用語集

URAT1阻害薬 URAT1 URAT1 (urate transporter 1) inhibitor
バイオ・創薬

腎近位尿細管の管腔側膜にある尿酸トランスポーターURAT1(遺伝子名SLC22A12)を阻害し、糸球体で濾過された尿酸の再吸収を抑えて尿中への排泄を促す薬剤群である。血清尿酸値を下げる尿酸排泄促進薬の主要な作用機序にあたり、尿酸産生を抑えるキサンチンオキシダーゼ阻害薬とは異なる経路で働く。

有機薄膜太陽電池 OPV Organic Photovoltaics
エネルギー・蓄電

炭素・水素・窒素・フッ素・酸素・硫黄といった一般的な有機元素からなる半導体で発電する太陽電池。米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)によれば、材料は液体の状態で扱い、剛性または柔軟な基材に噴霧・塗布できる。NRELは2021年に18.07%の変換効率を報告している。

有機フッ素化合物 PFAS Per- and polyfluoroalkyl substances
素材・化学

炭素とフッ素の結合を骨格に持つ人工の化学物質群の総称。米国EPAによれば1940年代から工業用途や消費財に使われてきた。数千種が存在し、多くが環境中でほとんど分解されず人や動物、環境に蓄積するため「forever chemicals」とも呼ばれる。飲料水や排水の規制対象になっている。

誘導キット Guidance Kit
ロボティクス

既存の無誘導爆弾に後付けし、精密誘導兵器へ転換するための装置群である。米空軍のファクトシートは統合直接攻撃弾(JDAM)を、既存の無誘導自由落下爆弾を全天候型のスマート弾に変える誘導用テイルキットと説明する。GPSの誘導制御装置と慣性航法装置を組み合わせたGPS支援INSで誘導し、GPSが使える条件では自由飛行中の半数必中界(CEP)を5m以下、GPSが使えない場合は飛行時間100秒までで30m以下とされる。有効射程は最大15マイルである。

溶融塩炉 MSR Molten Salt Reactor
エネルギー・蓄電

高温で液体になる塩を燃料または冷却材に用いる原子炉である。国際原子力機関(IAEA)は、溶融塩が大気圧のまま大量の熱エネルギーを蓄えられる点を挙げ、設計によっては固体燃料を必要とせず、その製造と処分が不要になるとする。運転温度が高いため発電効率が上がり、運転圧力が低いことで大規模な破断と冷却材喪失のリスクを下げられるとされる。高レベル放射性廃棄物の発生が少なく、複数の燃料サイクルに対応して廃棄物の燃焼炉にも増殖炉にもなり得るとされる。

溶融酸化物電解 MOE Molten Oxide Electrolysis
素材・化学

酸化物原料から液体金属を直接つくる電気冶金技術。1,538℃を超える高温で電気分解し、製鉄の炭素還元を電気で置き換えることでCO2排出を減らせる。

予知保全 Prognostics
製造・工作機械

機械の状態監視データから将来の劣化の推移を予測し、故障に至る前に保全を行う考え方。ISO 13381-1 がプログノスティクスの一般指針と要求事項を定め、正確な予測に必要なデータ、特性、プロセス、挙動を明らかにする手順と、予測手法の開発アプローチを示している。

4値パルス振幅変調 PAM4 Four-level Pulse Amplitude Modulation
半導体

4つの電圧レベルを用いて1シンボルあたり2ビットを伝送する多値パルス振幅変調方式。同じチャネル帯域で従来のNRZの2倍のデータレートを得られる一方、レベル間の判別しきい値が狭まって信号対雑音比が劣化するため、前方誤り訂正(FEC)との併用が前提となる。

ライダー LiDAR Light Detection and Ranging
センシング・光学

パルスレーザーを用いて対象までの距離を測るリモートセンシングの手法である。米国海洋大気庁は地表を調べる方法として説明している。反射光をセンサで記録して距離を求め、GPSと姿勢のデータと組み合わせて点群と呼ばれる密な標高点の集合を作る。近赤外を用いる地形用と、水を透過する緑色光を用いる水深用がある。

ライドシェア打上げ Rideshare Launch
宇宙

複数の小型衛星が1機のロケットの打上げ能力を分け合う方式。専用のディスペンサに衛星を積み重ね、同時に軌道へ投入する。1機あたりの打上げ費用が下がるため、小型衛星の事業者は専用ロケットを確保しなくても軌道に到達できる。ただし投入軌道と打上げ時期はロケット側の計画に従うことになる。

ライフサイクルアセスメント LCA Life Cycle Assessment
環境・気候

製品やサービスの原料調達から廃棄までの環境影響を定量評価する手法。ISO 14040が原則と枠組みを定め、目的および調査範囲の設定、インベントリ分析、影響評価、解釈の四段階で構成される。機能単位やシステム境界の置き方によって結果が変わる点に注意を要する。

