用語集

事前確定変更管理計画 PCCP Predetermined Change Control Plan
ヘルスケアデバイス

AI搭載機器ソフトウェア機能について、市販後に予定している変更をあらかじめ市販前申請の中でFDAに審査してもらう枠組み。計画の範囲内であれば個々の変更ごとに新たな市販前申請を要しないため、学習型アルゴリズムの改良速度が規制手続きに律速されにくくなる。

視線計測 Eye Tracking
センシング・光学

人が空間内のどこを見ているかを推定する技術である。代表的な方式は、赤外光による角膜反射像(グリント)と瞳孔の位置関係から視線方向を求めるもので、グリントの個数と配置が推定精度に影響する。装着型機器や医療用光学機器への組み込みが進み、消費電力と処理をどこで行うかが実装上の制約となる。

持続可能な航空燃料 SAF Sustainable Aviation Fuel
環境・気候

再生可能原料または廃棄物由来で、持続可能性基準を満たす航空燃料。ICAOのCORSIAでは、ライフサイクル排出量が従来の航空燃料の基準値より一定割合低いことが適格性の条件となる。既存の機体と給油設備をそのまま使えるドロップイン燃料である点が特徴である。

持続血糖モニタリング CGM Continuous Glucose Monitoring
ヘルスケアデバイス

体液中のグルコース濃度を、定められた期間にわたり連続的または高頻度に自動測定する装置。FDAは、自動インスリン投与システムを含む接続機器へ測定値を確実に伝送できるものを一体型CGM(iCGM)と定義し、21 CFR 862.1355のクラスII、審査区分510(k)として分類している。

実験計画法 DOE Design of Experiments
製造・工作機械

実験の計画段階で因子と水準の組み合わせを体系的に設計し、限られた試行回数から妥当かつ客観的な結論を導く統計的手法である。工程変数を意図的に変化させて応答への影響を観測し、主効果と交互作用として推定することで、実験労力あたりの情報量を最大化する。

自動運転システム ADS Automated Driving System
モビリティ

人の運転者に代わって車両の運転操作を担うシステムである。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、自動化の水準を5段階に整理し、レベル2までは運転者が操作を監視し責任を負う一方、レベル3では要請に応じて運転者が引き継ぐ必要があり、レベル4と5では作動中はシステムが運転し人は同乗者となると説明する。同局は、自動化の水準を上げることが衝突に至る一連の事象から人間の運転者を外すことにつながるとしている。

自動車安全度水準 ASIL Automotive Safety Integrity Level
モビリティ

車載の電気・電子システムに求める安全要求の厳しさを表す区分で、A、B、C、Dの4段階がある。ISO 26262 はこの水準を用いて、不合理な残存リスクを避けるためにどの要求を適用するかを指定する。水準はハザード分析とリスクアセスメントの結果から決まる。

自動車線維持システム ALKS Automated Lane Keeping System
モビリティ

車両の横方向と縦方向の動きを制御し、運転者の追加操作なしに車線内を走行し続けるシステム。国連規則第157号がM1カテゴリの車両を対象に定めており、2021年に公表されたテキストでは作動速度の上限を60km/hとする。運転者への移行要求と最小リスクマヌーバの手順も規定される。

自動走行農機 Autonomous agricultural machinery
農業・食料

ロボット技術を組み込んで自動走行・作業を行う車両系の農業機械。日本では農林水産省の「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」(平成29年3月策定、令和6年3月改正)が、リスクアセスメントの実施など安全性確保の考え方と関係者の役割を定めている。

自動倉庫システム AS/RS Automated Storage and Retrieval System
ロボティクス

機器と制御装置を組み合わせ、規定された自動化度合いのもとで物品の保管と入出庫を正確かつ迅速に行うシステム。スタッカクレーンやシャトル台車が保管棚との間を往復し、パレット、ケース、ビンといった単位で搬送する。保管密度と入出庫の速度を同時に高められる。

自動体外式除細動器 AED Automated External Defibrillator
ヘルスケアデバイス

米国国立心肺血液研究所(NHLBI)の解説によれば、除細動器は心臓に電荷または電流を加えて正常な拍動を取り戻させる装置であり、そのうち自動体外式除細動器(AED)は多くの公共空間に置かれ、心停止の状態にある人の命を救いうるものとされる。装置が操作者に手順を指示するため、訓練を受けていない人でも緊急時に使用できると説明されている。突然の心停止は、CPRと除細動器による即時の処置なしには致死的であるとされる。

自動調剤装置 ADD Automated Dispensing Device
ヘルスケアデバイス

医薬品の保管、取り出し、在庫管理をコンピュータ制御で行う装置である。利用者の権限に応じて払出しを制御し、取引記録を残す。バーコードによる機械可読識別と薬剤師による監査を組み合わせて運用され、薬剤部内に置く集中型と使用場所に置く分散型がある。

