用語集

ブレンデッドウィングボディ BWB Blended Wing Body
モビリティ

胴体と主翼の境目をなくし、機体全体を一つの揚力面として扱う航空機の形態である。NASAはX-48の資料で、従来型の航空機と全翼機の中間であり、全翼機と三角形の胴体を組み合わせた形と説明する。抗力と重量を減らせるため、従来型の機体に比べて最大30%燃費が良くなるとされる。X-48Cでは翼端の位置を変え後部を延長して騒音を遮蔽する形態が試験された。

フロー合成 Flow Chemistry
素材・化学

原料を反応器に連続的に供給し、生成物を連続的に取り出す合成方式。原料を一括で仕込むバッチ法と対比される。中間体の単離や精製の工程を減らせ、反応空間が小さいため危険物を扱う際の事故規模も抑えられる。生産量は供給速度やカラムの並列化で調整できる。

プログラム医療機器 Software as a Medical Device (Japan)
ヘルスケアデバイス

薬機法上、単体のプログラムそのものが医療機器として規制される区分。医薬品医療機器等法の平成25年改正で導入された。厚生労働省は該当性を判断するためのガイドラインを令和3年3月31日に策定し令和5年3月31日に一部改正しており、判断事例と事例データベースも公開している。

プロテオミクス Proteomics
バイオ・創薬

タンパク質の配列・発現・構造を手がかりに、生物の中でタンパク質がどのように関係し、相互作用し、機能するかを明らかにする研究領域である。米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立トランスレーショナル科学推進センター(NCATS)の用語集はこう説明し、タンパク質およびタンパク質ライブラリの性状解析、条件ごとの発現量の違いの比較、相互作用と機能的役割の研究が含まれるとする。大規模な自動化手法とバイオインフォマティクス解析を組み合わせて進められる。

分散型エネルギー資源 DER Distributed Energy Resources
エネルギー・蓄電

配電系統の末端に分散して設置される小規模な発電・蓄電・需要側資源の総称である。屋根置き太陽光発電、蓄電池、電気自動車、需要応答に対応する機器、スマートメーターなどを含み、個別かつ集合的に制御することで配電系統の運用や柔軟性の確保に活用される。

分子接着剤型分解誘導薬 Molecular Glue Degrader
バイオ・創薬

E3ユビキチンリガーゼに結合してその基質認識を変え、本来は認識されないタンパク質を分解させる低分子。標的とE3の双方に結合する二機能性のPROTACと異なり、分子量が小さく、リガーゼ自身の構造変化を介して三者複合体を成立させる点で作用の仕方が異なる。

分布型音響センシング DAS distributed acoustic sensing
センシング・光学

1本の光ファイバ全長をセンサ配列として使う計測方式。パルス光のレイリー後方散乱の位相変化からひずみを検出し、戻り光が到達する時刻から位置を特定する。チャネル間隔は2メートル程度、計測距離は最大171キロメートルに達し、地震観測や設備監視に用いられる。

粉末床溶融結合 PBF Powder Bed Fusion
製造・工作機械

敷き詰めた粉末材料の層に高出力レーザまたは電子ビームを照射し、選択的に溶融・融合させる積層造形方式。粉末の敷設と走査を数百から数千回繰り返して立体を作る。金属積層造形で最も広く使われ、ステンレス鋼、チタン合金、ニッケル合金などが対象材料となる。

閉鎖循環式陸上養殖 RAS Recirculating aquaculture system
農業・食料

飼育水槽からの流出水を処理して再び水槽へ戻す養殖方式。機械ろ過、生物ろ過による硝化、再曝気を組み合わせて飼育水を循環利用する。FAOが示す例では所要水量が魚1kg・1日あたり0.08立方メートルで、掛け流し方式の2.4〜3.0立方メートルより大幅に少なく、水域から離れた立地でも操業できる。

ベイズ最適化 Bayesian optimization
AI基盤

1 回の評価に時間や費用がかかる目的関数を、少ない試行回数で最適化する手法である。ガウス過程回帰などで目的関数の代理モデルと不確実性を構築し、そこから定義した獲得関数によって次に評価すべき点を決めることで、探索と活用の均衡を決定理論的にとる。

