用語集

再使用型ロケット RLV Reusable Launch Vehicle
宇宙

打上げ後に機体または第1段を回収し、整備して繰り返し使うロケット。使い捨て方式では毎回失われる構造とエンジンを再利用することで、打上げ費用の低減と打上げ頻度の向上を狙う。経済性は再使用回数と整備に要する期間に左右される。垂直離着陸方式による飛行実証が各国で進んでいる。

再生可能エネルギー証書 REC Renewable Energy Certificate
環境・気候

再生可能エネルギーで発電され系統に供給された電力1メガワット時ごとに発行される市場性のある証書であり、電力そのものではなく環境価値などの非電力属性に対する権利を表す。追跡システムで管理され、需要家が再生可能電力の使用を主張する際の根拠となる。

細胞外小胞 EV Extracellular Vesicle
バイオ・創薬

細胞から放出される、脂質二重膜で囲まれた粒子である。国際細胞外小胞学会(ISEV)の指針MISEV2023は、細胞外小胞を「細胞から放出され、脂質二重膜で区切られ、それ自身では複製できない(すなわち機能的な核を持たない)粒子」と定義する。同学会は、分離法の多くがどの細胞内経路で作られた小胞かを確定できないことから、エクソソームやエクトソームといった生合成経路に基づく名称ではなく、総称として細胞外小胞を用いることを推奨している。

細胞外マトリックス ECM Extracellular matrix
バイオ・創薬

細胞の外側の空間を満たす高分子のネットワーク。グリコサミノグリカンとプロテオグリカンが保水性の高いゲル状の基質を作り、そこにコラーゲンやエラスチン、フィブロネクチン、ラミニンなどの繊維状タンパク質が組み込まれる。組織の力学的支持に加え、接する細胞の挙動も制御する。

細胞治療 Cellular Therapy
バイオ・創薬

細胞そのものを治療の手段として用いる製品の総称である。米国食品医薬品局は、細胞性免疫療法、がんワクチン、特定の適応に対する自家および他家の細胞をこれに含めるとし、造血幹細胞ならびに成体幹細胞と胚性幹細胞も規制の対象に挙げる。米国では生物製剤評価研究センター(CBER)が所管する。

座標測定機 CMM Coordinate Measuring Machine
製造・工作機械

プローブで被測定物表面の座標を取得し、寸法や幾何公差を評価する測定機。ISO 10360-2:2009 は、接触式プローブを点測定モードで用いる直交座標形CMMを対象に、製造業者が示す性能を確認する受入試験と、使用者が性能の維持を確認する定期的な再検証試験を規定している。

酸化ガリウム Ga2O3 Gallium Oxide
半導体

炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)よりさらに大きなバンドギャップを持つ半導体材料である。情報通信研究機構(NICT)は、高い絶縁破壊電界という物性から超高耐圧領域でのパワースイッチング応用が見込まれ、電力変換時の損失低減による省エネルギー化への貢献が期待されるとする。融液成長法によって低コストで大口径の単結晶基板を作れる可能性が産業化に向けた優位性とされる。

算術平均粗さ Ra Arithmetical Mean Deviation of the Assessed Profile
製造・工作機械

評価対象の粗さ曲線について、基準長さ内の高さ座標の絶対値を平均した値。断面曲線にガウシアンフィルタをかけて粗さ曲線を求め、基準長さごとに算出する。表面粗さを表す最も基本的なパラメータで、現行の規定は ISO 21920-2:2021 にある。

酸素還元反応 ORR Oxygen reduction reaction
エネルギー・蓄電

燃料電池や金属空気電池の空気極で、酸素が電子とプロトンを受け取って水に変換される電気化学反応である。水素酸化反応より速度が遅く過電圧が大きいため、電極触媒の活性がセル性能を支配する。4電子還元の選択性を保ちつつ白金使用量を減らすことが開発上の課題となる。

CAR-T細胞療法 CAR-T CAR T-cell therapy
バイオ・創薬

患者から採取したT細胞に、がん細胞表面の抗原を認識するキメラ抗原受容体(CAR)を発現させる遺伝子改変を加え、増殖させてから患者に戻す細胞免疫療法である。米国では血液がんを対象に複数の製品が承認されており、採血から投与までにかかる期間は約3〜5週間とNCIは説明している。

