケルビンに達したと報告している。地球温暖化係数の大きい冷媒を用いる蒸気圧縮式の代替として検討されている。

フロー合成 Flow Chemistry
素材・化学

原料を反応器に連続的に供給し、生成物を連続的に取り出す合成方式。原料を一括で仕込むバッチ法と対比される。中間体の単離や精製の工程を減らせ、反応空間が小さいため危険物を扱う際の事故規模も抑えられる。生産量は供給速度やカラムの並列化で調整できる。

ポリヒドロキシアルカン酸 PHA Polyhydroxyalkanoate
素材・化学

微生物が体内に蓄積する生分解性のポリエステル。海洋環境でも分解が進む点が、堆肥化条件を要する他の生分解性プラスチックとの違いとされる。深海底での実験では、厚さ15マイクロメートルの袋に換算した寿命が沿岸でPHBH 6日・PHB 13日、深海でPHBH 約19日・PHB 約58日と算出されている。

マテリアルズインフォマティクス MI Materials Informatics
素材・化学

データ科学と材料科学を融合し、機械学習で物性を予測して新材料の候補を絞り込む研究領域。第一原理計算の自動化によるデータ生成、コンビナトリアル合成によるハイスループット実験、スパースモデリングによる計測データ解析を組み合わせ、計算で予測した候補を実験で検証する。

木材プラスチック複合材 WPC Wood-Plastic Composite
素材・化学

木粉や木質繊維を熱可塑性樹脂と混ぜ合わせた複合材料である。米農務省森林局森林製品研究所(FPL)の解説によれば、木材成分は通常は粉(フラワー)または繊維の形で熱可塑性樹脂と組み合わされ、押出・射出・熱成形が可能な複合材となる。製品の木材含有率はおよそ50%で、母材にはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルなどが用いられる。木材が熱で劣化するため、200度以下で溶融または加工できる熱可塑性樹脂に限られる。

有機フッ素化合物 PFAS Per- and polyfluoroalkyl substances
素材・化学

炭素とフッ素の結合を骨格に持つ人工の化学物質群の総称。米国EPAによれば1940年代から工業用途や消費財に使われてきた。数千種が存在し、多くが環境中でほとんど分解されず人や動物、環境に蓄積するため「forever chemicals」とも呼ばれる。飲料水や排水の規制対象になっている。

溶融酸化物電解 MOE Molten Oxide Electrolysis
素材・化学

酸化物原料から液体金属を直接つくる電気冶金技術。1,538℃を超える高温で電気分解し、製鉄の炭素還元を電気で置き換えることでCO2排出を減らせる。

リチウム直接抽出 DLE Direct Lithium Extraction
素材・化学

地下のかん水に溶けたリチウムを、蒸発池による濃縮工程を経ずに直接回収する技術の総称である。吸着、イオン交換、溶媒抽出などの方式があり、蒸発池方式や硬岩採掘に比べ土地の占有と水消費を抑えられる点が利点とされる。地熱かん水や油ガス田の随伴水が原料となる。

リチウム同位体分離 Lithium isotope separation
素材・化学

リチウムの安定同位体である6Liと7Liの存在比を人為的に偏らせ、目的の同位体を濃縮する技術の総称である。天然存在比は6Liが約7.5%、7Liが約92.5%とされ、6Liは中性子を吸収してトリチウムを生成するため核融合の燃料サイクルに関わる。