閉塞性睡眠時無呼吸 OSA Obstructive Sleep Apnea
ヘルスケアデバイス

睡眠中に上気道が繰り返し塞がることで呼吸が止まる病態である。米国立心肺血液研究所(NHLBI)は、睡眠中に上気道が何度も閉塞することで起こると説明する。診断には睡眠検査が用いられる。治療しないまま放置すると、集中する、決断する、物事を記憶する、行動を制御するといった働きに支障が出ることがあり、脳卒中や心臓発作をはじめとする重篤な問題のリスクが高まるとされる。

ペニングトラップ Penning Trap
量子

強い静磁場と静電場の組み合わせにより、荷電粒子を真空中に閉じ込める装置である。高速に振動する高周波電場を用いる方式と異なり静的な場のみで閉じ込めるため、数百個規模のイオンを単一平面の二次元結晶として保持できる。量子シミュレーションや量子センシングの実験系として用いられる。

ペプチド医薬 Therapeutic Peptide
バイオ・創薬

整然と並んだアミノ酸の連なりから成る医薬品の一群であり、分子量はおおむね500〜5000ダルトンである。低分子より大きく柔軟な骨格を持つためタンパク質間相互作用の阻害に向く。一方で膜透過性が低く細胞内の標的に届きにくく、アミド結合が生体内の酵素で分解されやすいため半減期が短い。

ペロブスカイト太陽電池 PSC Perovskite solar cell
エネルギー・蓄電

ペロブスカイト結晶構造の材料を光吸収層に用いる太陽電池。塗布で成膜できるためフィルム基板上に軽量で曲げられるモジュールを作れる。NEDOの基金事業ではロール・ツー・ロール方式の量産技術開発が進み、モジュール幅を30cmから1mへ広げ、2027年に100MWの生産ラインを立ち上げる計画である。

変形性関節症 Osteoarthritis
バイオ・創薬

関節の組織が時間とともに壊れていく変性の関節疾患である。米国国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)は、関節炎のうち最も一般的な型であり高齢者に多いとし、関節の痛みと、安静や不動の後に短時間続くこわばりを典型的な症状として挙げる。侵されやすい関節は手指、膝、股関節、頸部、腰部である。進行すると軟骨、腱と靱帯、滑膜、骨、膝の半月板など関節のあらゆる部位が損なわれ、痛み、腫れ、可動域の喪失が生じる。

ホールスラスタ Hall Thruster
宇宙

円環状のチャンネルに磁場をかけてプラズマを生成し、キセノンイオンを電界で加速して推力を得る電気推進機。化学推進より排気速度が大きく推進剤の消費が少ない一方、推力は小さい。秒速10kmを超える高速ジェットを生成でき、衛星の軌道遷移や深宇宙探査の主推進に用いられる。

ポイントオブケア検査 POCT Point-of-Care Testing
ヘルスケアデバイス

検体を中央検査室へ搬送せず、患者の近くで実施する体外診断検査。米国ではCLIAに基づきwaived、中程度複雑、高度複雑の三段階に分類され、waivedに該当すると従来の臨床検査室以外の施設でも実施できるため、設置可能な施設数と実施者の要件が大きく変わる。

放射性同位体電源 RPS Radioisotope Power System
宇宙

放射性同位体の崩壊熱を用いて宇宙機の運用に必要な電力を作る原子力技術である。米航空宇宙局(NASA)は、放射性同位体電源を熱によって宇宙機を動かすための電力を生み出す原子力技術の一種と説明し、プルトニウム238の自然な放射性崩壊を熱源とすると述べている。日射、温度、荷電粒子放射線、厚い雲や塵といった条件の変化にほとんど左右されずに長期のミッションで連続して動作する点が特徴で、余剰熱は極寒環境で機器を動作させるためにも使われる。

放射性リガンド療法 RLT Radioligand Therapy
バイオ・創薬

腫瘍が発現する抗原や受容体に結合する担体分子に、キレータを介して治療用放射性核種を標識し、静脈内投与などで全身を経由して腫瘍へ集積させる核医学治療である。同じ標的分子に診断用核種を標識すれば投与前に集積を確認でき、診断と治療を一体で運用するセラノスティクスの中核をなす。

