ロボットが環境と接触する際に、位置や力そのものではなく、外部からの変位と反力の関係(機械インピーダンス)を制御対象とする手法。Neville Hoganが1985年に理論として体系化し、ロボット側をインピーダンス、環境側をアドミタンスとして対で記述する枠組みを与えた。接触を伴う作業の制御の基礎になっている。
ロボット工学における遠隔操作とは、通信媒体を介して、通常は離れた場所からロボットを制御することを指す。
人が身につけて動作を補助するロボットである。Progress in Biomedical Engineering誌の総説は、装着型ロボティクス(wearable robotics)を外骨格(exoskeleton)とも呼ぶとし、人を中心に据えた支援のために数十年にわたり工学的に作られてきたと述べる。利用者が本来持つ能力を維持・向上させて自立を助ける支援技術であると同時に、リハビリテーションの新たな治療手段にもなる。剛体構造のものに加え、制御可能で柔軟な材料と構造による軟らかい外骨格(エクソスーツ)が現れている。
ロボットの行動生成を条件付きデノイジング拡散過程として定式化した視覚運動方策の学習手法。行動分布のスコア関数の勾配を学習し、推論時に反復的に最適化することで、同じ観測に複数の妥当な行動が存在する多峰性のある分布と、高次元の行動空間を安定して扱える。
安全柵で人と隔離せず、同一の作業空間を人と共有して稼働させることを前提としたロボットシステム。ISO/TS 15066:2016が、安全適合監視停止・ハンドガイド・速度分離監視・出力および力の制限という4つの協働運転方式と、人体各部の疼痛閾値データに基づく設計指針を示した。
アリや鳥の群れに見られる現象をロボットへ適応させる分野である。多数の単純で低コストなロボットが中央の制御主体なしに自己組織化・自律・協力・協調し、拡張性と柔軟性、頑健性を備えた系をつくる。通信はロボット同士が直接やりとりする直接型と、環境を介する間接型に分かれる。用途は家庭内の作業から軍事的な任務まで広い。
作業者が保管場所へ歩いて取りに行くのではなく、自動化設備が保管容器や物品を作業者のもとへ搬送するピッキング方式。歩行時間をなくして生産性を高め、通路を減らして保管密度も上げられる。ロボットが格子状に積んだ保管ビンを出し入れするキューブ型保管などが用いられる。
ロボットが把持した対象物の位置と姿勢を、手の作業空間内で任意の状態へ変化させる能力を指す。単純な把持と搬送を超え、手の中での持ち替え、工具の使用、対象物の再配向を含み、多指ハンドと多自由度の制御、そして接触状態の把握を必要とする。
事前学習した視覚言語モデルをロボットの実機データでファインチューニングし、画像と言語指示から直接動作指令を出力させるモデル。2024年に公開されたOpenVLAは70億パラメータで97万件の実機デモを学習し、汎化する視覚運動制御方策を得る方法として研究の中心になっている。
弾性体の表面が接触で変形する様子を内蔵カメラで撮影し、画像から接触形状・力・滑りを推定する触覚センサ。内部の複数色LEDによる照明とフォトメトリックステレオを組み合わせ、接触面を高解像度の深度マップとして復元する。器用な操作や材料特性の推定を支える。
未知の環境に置かれた移動ロボットが、環境地図の構築と自身の位置推定を同時に行う問題およびその手法。ランドマークの推定誤差が互いに強く相関することが本質的な難しさであり、確率的な定式化によって推定が収束することが示され、EKF-SLAMやFastSLAMが標準的な解法となっている。
機器と制御装置を組み合わせ、規定された自動化度合いのもとで物品の保管と入出庫を正確かつ迅速に行うシステム。スタッカクレーンやシャトル台車が保管棚との間を往復し、パレット、ケース、ビンといった単位で搬送する。保管密度と入出庫の速度を同時に高められる。
あらかじめ敷設した誘導路に依存せず、自ら経路を決めて構造化されていない空間を移動する産業用ロボット。米国のANSI/RIA R15.08-1-2020が産業用移動ロボットの安全要求を定めており、走行機能のみのタイプAから移動マニピュレータのタイプCまで3種類に分類している。
米国防総省指令3000.09は、自律型兵器システムを「起動後、操作者のさらなる介入なしに目標を選択し交戦できる兵器システム」と定義する。操作者が選定した目標のみに交戦する半自律型と区別され、武力行使に対する適切な人間の判断を保つ設計が求められる。
母船とケーブルでつながらずに単独で水中を航行する無人の潜水機である。米国海洋大気庁(NOAA)海洋探査局は、水中の調査を行うために用いられる無人・無索の機体と説明する。母船とテザーで結ばれる遠隔操作機(ROV)と異なり、事前に与えた指示に従って目的の地点へ向かい、取得した画像やセンサのデータを機内のコンピュータに蓄える。多くは電池で推進器とセンサを駆動する。
