用語集

エンドツーエンド自動運転 E2E End-to-End Autonomous Driving
モビリティ

カメラやLiDARの生のセンサ入力から、車両の走行軌道や制御量を直接生成する自動運転の設計手法である。認識・予測・計画をモジュールごとに独立して最適化する従来のパイプラインと異なり、最終的な走行性能を目的関数として知覚から計画までを結合最適化できる点が特徴とされる。

エンボディドカーボン Embodied Carbon
環境・気候

建築物のライフサイクルのうち、材料製造と建設、部材の維持・更新、解体と廃棄処理の各段階で生じる温室効果ガス排出量の総和を指す。運用段階のエネルギー消費に伴うオペレーショナルカーボンとは区別され、省エネ性能の高い建物ほど相対的な比重が大きくなる。

AUTOSARアダプティブプラットフォーム AUTOSAR Adaptive Platform
モビリティ

車載ソフトウェアの標準化団体AUTOSARが定めるプラットフォームのひとつ。アダプティブアプリケーション向けランタイム(ARA)を実装し、サービスとクライアントを実行時に動的に結び付ける点が、静的に結合するクラシックプラットフォームと異なる。

OPC UA OPC UA OPC Unified Architecture
製造・工作機械

産業機器やシステム間でデータをやり取りするための、プラットフォーム非依存のサービス指向アーキテクチャ。従来の OPC Classic 各仕様の機能を一つの拡張可能な枠組みに統合したもので、IEC 62541 シリーズとして国際規格化されている。情報モデルにより機器の構造と意味をあわせて表現できる。

オープンRAN O-RAN Open RAN (O-RAN)
通信・ネットワーク

無線アクセスネットワークの装置間インタフェースを公開仕様とし、RAN の制御に機械学習を持ち込む取り組み。O-RAN ALLIANCE は開放性と知能化の2つを柱に掲げ、RAN Intelligent Controller と Open Fronthaul を規定する。

オプトジェネティクス Optogenetics
バイオ・創薬

Materials Today Bio 誌の総説によれば、遺伝的に規定された生体プロセスを高い空間分解能と時間分解能で操作できるようにする手法である。ミリ秒単位で神経活動を光制御した最初の実証以降、微生物由来オプシンによる興奮と抑制から、細胞内シグナル伝達、分子集合、グリア活動、神経筋機能、分散した神経回路の制御へと対象が広がったとされる。網膜を対象とする応用が、ヒトでの概念実証として最も明確な事例だと位置づけられている。

オルガノイド Organoid
バイオ・創薬

幹細胞から作られる三次元の培養体で、対応する組織の構造と機能の主要な側面を再現するものを指す。従来の二次元培養よりヒトの生理を近く反映するとされ、疾患メカニズムの解析、薬効評価、毒性評価に用いられる。患者由来のオルガノイドでは個々の患者の薬剤応答の評価も検討されている。

カーボンナノチューブ・エレクトロニクス CNT electronics Carbon Nanotube Electronics
半導体

グラフェンを丸めた筒状のナノ構造を電子素子に用いる技術領域。カイラリティ(巻き方)によって金属にも半導体にも量子ドットにもなるため、半導体型を高純度で選り分けることが素子性能の要になる。単一の抵抗やトランジスタから、論理回路、薄膜・フレキシブル素子、センサーへと応用が広がっている。

カーボンナノチューブ導線 Carbon Nanotube Yarn Conductor
素材・化学

カーボンナノチューブを紡いで糸状にした電気導体である。NASAの技術報告は、銅導体の電気抵抗と質量がいずれも電力損失に結びつくため、高導電率で軽量な導体材料を設計することが望ましいと述べる。カーボンナノチューブは構造によって金属型と半導体型に分かれ、無作為な試料では33%が金属型で、その導電率は50.7MS/mと測定されているが、両者が混在する試料全体としての導電率は約1.3MS/mにとどまる。このため同報告では、銅とカーボンナノチューブ糸を組み合わせた複合導体が扱われている。

加圧水型原子炉 PWR Pressurized Water Reactor
エネルギー・蓄電

核分裂の熱で高温にした純度の高い水を、沸騰しないよう高い圧力に保ったまま循環させ、蒸気発生器で別系統の水を蒸気に変える原子炉である。米原子力規制委員会(NRC)は、圧力鍋と同じように高い圧力で沸騰を抑えたうえで、炉心で直接沸騰させるのではなく蒸気発生器を介して蒸気をつくる設計だと説明する。生じた蒸気がタービンと発電機を回して発電する。NRCによれば、米国で運転中の原子力発電炉のおよそ3分の2がこの形式である。

