用語集

RoCE RoCE RDMA over Converged Ethernet
通信・ネットワーク

イーサネット上でRDMA(遠隔直接メモリアクセス)を実現する方式である。CPUを介さずにサーバ間でメモリ間転送を行い、遅延とCPU負荷を抑える。v2ではUDP/IPにカプセル化されIPルータを越えられるが、動作にはロスレスなイーサネット網を前提とする。

IMT-2030 IMT-2030
通信・ネットワーク

ITU-R が定める2030年以降の移動通信システムの枠組みで、いわゆる6Gの国際的な出発点となる上位文書。2023年11月に勧告 ITU-R M.2160 として承認され、没入型通信や通信とセンシングの統合を含む6つの利用シナリオと、遅延や信頼性などの能力目標を規定している。

アクティブフェーズドアレイアンテナ AESA Active Electronically Steered Array
通信・ネットワーク

多数のアンテナ素子を配列し、素子間の相対位相を電子的に制御してビームを形成・走査するアンテナ。機械的な駆動を用いずにビーム方向をほぼ瞬時に切り替えられ、サブアレイごとに独立して制御することで、複数のビームを同時に別方向へ指向できる点が特徴である。

Ultra Ethernet UEC Ultra Ethernet
通信・ネットワーク

AIおよびHPCの大規模ワークロードに対応することを目的として、Ethernetを基盤に策定されている通信スタックの仕様である。個別のプロトコル改良ではなく、相互運用可能で高性能な完全な通信スタックを対象とする。策定はUltra Ethernet Consortiumが行っている。

衛星ダイレクト通信 D2D Satellite Direct-to-Device
通信・ネットワーク

一般の携帯端末やIoT機器が、専用の衛星端末を介さずに衛星と直接通信する方式。地上向けLTEをそのまま用いる方法と、3GPPがRelease 17で導入した非地上系ネットワーク(NTN)に基づく方法があり、長い伝搬遅延と大きなドップラーシフトの補償が課題となる。

エッジコンピューティング Edge Computing
通信・ネットワーク

端末機器とその利用者を含むネットワーク層で計算を行う方式である。米国国立標準技術研究所(NIST)の特別刊行物SP 500-325は、エッジコンピューティングを、端末機器とその利用者を包含するネットワーク層であり、例えばセンサ上での局所的な計算能力を提供するものと定義する。同刊行物は、階層的な多層構造をとるフォグコンピューティングと対比し、エッジコンピューティングは固定された論理的位置で特定のアプリケーションを実行し、少数の周辺機器に限られる傾向があるとしている。

オープンRAN O-RAN Open RAN (O-RAN)
通信・ネットワーク

無線アクセスネットワークの装置間インタフェースを公開仕様とし、RAN の制御に機械学習を持ち込む取り組み。O-RAN ALLIANCE は開放性と知能化の2つを柱に掲げ、RAN Intelligent Controller と Open Fronthaul を規定する。

空間光通信 FSO Free-space optical communication
通信・ネットワーク

光ファイバを用いず、大気中や宇宙空間をレーザ光で伝搬させてデータを送る通信方式である。搬送波周波数が電波より桁違いに高いため大容量化に有利だが、細いビームに起因する厳しい指向精度の要求と、大気擾乱によるビーム揺らぎへの対処が実装上の制約となる。

警報伝送システム ATS Alarm Transmission System
通信・ネットワーク

警備対象施設に置かれた警報システムと、警報受信センターの報知機器との間で警報を伝送する仕組みである。国際規格 IEC 60839-5-1:2014 は、警報伝送システムの性能・信頼性・レジリエンス・セキュリティに関する要求事項を定め、さまざまな種類の警報システムおよび報知機器と組み合わせて使えることを確保すると規定している。火災、侵入、入退室管理、社会的警報など、あらゆる種類の警報メッセージの伝送系が対象となる。

