カテーテルを脳血管まで進め、閉塞の原因となった血栓を器具で物理的に取り除く血管内治療である。主幹動脈閉塞による急性虚血性脳卒中に対する標準治療として位置づけられ、ステント型回収器で絡め取る手技と、吸引カテーテルで陰圧をかけて除去する手技の二系統がある。治療成績は再灌流の程度で評価される。
部品の形状、姿勢、位置、振れに関する許容範囲を記号で指示する体系。ISO 1101:2017 は製品の幾何特性仕様(GPS)の中核規格として、工作物の幾何仕様のための記号言語とその解釈規則を定義し、幾何仕様の基礎を与える。図面のほか3D CADモデル上の指示にも対応する。
プリン体代謝の最終段階でヒポキサンチンおよびキサンチンを尿酸へ酸化する酵素キサンチンオキシダーゼを阻害し、体内での尿酸産生そのものを減らす薬剤群である。アロプリノールやフェブキソスタットが代表例で、高尿酸血症・痛風に対する尿酸降下療法の一次治療として広く用いられる。
技術の成熟度を1から9までの9段階で表す指標である。NASAの定義では、基礎原理の確認にあたるTRL1から、概念実証、プロトタイプ製作、実運用環境での実証を経て、実際のミッションで運用実績を得たTRL9までを区分する。研究開発の進捗把握と資源配分の判断に用いられる。
患者数の少ない疾患を対象とする医薬品に与えられる制度上の位置づけである。米国では希少疾病用医薬品法に基づく指定により、対象となる臨床試験の税額控除、審査手数料の免除、承認後に最大7年間の市場独占権を得られる可能性といった優遇が受けられる。指定は承認そのものではない。
軌道上にある宇宙機へ別の宇宙機が接近し、寿命の延長や燃料の補給、搭載機器の更新、軌道の変更などを行う事業領域。打ち上げ済み資産の運用期間を延ばし、後から機能を追加することを狙う。燃料を使い切った通信衛星に取り付いて軌道制御を代行する用途で、運用事業者の関心が高い。
打上げ後の宇宙機に軌道上で推進薬を補給する技術である。NASAは軌道上サービスの機能として、打上げ後の衛星に燃料を補給し、修理し、機器を更新することを挙げており、燃料枯渇による運用終了を避けて運用期間を延ばす手段と位置づけている。燃料デポやサービス機を前提とした軌道上インフラの構成要素にあたる。
ネオジム・鉄・ホウ素を主成分とする焼結磁石に代表される、希土類元素を用いた高性能な永久磁石である。保磁力、最大エネルギー積、最高使用温度によって性能が特徴づけられ、電動車のトラクションモーターや風力発電機、ドローンやロボットの小型モーターに用いられる。
スカンジウム、イットリウムおよびランタノイドからなる17元素の総称である。米国地質調査所(USGS)は、これらを比較的豊富に存在する元素群と位置づけ、セリウムは地殻中で25番目に多く濃度は60ppm、ツリウムとルテチウムは最も存在量が少なく約0.5ppmとする。単体は鉄灰色から銀白色の金属光沢を持ち、軟らかく展延性に富み、とくに高温で反応性が高い。主要な鉱物源としてバストネサイト、モナザイト、ロパライトおよびラテライト性のイオン吸着型粘土が挙げられている。
設計した論理回路が仕様どおりの機能を、広範な動作条件のもとで正しく果たすことを確認する工程。検証対象(DUT)に刺激を与えて出力を監視するテストベンチを構築し、制約付きランダムな刺激生成と機能カバレッジの測定を組み合わせて、どこまで試したかを管理する。
蒸気圧が高く水への溶解度が低い化合物の総称である。米国環境保護庁(EPA)は発生源として、塗料・ラッカー、塗料剥離剤、洗浄用品、農薬、建材および室内装備、複写機やプリンタなどの事務機器に加え、工業用溶剤、燃料添加剤、水処理の塩素化で生じる副生成物を挙げている。多くのVOCは屋外より屋内で濃度が高い。
組成・プロセス・組織・特性の関係を通常とは逆向きにたどる材料設計の考え方である。既知の材料から特性を予測する順方向の手法に対し、必要な特性を先に指定し、それを満たす組成や結晶構造を生成する。生成深層学習では潜在空間の構成、生成手法、特性制約の与え方が要素技術となる。
γ-アミノ酪酸を内因性リガンドとするリガンド依存性の陰イオンチャネルで、中枢神経系の抑制性シナプス伝達を担う。4回膜貫通型サブユニットの五量体として構成され、多くのサブタイプはα・β・γの3種を含み、γとαのサブユニット界面がベンゾジアゼピン結合部位を形成する。
一辺10cmの立方体を1単位(1U)とする超小型衛星の規格。単位を積み重ねて3Uや6Uなどの構成を取る。外形と放出機構が標準化されているため、部品の調達と打上げ機会の確保が容易になり、大学や小規模事業者による宇宙利用を広げた。1999年に米国の二つの大学の共同作業として始まった。
肺の微小な空気の袋に液体がたまり、血流へ十分な酸素を移せなくなる重篤な呼吸不全である。米国立心肺血液研究所(NHLBI)は、ARDSでは肺の小さな空気の袋の内部に液体がたまり、サーファクタントが壊れることで、肺が正しく空気で満たされず十分な酸素を血流へ移せなくなると説明する。別の疾患や大きな外傷によって重症の状態にある人に生じ、酸素を供給することが主たる治療である。
