冷却材にヘリウム、減速材に黒鉛を用い、被覆粒子燃料を装荷する原子炉である。軽水炉より高い温度の熱を取り出せる点が特徴で、日本の試験炉HTTRは炉出口冷却材温度950℃で設計されている。発電に加え、水素製造など高温の熱利用が想定される。冷却材の停止試験では自然に停止したと報告されている。
車両から取り外し、充電済みのものと入れ替えて使う着脱式の電池である。日本自動車研究所(JARI)の解説によれば、交換式バッテリは着脱式バッテリに分類され、現状ではシェアリングでの利用を主用途とし、交換式バッテリステーションで入れ替える方式では所要時間が1分以下になる。国内では2021年3月に電動二輪車向けの標準化が合意され、日本自動車技術会規格(JASO)として規格化された。欧州のSBMCとも連携が図られている。
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫が抗微生物薬に反応しなくなる現象である。世界保健機関は、その結果として感染症の治療が困難または不可能になり、感染拡大、重症化、障害、死亡の危険が高まるとする。2021年には細菌の抗菌薬耐性が世界で470万人を超える死亡に関連したと推定されている。
電気を用いて航空機を推進する技術の総称である。NASAグレン研究センターは、効率の改善と航空におけるエネルギー消費の削減に新たな可能性をもたらす技術と位置づける。構成はハイブリッド電動系からターボエレクトリックの各形態まで幅があり、要素技術として高効率の電動機、軽量材料、超電導技術が挙げられる。
Seminars in Thoracic and Cardiovascular Surgery 誌の総説によれば、高周波発生器から針状電極に交流を流し、組織内でイオンの振動を起こして熱を発生させ、標的の組織を熱的に破壊する治療手技である。同総説によれば温度は摂氏90度に達しうるとされ、電極周囲に凝固壊死が生じる。電極の留置には画像誘導が用いられ、最も一般的なのはCTである。
甲状腺の細胞膜を貫通する受容体で、下垂体が出す甲状腺刺激ホルモン(TSH)が結合すると甲状腺ホルモンの産生につながる反応が起きる。受容体の働きを変える遺伝子変異は甲状腺機能の低下や過剰と結び付けられ、自己免疫疾患であるバセドウ病も関連疾患として挙げられている。
移動しながら電波を送受信し、その信号処理によって実際のアンテナ寸法を超える分解能を得るレーダ。自ら電波を出すため夜間でも観測でき、マイクロ波の波長帯によっては雲や雨の影響も受けにくい。分解能と観測幅はトレードオフの関係にあり、災害対応や地表の継続監視に使われる。
生物を有用な目的のために設計し直し、新しい能力を持つよう工学的に作り替える科学分野である。米国国立ヒトゲノム研究所は、長いDNA配列をつなぎ合わせて生物のゲノムへ導入する手法を中心に据え、既存のDNAへ小さく標的を絞った改変を加えるゲノム編集と区別する。医療、製造、農業の課題を扱う。
高速中性子のスペクトルで運転する原子炉である。国際原子力機関(IAEA)は、高速中性子スペクトルによって熱中性子炉に比べ天然ウランから取り出せるエネルギーを大幅に増やせると説明する。冷却材の違いによりナトリウム冷却型、鉛および鉛ビスマス冷却型、ガス冷却型の開発が進められている。閉じた核燃料サイクルと組み合わせることで長期的な原子力利用を支え、核廃棄物の負担を減らせるとされ、主として増殖炉、近年は高レベル廃棄物の燃焼炉としても位置づけられる。
Molecules 誌に掲載された総説によれば、産業上の反応を効率よく触媒できるよう酵素を設計・改変する取り組みである。従来はランダム変異と選抜を繰り返す指向性進化が中心だったが、数千規模の変異体を実験で検証する必要があり時間と費用がかかる。近年はAIによる構造予測と配列設計が加わり、実験検証を要する変異体の数を減らしながら精度の高い設計が可能になってきたとされる。
がん細胞などの表面にあるタンパク質を認識するモノクローナル抗体に、リンカーを介して薬物を化学的に連結した医薬品である。抗体が標的細胞に結合して細胞内に取り込まれた後に薬物が作用するため、薬物が働く場所を抗体の認識能力によって絞り込む設計を取る。抗体、リンカー、ペイロードの組み合わせが設計上の変数となる。
ロボットが把持した対象物の位置と姿勢を、手の作業空間内で任意の状態へ変化させる能力を指す。単純な把持と搬送を超え、手の中での持ち替え、工具の使用、対象物の再配向を含み、多指ハンドと多自由度の制御、そして接触状態の把握を必要とする。
好中球のアズール顆粒に蓄えられるセリンプロテアーゼ群で、好中球エラスターゼ、プロテイナーゼ3、カテプシンG、NSP4が含まれる。感染防御や組織修復に働く一方、過剰な活性は組織傷害の主要な媒介因子となり、慢性の呼吸器疾患を中心に創薬の標的とされている。
データセンタ内の電力を、ラック単位の54V直流ではなく800V級の直流で配る給電方式である。NVIDIAの技術文書は、54V方式では1MW規模で最大200kgの銅バスバーを要し、電源シェルフがラック空間を占め、AC/DC変換の繰り返しが効率と信頼性を損なうと説明する。800V直流では同じ導体断面で85%多く送電でき、銅の使用量を45%削減し、端から端までの電力効率が最大5%改善するとされる。
