大気中のCO2を人為的に回収し、地質・陸域・海洋の貯留層または製品の中に永続的に貯留する活動の総称。発生源での排出削減とは区別される概念で、削減が困難な残余排出の相殺と、正味で負の排出を実現する経路の両方を担う。手法により貯留の耐久性と計測の難しさが異なる。
2つの異なるエピトープまたは抗原を認識するよう設計された抗体。単剤の混合では得られない機能を、2つの結合部位を1分子に連結することで実現する。
量子誤り訂正による保護を受けていない、50から数百量子ビット規模の量子計算機を指す語。Preskillが2018年の論文で提唱した。制約は量子ビット数ではなくゲート雑音にあり、雑音が結果を覆い隠すまでに実行できるゲート数は約1000程度と見積もられている。深い回路を要するアルゴリズムは動かせない。
米国国立標準技術研究所(NIST)が2023年1月26日に公開した、AIのリスク管理のための任意適用の枠組み。Govern、Map、Measure、Manage の4機能で構成され、AIの設計、開発、利用、評価の各段階に信頼性への配慮を組み込むことを目的としている。
ニッケルとチタンをほぼ等原子比で含む合金で、擬弾性(超弾性)と形状記憶挙動を示す。米国食品医薬品局のガイダンスは、これらの性質が従来材料では実現できない医療機器を可能にしたとし、ステントやガイドワイヤなどでの使用を挙げている。細い経路から挿入して体内で展開する構造をとりやすい。
ニッケル電極と水素電極を圧力容器の中に組み合わせた二次電池。NASAの技術報告によれば、60機を超える静止軌道衛星やハッブル宇宙望遠鏡の電力貯蔵に用いられ、先進設計セルは放電深度60パーセントで3万サイクルを超えても故障が生じなかった。
標的部位へ電気的または薬理学的な作用因子を直接送達し、神経活動を変化させる技術の総称。国際ニューロモジュレーション学会は、神経刺激装置が脳・脊髄・末梢神経に電極を適用する形で用いられると説明している。慢性疼痛やパーキンソン病など幅広い疾患が対象となる。
尿酸を水溶性の代謝物アラントインへ酸化する酵素で、ヒトを含む一部の霊長類はこの活性を欠く。微生物由来の組換え酵素をPEG修飾して製剤化し、標準治療に抵抗性の慢性痛風において血中の尿酸を酵素的に分解する治療に用いられるが、抗製剤抗体の形成が管理上の課題となる。
尿が意図せず失われたり漏れたりする状態である。米国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(NIDDK)は、膀胱の制御に関わる問題を、人が尿を保持したり排出したりするしかたに影響する状態と説明し、尿失禁を最も一般的な膀胱制御の問題の一つに挙げる。咳やくしゃみなどの動きが膀胱に圧力をかけて漏れる腹圧性、強い尿意に間に合わず漏れる切迫性、膀胱が空にならず残尿が多いことによる溢流性などの型が置かれている。
人間が付けた出力の順位付けから報酬モデルを学習し、それを報酬として言語モデルを強化学習で調整する手法。教師あり微調整、報酬モデルの学習、方策の更新という3段階で構成される。指示への追従性を高める後段の学習として使われ、モデルの挙動を利用者の意図に合わせる代表的な方法になっている。
身体の多くの領域に影響が及ぶ遺伝性の疾患である。特徴的な顔貌、低身長、先天性心疾患、出血傾向を示す。原因遺伝子のうち PTPN11 の変異が全症例の約半数を占め、SOS1、RAF1、RIT1 がこれに続く。これらの遺伝子はいずれも細胞の分裂と成長を制御する RAS/MAPK 経路で働くタンパク質をつくる。
発熱するチップと放熱部品の間に挟み、接触面の微細な隙間を埋めて熱の移動を助ける薄い層状の材料である。表面粗さや接触の不完全さに由来する界面熱抵抗を下げる役割を担い、電力密度が高い半導体パッケージでは放熱経路全体の性能を左右する要素になる。熱伝導率だけでなく機械的な追従性や絶縁性も設計上の条件となる。
高温物体が放つ主に赤外域の熱放射を、光起電力効果によって電力へ直接変換する方式である。可動部や作動流体を必要とせず、エミッタ温度が高いほど効率が上がる。蓄熱媒体を熱源とする系統規模の熱エネルギー貯蔵システムにおいて、放電側の発電段として研究が進む。
1つの物理的な移動通信網の上に、用途ごとに独立した論理ネットワークを構成する技術。3GPP はネットワークスライスを、特定のネットワーク能力と特性を提供し、スライス顧客の多様なサービス要件を支える論理ネットワークと定義する。無線アクセス・コア・トランスポートの各サブネットから構成され、S-NSSAI で識別される。
酸素のない環境で有機物を加熱し、蒸気・ガス・チャー(炭)へと分解する処理である。米エネルギー省(DOE)は、バイオマスの場合に摂氏500〜700度の無酸素環境で急速に加熱すると説明し、熱によってバイオマスが熱分解蒸気、ガス、チャーに分解され、チャーを除いたあとの蒸気を冷却・凝縮すると液体のバイオ原油が得られるとする。得られた液は貯蔵や取り扱いの性状を改善するため、触媒処理などによる改質を経て燃料になる。
工作機械が主軸回転や軸移動、環境温度の変化によって生じる熱変形を測定し、指令位置に反映させて加工精度を保つ技術。ISO 230-3:2020 は、環境温度変化による誤差と、主軸回転・直進軸移動・回転部品の運動に起因する熱変形を求める試験手順を定めている。