コパッケージドオプティクス CPO Co-Packaged Optics
通信・ネットワーク

光の送受信機能をスイッチ ASIC などの大規模チップと同一パッケージ内に統合する実装方式。OIF は2023年4月、業界初の共パッケージ標準として 3.2T Co-Packaged Module 実装合意を公開し、合計51.2Tb/s のスイッチ向けに光と電気のインタフェースを定義した。

コヒーレント光伝送 Coherent Optical Transmission
通信・ネットワーク

光の振幅と位相の両方に情報を載せ、受信側のデジタル信号処理で伝送路の歪みを補償する方式。OIF は 400ZR と 800ZR の実装合意を策定し、80kmから120km のデータセンタ間接続を小型プラガブルモジュールで相互接続するための変調方式や FEC の条件を規定している。

再構成可能インテリジェント表面 RIS Reconfigurable Intelligent Surface
通信・ネットワーク

電磁波の反射や透過の特性を動的に制御できる面状のデバイス。ETSI GR RIS 001 は、ユニットセルと呼ぶ散乱素子を配列し、その電磁的な振る舞いを動的に制御できる新しいネットワークノードと定義する。カバレッジ改善やビーム管理、測位精度の向上などが想定用途に挙げられている。

周波数ホッピング拡散スペクトラム FHSS Frequency Hopping Spread Spectrum
通信・ネットワーク

送信に使う搬送波の周波数を、あらかじめ定めた擬似ランダム系列に従って次々と切り替える無線方式である。米国立標準技術研究所(NIST)のSP 800-121 Rev.2は、Bluetoothが伝送にFHSSを用いると述べ、BR/EDR機器では1MHz幅の79の無線チャネルを、データ/音声リンクで毎秒およそ1600回切り替えると説明する。送受信の双方が同じ系列をたどることで通信が成立する。同文書は、FHSSが干渉と伝送誤りを減らす一方、伝送そのものの秘匿性はわずかしか与えないとしている。

水中音響通信 Underwater Acoustic Communication
通信・ネットワーク

音波を用いて水中で情報を伝える通信方式である。水中では広く用いられてきたが、水中環境の複雑さによって性能が大きく損なわれてきた。系の設計と改善にはチャネルの理解が必要であり、仮定を置いた数式と近似によるモデル化に加え、実測データを用いた深層学習によるモデル化が試みられている。

セルラーIoT C-IoT Cellular Internet of Things
通信・ネットワーク

携帯電話網の規格を用いて、多数の機器を長距離かつ低消費電力で接続する通信技術の総称である。3GPPはリリース13で、EC-GSM-IoT、機械型通信向けのLTE-M、狭帯域IoT(NB-IoT)の3つを策定した。EC-GSM-IoTはEGPRSに対して20dBの被覆改善とLTE水準の安全性、低消費電力動作を加える。LTE-Mは低複雑度でありながらEC-GSM-IoTやNB-IoTより低遅延かつ高スループットとされる。NB-IoTは低消費電力動作と極めて低い機器複雑度、広い被覆を備え、200kHzまで下げた帯域幅や3.75kHzの狭いチャネルにも対応する。

大規模MIMO Massive MIMO
通信・ネットワーク

多数のアンテナ素子を用い、端末ごとに指向性の高いビームを形成して同じ資源を空間的に多重する方式。ITU-R 報告 M.2516-0 は、ビーム間干渉を極めて低く抑えた多重化を実現する多元接続の手法として強い可能性を持つ一方、RF チェーンのコストと実装の複雑さが課題だと述べている。

中空コアファイバ HCF Hollow-Core Fibre
通信・ネットワーク

コアのガラスを気体または真空に置き換えた光ファイバである。英サウサンプトン大学光電子研究センター(ORC)は、微細構造ファイバの一種として、精密な微細構造クラッドに囲まれた中空のコアに光を導くものと説明し、導波機構によって反共振型とフォトニックバンドギャップ型に大別する。同センターは、中空コアでは光の速度が速く情報の遅延が小さいこと、また従来の全ガラス製ファイバより低損失かつ大容量となりうることを利点として挙げ、データセンター、5G移動通信、自動運転車にとって重要な特性だとしている。