磁場閉じ込め核融合 MCF Magnetic Confinement Fusion
エネルギー・蓄電

強い磁場によって電離した荷電粒子であるプラズマを容器壁から隔離し、核融合反応に必要な高温・高密度状態を一定時間保持する方式である。単純なドーナツ状磁場では粒子が漂って逃げるため磁力線をらせん状にねじる必要があり、その作り方の違いによってトカマクとステラレータという代表的な二つの装置形式に分かれる。

磁場反転配位 FRC Field-Reversed Configuration
エネルギー・蓄電

トロイダル磁場をほとんど持たないコンパクトトーラス型のプラズマ閉じ込め配位である。プラズマ自身が流す電流が外部磁場を打ち消して反転させ、閉じた磁力線の領域をつくる。磁気圧に対するプラズマ圧の比が高いことと、装置構造が単純であることが特徴とされる。

脂肪代替素材 Fat replacer
農業・食料

脂肪の機能の一部または全部を担い、脂肪より少ないカロリーしか与えない食品素材である。Discover Food 誌に2025年に掲載された総説はこう定義したうえで、脂肪代替素材を、脂肪と同様に働く低カロリーまたは無カロリーの fat substitute と、水溶性で極性をもつ分子である fat mimetic に分ける。前者は炭水化物系・タンパク質系・脂質系に分類され、後者にはハイドロコロイド、タンパク質、タンパク質凝集体、エマルションゲル、セルロース微繊維が含まれる。

弱毒生ワクチン LAV Live Attenuated Vaccine
バイオ・創薬

実験室で弱毒化した野生型のウイルスや細菌を用いるワクチン。米疾病対策センター(CDC)は、接種された人の体内で増殖する必要があると説明する。免疫系は弱毒化されたワクチン株と野生株の感染を区別しないため、生じる免疫応答は自然感染によるものとほぼ同一になる。

車載レーダ Automotive Radar
モビリティ

車両に搭載し、電波によって周囲の物体を検出するレーダである。ITU-R勧告M.2057-1は、高度道路交通システム(ITS)用途として76-81GHz帯の電波標定業務で運用される車載レーダのシステム特性を規定する。同勧告は用途を2区分し、測定距離250mまでのアダプティブクルーズコントロールと衝突回避には連続1GHzの帯域幅、測定距離100mまでの死角検知、車線変更支援、後退時の横断警報、歩行者や自転車の近接検知といった高分解能用途には4GHzの帯域幅を要するとしている。

収穫ロボット Harvesting Robot
農業・食料

果実などの収穫作業を自動化する農業用ロボット。農研機構が開発したイチゴ収穫ロボットは、画像処理で果実の着色度を判別して収穫適期の果実だけを選択収穫する。人の腕に相当するマニピュレータとエンドエフェクタで果柄を把持切断して摘み取り、トレイ収容部に収める。移動プラットフォームに搭載され、通路側の機は通路を、内側の機は栽培ベッドの下を走行する。夜間に稼働させることで収穫労力を削減する。

集光型太陽熱 Concentrating Solar Thermal
エネルギー・蓄電

鏡で太陽光を受熱器へ集め、高温の熱として取り出す方式である。米エネルギー情報局(EIA)は、太陽熱発電の系がいずれも太陽光を捉えて受熱器に集める反射鏡と受熱器という二つの主要部からなり、多くの方式では受熱器の中で熱媒が加熱・循環されて蒸気を作ると説明する。太陽の位置の変化に合わせて集光を保つ追尾機構を備え、集光の方式は線形集光(パラボリックトラフ、線形フレネル反射鏡)、タワー型、ディッシュ型に大別される。蓄熱系を併設すれば、日中に集めた熱を夜間や曇天時にも使える。

集じん装置 Dust Collector
環境・気候

排ガスに含まれる粒子状物質を捕集し、大気への排出を抑える装置の総称である。米国環境保護庁(EPA)のクリーンエア技術センターは、ろ過式集じん装置(バグフィルタ)、サイクロン、電気集じん装置、湿式スクラバ、重力沈降室、カートリッジ式集じん装置、HEPAおよびULPAフィルタといった方式ごとに、適用範囲・排出削減量・費用・特性をまとめた技術概要を公開している。このうちサイクロンについてEPAの大気排出モニタリング知識ベースは、遠心力と慣性力によって気流から粒子を分離するとし、装置内部に二重の渦を生じさせて気体をらせん状に旋回させると説明する。サイクロンは一般に直径10マイクロメートルを超える粒子の捕集に用いられ、後段の集じん装置の入口粒子負荷を下げる前処理装置として使われることが多い。