外骨格ロボット Exoskeleton
ロボティクス

人が身につけて動作を補助するロボットである。Progress in Biomedical Engineering誌の総説は、装着型ロボティクス(wearable robotics)を外骨格(exoskeleton)とも呼ぶとし、人を中心に据えた支援のために数十年にわたり工学的に作られてきたと述べる。利用者が本来持つ能力を維持・向上させて自立を助ける支援技術であると同時に、リハビリテーションの新たな治療手段にもなる。剛体構造のものに加え、制御可能で柔軟な材料と構造による軟らかい外骨格(エクソスーツ)が現れている。

回折光学素子 DOE Diffractive Optical Element
センシング・光学

素子表面に形成した微細な周期構造による回折を利用して開口面内の位相分布を制御し、レーザビームの整形や多点分岐、強度の均一化を行う光学素子である。屈折レンズだけでは難しい強度分布を薄い平板で実現でき、レーザ加工や計測、露光装置の照明系などに組み込まれる。

拡散方策 Diffusion Policy
ロボティクス

ロボットの行動生成を条件付きデノイジング拡散過程として定式化した視覚運動方策の学習手法。行動分布のスコア関数の勾配を学習し、推論時に反復的に最適化することで、同じ観測に複数の妥当な行動が存在する多峰性のある分布と、高次元の行動空間を安定して扱える。

核融合 Nuclear Fusion
エネルギー・蓄電

軽い原子核どうしが結合して1個の重い原子核になり、その過程で大きなエネルギーを放出する反応である。国際原子力機関(IAEA)は、地球上でこの反応を起こすには摂氏1億度を超える温度と強い圧力が必要であり、反応は正イオンと自由に動く電子からなる高温の荷電気体すなわちプラズマの中で進むと説明する。将来の炉の燃料には水素の重い同位体である重水素と三重水素の混合が想定され、両者の原子核が衝突するとヘリウムと中性子が生じる。放出されるエネルギーは核分裂反応の4倍とされる。

核融合エネルギー増倍率 Q Fusion Energy Gain Factor
エネルギー・蓄電

核融合反応で発生した熱出力を、プラズマを加熱するために外部から投入した熱入力で割った比である。Q=1がプラズマのエネルギー損益分岐点にあたり、Qが1を超えると投入した加熱を上回るエネルギーが得られる。炉心プラズマの性能を示す代表的な指標として使われる。

ガス化 Gasification
エネルギー・蓄電

有機物や化石由来の炭素質材料を高温で、燃焼させずに量を制御した酸素または蒸気と反応させ、一酸化炭素・水素・二酸化炭素へ転換する処理。米国エネルギー省は摂氏700度を超える温度で行われるとしている。農作物残渣や都市ごみなども原料になる。

ガス拡散電極 GDE Gas diffusion electrode
エネルギー・蓄電

気体・電解液・触媒が接する三相界面を電極内部に多数形成する多孔質電極である。燃料電池や金属空気電池、水電解・CO2電解において、気体反応物を触媒近傍へ直接供給しつつ電解液の浸水を防ぐ役割を担い、触媒の活性を実デバイスの電流密度へ翻訳する部材にあたる。

仮想発電所 VPP Virtual Power Plant
エネルギー・蓄電

屋根置き太陽光、需要家側の蓄電池、電気自動車と充電器、スマートビル、可制御な産業負荷などの分散型エネルギー資源を束ね、集合体として発電所に相当する系統サービスを提供する仕組み。米エネルギー省は、電力の需給を均衡させる分散型資源の集合体と位置づけている。

画像誘導手技 IGI Image-Guided Intervention
ヘルスケアデバイス

画像を用いて器具を目標へ導きながら行う治療手技の総称である。米国立生物医学イメージング・生体工学研究所(NIBIB)は、治療手技の際に目的の標的へ到達するための誘導、ナビゲーション、組織の識別、疾患の同定にまたがるハードウェア、ソフトウェア、方法論を支援対象とし、手技の成績を改善することを目標に掲げている。疾患の性質や併存疾患などの条件によって従来は適応外とされた患者にも手技の適用を広げることも狙いに挙げられている。