エージェントが動的な環境との試行錯誤的な相互作用を通じて行動を学習する枠組みである。各時点の正解は与えられず、報酬信号のみを手がかりに方策を改善する。マルコフ決定過程を理論的基盤とし、探索と活用の均衡や遅延報酬の扱いが中心的な論点となる。
天然の透水性や地下水が不足する高温岩体に、人工的に亀裂と流体経路をつくって地熱を取り出す方式。米エネルギー省は「人工的に作られた地熱」と説明している。
点光源のレーザーとピンホールを用い、焦点面から外れた光を遮ることで薄い光学切片を得る顕微鏡。Modern Pathology の報告によれば、蛍光共焦点顕微鏡は未処理の組織からヘマトキシリン・エオジン染色標本にほぼ対応する画像を得られ、術中の切除断端評価で凍結切片の代替となりうるとされる。
将来の人口・経済・技術・政策の前提を記述した社会経済シナリオ群。IPCC第6次評価報告書では、SSPと排出水準を組み合わせたSSPx-y形式のシナリオが用いられ、気候モデルの入力条件となる。企業の気候関連リスク評価でも共通の前提として使われる。
安全柵で人と隔離せず、同一の作業空間を人と共有して稼働させることを前提としたロボットシステム。ISO/TS 15066:2016が、安全適合監視停止・ハンドガイド・速度分離監視・出力および力の制限という4つの協働運転方式と、人体各部の疼痛閾値データに基づく設計指針を示した。
希釈冷凍機の内部のような極低温の環境で動作させるCMOS集積回路である。量子ビットを室温の制御装置と1本ずつ配線する構成は規模を大きくできないため、制御回路そのものを冷凍機の中へ入れて配線の本数を減らす狙いがある。QuTechとIntelは、3K(摂氏マイナス270度)で動作し、周波数多重により最大128個のスピン量子ビットを制御できるCMOS集積回路を設計・製造したとしている。
金属負極と、大気中の酸素を活物質とする空気極を電解質で結合した電池である。正極活物質をセル内に貯蔵しないため理論エネルギー密度が高く、亜鉛空気電池が最も実用化の進んだ形式である。性能は空気極で進む酸素還元反応の過電圧に律速され、触媒と電極構造が鍵となる。
金属イオンまたは金属クラスターと有機配位子が配位結合で連結した、規則的な骨格構造をもつ物質群。IUPACの2013年勧告では配位ポリマー、配位ネットワークの下位概念として位置づけられ、骨格内に潜在的な空隙を含むことが条件の一つとされる。ガスの貯蔵や分離、触媒担体への応用が研究されている。
光ファイバを用いず、大気中や宇宙空間をレーザ光で伝搬させてデータを送る通信方式である。搬送波周波数が電波より桁違いに高いため大容量化に有利だが、細いビームに起因する厳しい指向精度の要求と、大気擾乱によるビーム揺らぎへの対処が実装上の制約となる。
建物の暖房、換気、空調を担う設備の総称である。米エネルギー省は、建物の暖房と冷房に充てられるエネルギーが全エネルギー消費のおよそ35パーセントを占め、用途別で最大の割合にあたると説明する。効率の高い機器は現状では高価で普及しにくいことが課題とされ、同省は空調、給湯、冷凍の各機器について据付まで含めた総費用を10年以内に半減させることを目標に掲げている。
黒鉛(グラファイト)構造における単一の炭素層である。IUPACのGold Bookは、擬似的に無限の大きさを持つ多環芳香族炭化水素になぞらえてその性質を記述する語として定義している。同書は注記として、個々の層の反応、構造的関係、その他の性質を論じる場合にのみこの語を用いるべきであり、多層からなる構造に対して用いるべきではない(それは黒鉛として記述される)と述べている。
光導波路の上にグラフェン層を載せ、変調器・受光器・スイッチを構成する集積フォトニクス技術。電界吸収型と電界屈折型の両方の変調が可能で、10のマイナス3乗を超える電気光学的な屈折率変化が得られる。
化石燃料を原料とせずに製造するアンモニアである。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、現在のアンモニアの大半は天然ガス(72パーセント)と石炭(22パーセント)から作られ、この部門の年間排出量は二酸化炭素換算で0.5ギガトン、世界のCO2排出のおよそ1パーセントにあたる。一方で水力発電を用いた再生可能アンモニアの工業規模の製造は1920年から行われてきた。窒素肥料としての用途に加え、水素キャリアや船舶を含む燃料としての利用が見込まれている。
米国環境保護庁(EPA)の定義では、有害物質の使用または生成を削減もしくは排除するように化学製品と化学プロセスを設計すること。設計から製造、使用、廃棄までのライフサイクル全体を対象とし、廃棄物の抑制や原子効率の最大化など12の原則が示されている。
ヒドラジンなど従来の有害な推進薬に代わる、低毒性で高エネルギーの液体ロケット推進薬である。NASAホワイトサンズ試験施設は、次世代の宇宙機に向けて従来の化学推進薬に対する高性能・高効率の代替になるものと説明する。輸送と貯蔵、漏出時の除染、人の被曝に伴う費用と危険を抑えられ、取り扱いの誤りによる着火も起こしにくい。一部のものは比推力が従来の推進薬より高く、凝固点がヒドラジンより低いため推進薬の保温に要する電力も少ない。低毒性と扱いやすさにより、地上処理の期間が週単位から日単位へ短縮しうるとされる。