周波数ホッピング拡散スペクトラム FHSS Frequency Hopping Spread Spectrum
通信・ネットワーク

送信に使う搬送波の周波数を、あらかじめ定めた擬似ランダム系列に従って次々と切り替える無線方式である。米国立標準技術研究所(NIST)のSP 800-121 Rev.2は、Bluetoothが伝送にFHSSを用いると述べ、BR/EDR機器では1MHz幅の79の無線チャネルを、データ/音声リンクで毎秒およそ1600回切り替えると説明する。送受信の双方が同じ系列をたどることで通信が成立する。同文書は、FHSSが干渉と伝送誤りを減らす一方、伝送そのものの秘匿性はわずかしか与えないとしている。

重要鉱物 Critical minerals
素材・化学

経済安全保障や国家安全保障にとって不可欠であり、かつ供給網が途絶リスクを抱える非燃料の鉱物および鉱物材料を指す政策用語である。各国が定期的に一覧を策定し、探査支援、加工能力の整備、リサイクル、代替材料開発などの政策対象を定める基準として用いる。

重量エネルギー密度 Gravimetric energy density
エネルギー・蓄電

単位質量あたりに取り出せる電気エネルギーで、単位はWh/kg。比エネルギーとも呼ぶ。活物質、セル、モジュール、パックのどの階層で測るかで値が変わるため単独では比較できない。米国エネルギー省のBattery500コンソーシアムは、セルレベル500Wh/kgを1,000サイクル成立させることを目標に掲げている。

手術支援ロボット RAS Robotically-Assisted Surgical Device
ヘルスケアデバイス

術者がコンソールからコンピュータとソフトウェアを介して手術器具を制御し、小さな切開創から手技を行えるようにする装置。FDAは、直接の人的操作なしに手術を行うことはできないため実際にはロボットではないと説明し、訓練を受けた医師による腹腔鏡下手術用としてクリアランスしている。

受動的音響モニタリング PAM Passive Acoustic Monitoring
センシング・光学

自ら音波を発することなく、ハイドロホンで水中の音を記録し、音源の存在や種類を推定する観測手法である。NOAAは海底に係留する固定型記録器やグライダー、漂流ブイなどを用い、長期の音響データを収集していると説明している。自ら音を出さないため、長期の無人観測や監視用途に用いられる。

需要家側電源 BTM Behind-the-Meter Generation
エネルギー・蓄電

電力量計を境として需要家側に設置される発電・蓄電設備を指す。負荷の近くで発電するため送配電損失を避けられ、設計次第で供給途絶に対する耐性を高められる。余剰電力の扱いが制度上の論点となり、大規模計算設備の電力確保でも用いられる。系統接続の待ち時間を回避する手段にもなる。

腫瘍溶解性ウイルス療法 Oncolytic Virus Therapy
バイオ・創薬

腫瘍細胞に感染して増殖し、細胞を破壊するウイルスを用いるがん治療である。米国立がん研究所(NCI)は、自然界に存在するウイルスと実験室で改変したウイルスの双方があり、改変型は健常な細胞を傷つけずにがん細胞の中で効率よく複製するよう設計されると説明する。ウイルスが腫瘍細胞に感染すると細胞が破裂するまで複製が進み、放出された腫瘍抗原が免疫系にがんの存在を知らせるため、免疫療法の一種として位置づけられている。

循環腫瘍DNA ctDNA Circulating Tumor DNA
バイオ・創薬

腫瘍から血中に放出された断片化DNA。米食品医薬品局(FDA)のガイダンスは ctDNA を「患者の血流中に放出された、細胞に付随しない腫瘍由来の断片化DNA」と定義する。量は腫瘍の種類・部位・病期・腫瘍量・治療反応によって変わる。手術や標準治療の後に残る ctDNA は分子的残存病変(MRD)を示し、予後不良と再発リスクの高い集団の選別に用いられる。

昇華再結晶法 PVT Sublimation Recrystallization (Physical Vapor Transport)
半導体

SiCの固体原料を2000℃以上で加熱して昇華させ、気相で輸送した原子を低温部に置いた種結晶の上に再結晶させ、塊状の単結晶を育成する手法である。常圧で融解しないSiCに対する主流の製造法であり、改良レーリー法、物理気相輸送法(PVT法)とも呼ばれる。

商業宇宙ステーション Commercial Space Station
宇宙

低軌道に民間事業者が所有・運用する有人の宇宙ステーション。NASAは2030年に運用期限を迎える国際宇宙ステーション(ISS)から商業宇宙ステーションへ移行する計画を掲げ、段階的な方式で設計・開発・実証を支援している。NASAは施設を保有せず、他の顧客とともにサービスを購入する立場に回る。低軌道での有人プラットフォームが途切れることを避け、微小重力研究の継続と費用の低減を狙う。