リチウムイオン電池が安全な範囲を超えて加熱された際に、発熱がさらなる発熱反応を招く連鎖反応となり、温度と内圧が急上昇してガス放出・発火・破裂に至る現象。過充電、機械的な損傷、内部短絡などが引き金となり、隣接するセルへ伝播することが設計上の焦点となる。
プラズマ加熱の大部分が、熱化したプラズマイオン同士の核融合反応でまかなわれる状態を指す。核融合で生じたエネルギーが粒子衝突を通じてイオンを加熱し、この自己加熱の出力が外部加熱を上回ったときに燃焼プラズマの領域に入る。加熱がすべて核融合でまかなわれる状態は点火と呼ばれる。
農業の作業に用いる無人航空機である。農林水産省は用途として農薬、肥料、種子、融雪剤などの散布を挙げ、センシングによるデータ取得も対象とする。航空法に基づき事前に国土交通大臣の許可・承認を受けることで、完全自動運航を含む運航が可能となる。無人マルチローターによる農薬の空中散布には安全ガイドラインが定められている。
体内に植込んだパルス発生器からリードを通じて脳深部の特定部位へ電気刺激を送る治療法。FDAが承認したシステムは、充電式または非充電式の植込み型パルス発生器、リードキットと延長キット、医師用プログラマ、患者用コントローラで構成され、審査は市販前承認(PMA)の経路をとる。
軌道上に残された使用済み衛星やロケット上段へ専用の宇宙機が接近して捕獲し、軌道から取り除く取り組み。衝突による破片の増加を抑え、軌道環境を将来の利用に耐える状態へ保つことを目的とする。接近・捕獲・軌道離脱という一連の技術は軌道上サービスと共通する部分が大きい。
大脳皮質の神経細胞が生じる電位変動を頭皮上の電極で記録する検査である。記録波形は選択された皮質領域における興奮性・抑制性シナプス後電位の同期的な加算を反映する。電極配置には国際10-20法が広く用いられ、発作性疾患の評価に不可欠な検査と位置づけられている。
システムにおける信頼の起点として暗黙に信頼される、特定の重要なセキュリティ機能を担う高信頼のハードウェア・ファームウェア・ソフトウェア部品を指す。この起点から段階的に検証を積み上げることで、ファームウェアやOSの完全性を担保する信頼の連鎖を構成する。
投影光学系の開口数(NA)を0.33から0.55へ高めたEUV露光装置の世代。ASMLによれば、EXE系ではCD 8nmが得られ、従来のNXE系に比べて1.7倍小さいトランジスタ、2.9倍のトランジスタ密度が可能になるとされる。代償として露光フィールドは半分になる。
5種類以上の元素をほぼ等原子比で含む多元系合金。配置のエントロピーが大きく、高温で固溶体相が安定化する。2004年にCantorらとYehらが提唱した。強度や耐熱性、耐食性のほか、ナノ粒子化による触媒や電極材料、生体材料への応用が調べられている。
生物に由来する原料から作られる医薬品の総称である。米食品医薬品局(FDA)生物製剤評価研究センター(CBER)は、生物学的製剤にワクチン、血液および血液成分、アレルゲン製剤、体細胞、遺伝子治療、組織、遺伝子組換えタンパク質医薬などの広い範囲が含まれると説明する。糖、タンパク質、核酸、またはそれらの複雑な組み合わせから成り、ヒト・動物・微生物に由来する細胞や組織といった生きた実体を含むこともある。
バイオマスを燃料とする施設にCO2回収・貯留(CCS)を適用する手法。バイオマスが生育の過程で吸収した炭素を地中に固定するため、系全体では大気中のCO2が減る。除去量の正当性は、原料の栽培・輸送や土地利用変化まで含めた評価に依存する点が重要である。
製品自体の養分含有量とは独立に、植物の栄養プロセスを刺激することを機能とする資材である。EUの肥料製品規則(規則(EU)2019/1009)は、養分利用効率、非生物的ストレスへの耐性、品質形質、土壌や根圏における固定された養分の可給性のいずれか一つ以上を高めることのみを目的とする製品と定義し、製品機能分類PFC 6として位置づけている。微生物または微生物の集団からなるものは微生物バイオスティミュラント(PFC 6(A))として区分される。肥料のように養分を供給するものではなく、肥料の効きを高めて施用量を減らすことを狙う点で肥料とも植物保護剤とも区別される。
生物学的な感知要素をトランスデューサに接続または一体化した装置である。他の化学センサとの決定的な違いは、受容体すなわち認識要素をもつ点にある。1987年のTurnerの記述が文献で広く採用され、1992年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が定めた電気化学バイオセンサの定義の基礎となった。医療、環境計測、食品分野で用いられる。
正常な生物学的過程、病的な過程、または曝露や治療介入に対する生物学的応答の指標として測定される、定義された特性である。FDAとNIHの合同作業部会によるBEST用語集の定義で、分子、組織学的、画像的、生理学的な特性が含まれる。一方で、その人がどう感じ、どう機能し、どれだけ生存するかを測るものはバイオマーカーには含まれない。感受性・リスク、診断、モニタリング、予後、予測、反応、安全性などの区分がある。