超高信頼・低遅延通信 URLLC Ultra-Reliable and Low Latency Communications
通信・ネットワーク

IMT-2020 で定義された利用シナリオの1つで、遅延と信頼性に厳しい要件を課す通信区分。ITU-R 報告 M.2410-0 は、ユーザプレーン遅延1ミリ秒、および32バイトのレイヤ2 PDU を1ミリ秒以内に伝送できる成功確率1-10⁻⁵を最小要件として規定している。

ネットワークスライシング Network Slicing
通信・ネットワーク

1つの物理的な移動通信網の上に、用途ごとに独立した論理ネットワークを構成する技術。3GPP はネットワークスライスを、特定のネットワーク能力と特性を提供し、スライス顧客の多様なサービス要件を支える論理ネットワークと定義する。無線アクセス・コア・トランスポートの各サブネットから構成され、S-NSSAI で識別される。

P4(プログラマブルデータプレーン) P4 P4 (Programming Protocol-independent Packet Processors)
通信・ネットワーク

ネットワーク機器のデータプレーンの動作を記述するドメイン特化型プログラミング言語である。スイッチ、NIC、ルータなどがパケットをどう処理するかを、特定のプロトコルに依存せずに規定する。プログラムは対象機器ごとにコンパイルされ、FPGAやプログラマブルASIC、ソフトウェア基盤で実行される。

光ファイバ加入者網 FTTH Fibre To The Home
通信・ネットワーク

総務省の資料は、FTTHを、通信事業者の収容局から加入者宅まで光ファイバケーブルを敷設し、超高速インターネットアクセスを可能とするものと説明する。1芯の光ファイバを1加入者が占有するシングルスター(SS)方式と、カプラ等の分岐装置で1芯を複数の加入者が共有するPON方式があり、PONにはB-PON、GE-PONなどの規格がある。上りと下りの速度が同じで安定している点が、非対称で不安定なADSLやケーブルインターネットと異なる。

非地上系ネットワーク NTN Non-Terrestrial Network
通信・ネットワーク

衛星や高高度プラットフォームに中継ノードまたは基地局機能を搭載して構成する通信網。3GPP は Release 17 で NR 衛星アクセスの規範的要件を初めて規定し、5G NR を使う NR-NTN と、NB-IoT や eMTC を衛星経由で使う IoT-NTN の2系統で標準化を進めている。

プラガブル光トランシーバ Pluggable Optical Transceiver
通信・ネットワーク

通信装置のポートに抜き差しできる形状で標準化された、電気信号と光信号を相互変換するモジュールである。複数社が参加するMSAが機械寸法・電気インタフェース・伝送速度を規定することで、装置ベンダとモジュールベンダの分離とマルチベンダ調達を可能にし、世代ごとにレーン速度が引き上げられてきた。

マルチコアファイバ MCF Multicore Fiber
通信・ネットワーク

1本の光ファイバ内に複数のコアを設け、それぞれを独立した光路として使うファイバ。コアやモードを多重の次元として利用する方式を空間分割多重と呼ぶ。NICT は2023年、38コア3モードのファイバと750波の波長多重を組み合わせ、毎秒22.9ペタビットの伝送を実証したと発表した。

ミリ波 FR2 Millimeter Wave (5G NR FR2)
通信・ネットワーク

5G NR で FR2 と呼ばれる周波数範囲。3GPP TR 38.817-01 は FR1 を450〜6000MHz、FR2 を24250〜52600MHz と定義する。FR2 は50〜400MHz の広いチャネル帯域幅を使え、運用はビームフォーミングを前提とする。

ローカル5G Local 5G
通信・ネットワーク

地域の企業や自治体などが、自らの建物内や敷地内にスポット的かつ柔軟に構築できる第5世代移動通信システム。総務省の制度では無線局免許が必要で、4.5GHz帯と28GHz帯を使う。利用形態は自己土地利用と他者土地利用に区分され、2023年8月の制度改正で共同利用が追加された。