需要家側のエネルギー使用量を短い時間間隔で計測し、通信網を介して事業者側へ送る電子計器と通信基盤の総称である。月次の検針に代わって細かいデータを供給し、停電の検知や低圧側の電圧監視、分散型エネルギー資源の計測などに使われ、配電系統の運用と長期の設備計画を支える基盤となる。
血管内皮増殖因子(VEGF)のシグナルを妨げる薬剤を用いる治療の総称である。米国国立眼研究所は、滲出型の加齢黄斑変性に対して医師が眼内に注射する抗VEGF薬を治療選択肢として挙げている。抗体や融合タンパク質などの形式があり、硝子体内への投与間隔をいかに延ばすかが開発上の論点となっている。
IAEAが電気出力300MW(e)以下の先進原子炉と定義する炉型である。主要機器を工場でモジュールとして製造し、設置場所へ輸送して据え付ける方式をとる。固有安全性と受動的安全機能により安全性能を高め、単一モジュールでも複数モジュール構成でも運用でき、需要に応じた段階的な容量追加が可能とされる。
パリ協定6条2項に基づいて国家間で移転される緩和成果の単位。ホスト国が投資、能力構築支援、技術へのアクセスと引き換えに単位を売却し、購入国が自国の気候目標達成の不足分に充当する。発行から使用・移転までが国際登録簿で追跡され、二重計上を防ぐ仕組みが置かれている。
NASA は極超音速飛行を「マッハ5を超える速度、すなわちその場の音速の5倍を超える速度での飛行」と定義している。この領域では複雑な衝撃波の干渉と増大した空力加熱が問題になり、飛行時に想定される条件・規模・持続時間で極超音速の空気吸込み式エンジンを地上試験する能力が限られる点が課題として挙げられている。
それ自体の味ではなく、基本味の強さを高める呈味修飾物質である。PLOS ONE に2012年に掲載された丸山らの研究は、コク味物質を塩味・甘味・うま味の強度を高める物質と説明し、カルシウム感知受容体(CaSR)がその受容体として働くとする。CaSR作動性のγ-グルタミルペプチドがコク味物質にあたり、なかでもγ-グルタミル-バリル-グリシン(γEVG)が最も強い。
プロトン伝導性の固体高分子膜を電解質として水を電気分解し、水素を製造する方式。米国エネルギー省の技術目標では、システム効率を2022年時点の55kWh/kg-H2から最終的に46kWh/kg-H2へ、システム資本費を1,000ドル/kWから150ドル/kWへ下げることが掲げられている。
高分子の膜を電解質に用いる燃料電池。米エネルギー省(DOE)によれば、膜は正に帯電したイオンだけを通し電子を通さない。膜の両面に白金を炭素上に分散させた触媒層を設け、その外側にガス拡散層を置いた膜電極接合体(MEA)が中核をなす。バイポーラプレートで多数のセルを直列に積層する。
イットリア安定化ジルコニアを電解質に用い、500〜1,000℃の高温で作動する燃料電池。発電効率は低位発熱量基準で60%、スタック規模は1kWから2MWとされる。燃料の選択自由度が高く熱電併給に適する一方、高温腐食、起動時間の長さ、停止回数の制約が課題に挙げられている。
燃料と酸化剤をあらかじめ混合し固体の推進薬グレインとして成形したロケット推進装置である。可動部が少なく短時間で着火でき、外部の酸素を必要としないため真空中でも動作する。一方で比推力は液体推進系に劣り、飛行中に推力を絞る操作が難しい。推力の時間変化はグレインの形状で設計する。
光の送受信機能をスイッチ ASIC などの大規模チップと同一パッケージ内に統合する実装方式。OIF は2023年4月、業界初の共パッケージ標準として 3.2T Co-Packaged Module 実装合意を公開し、合計51.2Tb/s のスイッチ向けに光と電気のインタフェースを定義した。
光の振幅と位相の両方に情報を載せ、受信側のデジタル信号処理で伝送路の歪みを補償する方式。OIF は 400ZR と 800ZR の実装合意を策定し、80kmから120km のデータセンタ間接続を小型プラガブルモジュールで相互接続するための変調方式や FEC の条件を規定している。
一定の地理的範囲において、複数の需要家が一つの太陽光発電設備の便益を分け合う事業形態である。加入者は月額の購読料を支払い、発電量に応じた価値をクレジットとして電気料金から差し引く形で受け取る。屋根に自ら設置できない賃貸居住者などにとっての参加手段となる。
利用者がサーバーの調達や台数管理を行わず、コードを預けるだけで実行環境が自動的に確保・拡縮される計算モデルである。出典は「サーバーレス=FaaS+BaaS」と定義し、明示的なプロビジョニングなしに自動拡縮し、使用量に基づいて課金されることを条件とする。
損傷した軸索が自己を分解するプログラム軸索変性の実行酵素である。TIRドメインがNAD+を切断する活性を持ち、前駆体NMNとNAD+の比の上昇を感知して活性化する。軸索変性が関与する神経疾患を対象とする創薬標的として注目され、酵素活性を止める低分子阻害薬の開発が進む領域である。
電磁波の反射や透過の特性を動的に制御できる面状のデバイス。ETSI GR RIS 001 は、ユニットセルと呼ぶ散乱素子を配列し、その電磁的な振る舞いを動的に制御できる新しいネットワークノードと定義する。カバレッジ改善やビーム管理、測位精度の向上などが想定用途に挙げられている。