カテーテルアブレーション Catheter Ablation
ヘルスケアデバイス

血管経由で心臓内に挿入したカテーテルの先端から高周波や冷凍などのエネルギーを加え、不整脈の発生源や異常な伝導路となる心筋組織を選択的に壊死させる低侵襲治療である。心房細動では、発火源となりやすい肺静脈を左房から電気的に隔離する目的で連続した伝導ブロックラインを形成する。

ガリウム系液体金属 Gallium-based liquid metal
素材・化学

ガリウムを主成分とし、室温付近で液体を保つ合金である。EGaInの融点は15.4℃、ガリンスタンは13.2℃とされ、いずれも10^6 S/m級の電気伝導率を持つ。柔軟な配線や再構成可能な回路の導体として用いられる。表面に自己制限的な酸化被膜が生じ、形状保持と電気的な障壁の両面に影響する。

カルシニューリン阻害薬 CNI Calcineurin Inhibitor
バイオ・創薬

T細胞の活性化に関与する脱リン酸化酵素カルシニューリンの働きを抑え、免疫応答を抑制する薬剤群である。既存薬はイムノフィリンと複合体を形成してから標的を阻害し、臓器移植後の拒絶反応の予防や自己免疫疾患の治療に用いられる。腎毒性が代表的な有害事象として知られる。

肝細胞増殖因子 HGF Hepatocyte Growth Factor
バイオ・創薬

間葉系細胞が分泌し、上皮細胞の増殖、運動性、形態形成を調節する多機能サイトカインである。受容体チロシンキナーゼMETに結合して作用し、血管新生や組織再生にも関与する。上皮の再生を促す性質から、創傷治癒や組織修復を狙う医薬品の候補分子として研究されている。

乾式電極製造 Dry Electrode Technology
エネルギー・蓄電

Materials 誌に掲載された総説によれば、リチウムイオン電池の電極を、溶媒を用いるスラリー塗工(湿式)によらずに製造する新興の技術である。工程は乾式混合、乾式塗工(乾式堆積)、最終電極への加圧の3段階からなり、方式は乾式スプレー堆積、溶融押出、3Dプリンティング、粉体圧縮、ポリマーのフィブリル化の5種に大別される。湿式で用いるNMP溶媒に伴う健康・環境・費用の問題を避けられる点が動機とされる。

環状アデノシン一リン酸 cAMP Cyclic Adenosine Monophosphate
バイオ・創薬

細胞内で情報を伝えるセカンドメッセンジャーとして働く低分子である。Gタンパク質共役受容体の刺激を受けたアデニル酸シクラーゼがATPから生成し、ホスホジエステラーゼが分解する。主にプロテインキナーゼAを活性化して細胞応答を引き起こし、免疫細胞の機能調節にも関わる。

慣性核融合 ICF Inertial Confinement Fusion
エネルギー・蓄電

小さな標的に短時間でエネルギーを集中させ、高エネルギー密度状態をつくって核融合を起こす方式。レーザーをX線に変換してから燃料カプセルを爆縮させる間接駆動と、カプセルへ直接照射する直接駆動がある。

間断灌漑 AWD Alternate Wetting and Drying
農業・食料

収量を落とさずに水田の灌漑用水使用量を削減する節水技術。圃場を湛水と非湛水の状態に交互に置く。

官能評価 Sensory evaluation
農業・食料

食品などの摂取によって生じる刺激に対する人の反応を測定し、品質や嗜好を評価する方法論である。目的に応じて識別型、記述型、嗜好型の試験に分けられ、訓練されたパネルまたは一般消費者パネルを用いる。パネルの選抜、訓練、校正が測定の再現性を左右する。

γδT細胞 Gamma delta T cell
バイオ・創薬

T細胞受容体としてγ鎖とδ鎖を持つT細胞。血中に多いVγ9Vδ2サブセットはブチロフィリンファミリーのBTN2A1を認識し、完全な活性化にはBTN3A1の発現を要する。

機械学習推論 Machine Learning Inference
AI基盤

学習済みのモデルに新しい入力を与え、結果を得る処理である。業界団体MLCommonsのMLPerf Inferenceベンチマークは、学習済みモデルを用いてシステムが入力を処理し結果を出す速さを測るものと説明する。評価は標準の負荷生成器が特定のパターンで推論要求を発生させ、定められた指標を測る形で行われ、single-stream、multiple-stream、server、offline の各シナリオが置かれている。ベンチマークはデータセンター、エッジ、モバイル、tiny といった配備先ごとに区分されている。