足裏の接地面上で水平方向のモーメント成分がともにゼロになる点。この点が支持多角形の内部にあることが二足歩行の動的バランスの条件とされ、歩行パターン生成と安定化制御の基準に用いられる。動的にバランスしていない歩容ではZMPは存在せず、圧力中心とは区別される。
車体の向きを変えずに任意の方向へ並進でき、同時に旋回もできる移動ロボットである。メカナムホイール、オムニホイール、スワーブドライブ、球体駆動などの機構があり、平面上の3自由度を独立に制御できる構成をホロノミックと呼ぶ。切り返しを要しないため狭い空間での搬送に向く。
多数のタスクにまたがるロボット操作を単一の方策で扱う、大規模な模倣学習モデル。拡散方策の枠組みをシミュレーションと実機の大規模データに拡張したもので、事前学習の規模と多様性が増すほど性能が向上し、新規タスクの習得に必要なデータ量が減るとされる。
多数の物体がある環境で、ロボットが自らの移動と物体の状態変化の双方を計画する問題である。離散的な行動列の決定と連続的な軌道生成が相互に依存するため同時に解く必要があり、タスク計画・動作計画のいずれの分野の手法単独でも扱えない点に難しさがある。
モータと出力の間にばねを直列に挿入し、そのたわみ量から出力力を測って制御するアクチュエータ構成。1995年にMITで提示された。力制御の問題をばねの位置制御の問題に置き換えることで、接触時の安定性と衝撃荷重に対する減速機の保護を得る一方、力制御の帯域は低下する。
シミュレーションの見え方や物理パラメータを意図的にランダムに変動させて学習させ、現実世界を学習分布の一変種としてモデルに扱わせる手法。実機画像を一切使わずに学習した物体検出器が実環境で機能することが2017年に示され、実機転移の代表的な方法になっている。
ICRCの人道法・政策ブログに掲載された論考は、徘徊型兵器を「使い捨ての無人航空機の一区分で、センサに基づく解析を組み込んで目標上空を旋回し、探知し、突入して爆発しうるもの」と説明している。目標選定と機動の機能に自動化・自律・AIの技術を組み込む機体もあるが、現行の製造者の多くは双方向データリンクで運用者が武力の行使を承認する方式だとしている。
対象物をどの位置・姿勢で掴めば安定して保持できるかを決める計算処理。近年は解析的な把持評価指標で生成した大規模な合成データを用い、深度画像から把持の成功確率を直接予測する学習ベースの手法が主流である。未知の物体を事前登録なしに扱える点が実用上の要になる。
楕円状の波動発生器で薄肉の弾性歯車を変形させ、剛性リングとの歯数差によって減速する歯車装置。単段で30:1から160:1程度の減速比が得られ、歯部には寿命全体を通じてバックラッシュがない。位置決め精度は1分角未満とされ、精密な回転関節の駆動部に用いられる。
コンピュータビジョンで得たデータを用いてロボットの運動を制御する手法である。画像から抽出した特徴量と目標値の差を誤差として定義し、相互作用行列を介してこれを零に近づける速度指令を生成する。特徴量の取り方により、画像ベース方式(IBVS)と位置ベース方式(PBVS)に大別される。
二足歩行や両腕など人間に似た形態をとるロボット。人向けに作られた環境や道具をそのまま使える点が期待される一方、能動的に安定を制御する必要がある。ISOでは脚・車輪などで能動的に安定を制御する産業用移動ロボットの安全要求として ISO/CD 25785-1 の策定が進んでおり、二足・四足のロボットが対象に含まれる。
カメラ、ロボット、自動運転車などの自律システムが物理世界を知覚・理解・推論し、複雑な動作を実行または統括するためのAIの総称。NVIDIAの用語解説では、空間的関係と3次元世界の物理的な挙動の理解を加えることで、従来の生成AIを拡張したものと位置づけられている。
道路や事前に用意した地図に依らず、整備されていない地形を車両が自律して走行する能力である。米陸軍DEVCOM陸軍研究所のAIMM計画は、戦闘車両が作戦上の速度で不整地を自律的に機動できる、頑健な航法の確立を課題として掲げる。事前の地図やGPSのデータに頼らない走行、複雑な地形を速く確実に進むための機械学習、文脈を踏まえた知覚処理、通信が妨げられた環境での協調が研究の柱となる。
永久磁石のロータと巻線のステータで構成し、ブラシと整流子を用いずに半導体の駆動回路で通電を切り替えて回転させる直流モーターである。摩耗する接触部品がないため寿命と効率で有利であり、動作には回転位置の検出と専用の駆動回路を必要とする。ドローンやロボットの動力として広く使われる。
人が乗り組まずに水面を航行する船である。米国海洋大気庁(NOAA)海洋探査局は、海上または陸上の運用者が遠隔で操作するか、あらかじめ計画した任務を与えて実時間の人的介入を最小限にしたまま判断させる形で運用すると説明する。多くは風、太陽光、波などの再生可能エネルギーで推進と搭載機器をまかない、厳しい環境や遠隔海域でも稼働できるとされる。用途として海底・水柱・生息域の地図化、海棲哺乳類や水産資源の調査、水質・大気質の監視、海洋ごみ・油流出・違法行為の検知が挙げられている。