GaNパワー半導体 GaN Gallium Nitride Power Device
半導体

窒化ガリウムを用いたパワーデバイス。レビュー論文によれば、GaNは商用パワー半導体材料の中で最も広いエネルギーギャップ(3.4eV)、最大の臨界電界、最高の飽和速度を併せ持つ。AlGaN/GaNヘテロ接合による二次元電子ガスを使ったHEMT構造が主流で、1MHzを超えるスイッチングが可能とされる。

CA貯蔵 CA Controlled atmosphere storage
農業・食料

貯蔵環境の酸素と二酸化炭素の濃度を制御して青果物の呼吸とエチレン生成を抑え、日持ちを延ばす技術。FAOは精密に監視・制御できる0.7〜1.5%の低酸素濃度の例を挙げ、包装内の雰囲気を調整するMA包装では酸素2〜5%、二酸化炭素8〜12%の設計例を示している。

GLP-1受容体作動薬 GLP-1 RA GLP-1 Receptor Agonist
バイオ・創薬

インクレチンホルモンGLP-1の作用を模倣する薬剤群。血糖が高いときに膵β細胞からのインスリン分泌を促し、α細胞のグルカゴン産生を抑え、胃排出を遅らせ、視床下部への直接作用で満腹感を高める。米国では2型糖尿病と肥満症の治療、確立した動脈硬化性心血管疾患での心血管リスク低減に承認されている。

CO2回収・利用・貯留 CCUS Carbon Capture, Utilisation and Storage
環境・気候

排出源からCO2を回収し、輸送したうえで地層に貯留するか、製品の原料として利用する一連の技術群。IEAは産業部門と発電部門に適用できる重要な排出削減技術と位置づけている。セメントや鉄鋼などプロセス由来の排出が避けられない産業で役割が大きい。

視覚言語行動モデル VLA Vision-Language-Action Model
ロボティクス

事前学習した視覚言語モデルをロボットの実機データでファインチューニングし、画像と言語指示から直接動作指令を出力させるモデル。2024年に公開されたOpenVLAは70億パラメータで97万件の実機デモを学習し、汎化する視覚運動制御方策を得る方法として研究の中心になっている。

視覚言語モデル VLM Vision-Language Model
AI基盤

画像や映像と自然言語を共通の表現空間で扱い、視覚内容の説明や質問応答、言語による指示の解釈を行うモデルである。大規模言語モデルを視覚領域へ拡張する試みとして発展し、汎用のマルチモーダル基盤モデルのほか、ロボットの行動生成や自動運転のシーン理解の構成要素としても組み込まれる。

視覚ベース触覚センサ Vision-based Tactile Sensor
ロボティクス

弾性体の表面が接触で変形する様子を内蔵カメラで撮影し、画像から接触形状・力・滑りを推定する触覚センサ。内部の複数色LEDによる照明とフォトメトリックステレオを組み合わせ、接触面を高解像度の深度マップとして復元する。器用な操作や材料特性の推定を支える。

磁気共鳴画像法 MRI Magnetic Resonance Imaging
ヘルスケアデバイス

米国国立生体医工学画像研究所(NIBIB)の解説によれば、三次元の詳細な解剖学的画像を生成する非侵襲の画像技術である。生体組織を構成する水に含まれる陽子の回転軸の向きの変化を励起し検出する原理に基づく。強い磁石で陽子を磁場に整列させ、高周波電流をパルス状に印加して平衡から外し、高周波を切った後に陽子が再整列する際に放出されるエネルギーを検出する。X線やCTのような電離放射線を用いない点が特徴とされる。

子宮内膜症 Endometriosis
バイオ・創薬

子宮の内膜に似た組織が、子宮の外の場所で増殖する疾患である。米国国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)は、最も一般的な婦人科疾患のひとつと位置づけ、主な症状として疼痛と不妊を挙げる。診断を確定できる方法は現時点では手術のみとされる。治癒させる治療法は無いが、症状に対する有効な治療の選択肢はあるとされ、機序・診断・治療の理解を進める研究が支援されている。

シクロデキストリン CD Cyclodextrin
バイオ・創薬

グルコースがα-1,4結合で環状につながった環状オリゴ糖である。外側が親水性、中央の空孔が親油性という構造を持ち、難溶性分子を空孔に取り込む包接複合体を形成するため、医薬品の可溶化剤や輸送体として用いられる。環サイズによりα体・β体・γ体があり、水溶性を高めた化学修飾誘導体も広く使われる。