放射線遮蔽 Radiation Shielding
ヘルスケアデバイス

放射線を吸収し、電離放射線の影響から作業者や物質を保護する材料または障害物。

補助人工心臓 VAD Ventricular Assist Device
ヘルスケアデバイス

心臓の主要な血液を送り出す部屋から全身、あるいは心臓の反対側へ血液を送り出すことを助ける装置である。ポンプは体内に植え込まれ、多くの場合は体外の機器に接続される。重量0.5〜1キログラムのポンプ、その動作を制御する電子制御装置、体外に携帯する電源の3つの部分から成る。

ホスホジエステラーゼ4 PDE4 Phosphodiesterase 4
バイオ・創薬

主に炎症細胞に存在する環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの一亜科。細胞性免疫の調節に関与しうる。

ポリヒドロキシアルカン酸 PHA Polyhydroxyalkanoate
素材・化学

微生物が体内に蓄積する生分解性のポリエステル。海洋環境でも分解が進む点が、堆肥化条件を要する他の生分解性プラスチックとの違いとされる。深海底での実験では、厚さ15マイクロメートルの袋に換算した寿命が沿岸でPHBH 6日・PHB 13日、深海でPHBH 約19日・PHB 約58日と算出されている。

マイクロLED µLED MicroLED
半導体

サイズ100µm未満の無機半導体pn接合ダイオード。赤色はIII-V族、緑・青色はIII族窒化物のヘテロ構造で構成される自発光素子。

マイクログリッド Microgrid
エネルギー・蓄電

明確に定義された電気的境界の内側にある負荷と分散型エネルギー資源の集まりであり、系統に対して一つの制御可能な単位として振る舞うものである。米エネルギー省の送電網配備局はこう定義し、系統連系とアイランド(単独)運転のいずれでも動作でき、完全に系統から切り離した用途も含むとしている。系統連系時は主系統から受電も送電もでき、停電時はアイランド運転に移って内部の発電と蓄電で自らの需要家に電力を供給する。

マイクロ原子炉 Nuclear Microreactor
エネルギー・蓄電

工場で組み立てて輸送できる超小型の原子炉。米エネルギー省は熱出力1〜20MW程度で、工場製造・可搬・受動安全による自己調整の3点を特徴として挙げている。

マイクロバイオーム Microbiome
バイオ・創薬

米国国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の用語集によれば、ある特定の環境に存在する微生物(真菌・細菌・ウイルスなど)の集団を指す。ヒトでは、皮膚や消化管といった体の特定の部位に住む微生物を指して用いられることが多い。これらの微生物の集団は動的であり、運動、食事、薬剤その他の曝露といった環境要因に応じて変化する。

マイクロ流体デバイス Microfluidics
ヘルスケアデバイス

相互に接続された微小流路の網目構造によって流体を精密に制御・操作する技術および装置。体外診断、ポイントオブケア検査、オルガンオンチップ、医薬品研究などに用いられる。NISTの報告は、設計と試験方法の標準化の遅れが商用化の障壁になっていると指摘している。

マイコトキシン Mycotoxin
農業・食料

世界保健機関(WHO)によれば、特定の種類のカビ(真菌)が自然に産生する毒性化合物である。アスペルギルス属、ペニシリウム属、フザリウム属などが産生し、穀類(トウモロコシ、小麦、米、ソルガム)、ナッツ類、乾燥果実、香辛料、コーヒー豆、リンゴなどを汚染する。WHOは健康への悪影響を、急性中毒から免疫不全やがんといった長期的影響まで幅があると説明する。代表的なものにアフラトキシン、オクラトキシンA、パツリン、フモニシン、ゼアラレノン、ニバレノール/デオキシニバレノールがある。

膜蒸留 MD Membrane Distillation
環境・気候

疎水性の多孔質膜を隔てて温度差を与え、高温側で蒸発した水蒸気だけを細孔を通して透過側へ移し、凝縮させて回収する分離法。Membranes誌の総説によれば、典型的な工程は供給液の蒸発、疎水性膜の細孔を通した蒸気の移動、透過側での凝縮という3段階からなり、淡水化・不揮発性物質の除去・溶液の濃縮に用いられる。