自己位置推定と地図構築の同時実行 SLAM Simultaneous Localization and Mapping
ロボティクス

未知の環境に置かれた移動ロボットが、環境地図の構築と自身の位置推定を同時に行う問題およびその手法。ランドマークの推定誤差が互いに強く相関することが本質的な難しさであり、確率的な定式化によって推定が収束することが示され、EKF-SLAMやFastSLAMが標準的な解法となっている。

指向性エネルギー堆積 DED Directed Energy Deposition
製造・工作機械

ノズルから供給した材料を、レーザや電子ビームなどの指向性エネルギーで溶融しながら対象面に堆積させ、層を積み上げる積層造形方式。金属粉末はシールドガスとともにノズルから流出し、ビームで加熱された面に接触して溶融、凝固して層を形成する。粉末床を敷かず対象物の表面に直接材料を供給する点が特徴である。

指向性エネルギー兵器 DEW Directed Energy Weapon
センシング・光学

集束した電磁エネルギーを目標に照射する兵器の総称で、高エネルギーレーザ、ミリ波、高出力マイクロ波が含まれる。弾薬を消費せず光速で到達し1射あたりの費用が低い一方、霧や降雨などの大気条件でビーム品質と有効射程が低下する。主に対ドローン用途で試験が進む。

指向・捕捉・追尾 PAT Pointing, Acquisition and Tracking
宇宙

空間光通信の端末が相手局へビームを向け、走査して捕らえ、通信中その方向を保ち続けるための一連の機構と制御である。レーザビームが細いために必要となり、粗指向のジンバルと精指向の高速可動ミラーで構成される。リンク確立までの遅延と端末の体積・質量を左右する。

自己教師あり学習 SSL Self-Supervised Learning
AI基盤

人手のラベルを使わず、データ自体から作った疑似的な課題(プリテキストタスク)を解かせて表現を学習する手法。大量の未ラベルデータをそのまま学習に使えるため、大規模な基盤モデルの事前学習で標準的な方法になっている。課題の設計と学習設定の選び方が結果を左右する。

自己修復材料 Self-Healing Material
素材・化学

損傷を自ら検知し、化学反応によって修復する材料。修復に必要な物質をあらかじめ内部に含む方式、環境中の物質を利用する方式、環境から能動的に集める方式に分けられる。高分子、コーティング、複合材料、金属、セラミックス、コンクリートで研究されている。

自己免疫疾患 Autoimmune Disease
バイオ・創薬

免疫系が正常に働かず、健常な細胞・組織・臓器を誤って攻撃することで生じる疾患群である。米国国立環境衛生科学研究所は、この攻撃が身体のあらゆる部位に及びうるとする。80を超える自己免疫疾患が知られ、1型糖尿病、多発性硬化症、ループス、関節リウマチのように広く知られたものから、まれで診断が難しいものまで含まれる。

脂質ナノ粒子 LNP Lipid nanoparticle
バイオ・創薬

イオン化脂質、リン脂質、コレステロール、PEG脂質から構成される核酸送達用のナノ粒子である。mRNAやsiRNAを内包して細胞内へ運び、酸性化したエンドソーム内でイオン化脂質が正電荷を帯びて膜を不安定化することで、核酸を細胞質へ放出する。脂質組成が体内分布と集積臓器を左右する。

ジストニア Dystonia
バイオ・創薬

筋肉の不随意な収縮によって、ねじれるような動きや反復的な動きが生じる運動障害である。米国立医学図書館のMedlinePlusは、収縮が痛みを伴うことがあり、単一の筋肉、筋群、全身のいずれにも及びうると説明する。症状は小児期に始まることが多いが、10代後半から成人早期に始まることもある。治癒させる方法は無く、薬剤、ボツリヌス毒素注射、手術、理学療法などで筋けいれんと痛みを抑える。

次世代シーケンシング NGS Next-Generation Sequencing
バイオ・創薬

ヒトゲノム計画の完了後に使えるようになったDNA塩基配列決定技術の総称である。第一世代のサンガー法に比べて高速かつ安価に大量の配列を読み取れる点が特徴で、装置と試薬の組み合わせとして供給され、ゲノム解析の対象と規模を大きく広げた技術群である。