ラジオゾンデ Radiosonde
環境・気候

気球に吊るして飛揚し、上空の気圧・気温・湿度と位置情報を測定して地上へ無線送信する使い捨ての観測装置である。高度35kmを超える高層観測を毎日決まった時刻に行い、得られたデータは数値予報モデルの入力や悪天・航空の予報に使われる。地上起点の観測網は陸上に偏るという制約もある。

ラジオミクス Radiomics
ヘルスケアデバイス

デジタル医用画像を高次元の定量データへ変換し、体系的に解析して臨床判断を支援する手法である。画像取得からセグメンテーション、特徴量抽出、データマイニングまでの工程で構成され、目視解釈を前提とする従来の読影と対比される。算出手順の標準化が臨床導入の前提となる。抽出した特徴量に機械学習を適用する。

ランダム化ベンチマーキング RB Randomized Benchmarking
量子

ランダムに選んだ量子ゲート列を長さを変えながら適用し、誤り確率が系列長に対して指数関数的に減衰する様子から平均ゲート誤り率を推定する手法である。状態準備・測定の誤差の影響を受けにくく、量子過程トモグラフィより少ない測定回数で評価できるため、装置間の性能比較に用いられる。

ランデブー・近傍運用 RPO Rendezvous and Proximity Operations
宇宙

宇宙機が目標物体に接近し、至近距離で相対位置と姿勢を保ちながら行う一連の運用を指す。遠距離の接近から近傍での相対航法、捕捉やドッキングまでを距離帯ごとの段階に分けて扱い、光学カメラやLIDARなどの相対航法センサと機上の自律航法を組み合わせて実施する。

リアリティキャプチャ Reality Capture
製造・工作機械

実環境のデジタルデータを取得し、仮想的な手段で可視化する技術。レーザースキャナと写真測量を用い、点群やメッシュの3Dデータセットを生成する。

RISC-V RISC-V Instruction Set Architecture
半導体

無償で一般に公開されているオープン標準の命令セットアーキテクチャ(ISA)。仕様、拡張、関連文書はRISC-V Internationalの会員が共同で策定・批准・維持しており、基本ISAと必要な拡張の組み合わせで構成される。批准(Ratified)後の仕様は変更されない。

リソソーム標的キメラ LYTAC Lysosome-Targeting Chimaera
バイオ・創薬

細胞外タンパク質や膜タンパク質をリソソームへ運んで分解させる二機能性分子。抗体や低分子に、CI-M6PR受容体のリガンドを結合させて作る。

リチウム硫黄電池 Li-S Lithium-sulfur battery
エネルギー・蓄電

硫黄を正極、リチウム金属を負極に用いる二次電池。硫黄の理論比エネルギーは2600Wh/kgと高く、実用目標としてセル500Wh/kgが挙げられる。実セルの記録値は441Wh/kgで、多硫化物の溶出によるシャトル効果、変換反応に伴う体積変化、リチウム負極のデンドライトが実用化の障壁になっている。

リチウムイオン電池 LIB Lithium-Ion Battery
エネルギー・蓄電

リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで充放電を行う二次電池である。東北大学多元物質科学研究所の解説によれば、正極・負極・電解質からなり、典型的な構成では正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素、電解質にリチウムイオン伝導性の有機電解液を用いる。他の二次電池に比べてエネルギー密度と起電力が高い一方、可燃性の電解液を用いるため取り扱いを誤ると発火する恐れがある。

リチウム直接抽出 DLE Direct Lithium Extraction
素材・化学

地下のかん水に溶けたリチウムを、蒸発池による濃縮工程を経ずに直接回収する技術の総称である。吸着、イオン交換、溶媒抽出などの方式があり、蒸発池方式や硬岩採掘に比べ土地の占有と水消費を抑えられる点が利点とされる。地熱かん水や油ガス田の随伴水が原料となる。

リチウム同位体分離 Lithium isotope separation
素材・化学

リチウムの安定同位体である6Liと7Liの存在比を人為的に偏らせ、目的の同位体を濃縮する技術の総称である。天然存在比は6Liが約7.5%、7Liが約92.5%とされ、6Liは中性子を吸収してトリチウムを生成するため核融合の燃料サイクルに関わる。

立方晶窒化ガリウム c-GaN Cubic Phase GaN
半導体

立方晶(閃亜鉛鉱型)構造をとる窒化ガリウム。六方晶ウルツ鉱型GaNと異なり内部電界を持たず、バンドギャップがより狭い準安定相。

リモートセンシング Remote Sensing
センシング・光学

離れた位置から反射および放射される放射を測定し、ある領域の物理的特性を検知して監視する手法である。米国地質調査所は典型的には衛星または航空機から行うものと説明する。センサは自然のエネルギーを受け取る受動型と、自らエネルギーを発して反射を測る能動型に分かれる。同一地点を繰り返し観測して変化を捉える用途に用いられる。

量子アニーリング Quantum annealing
量子

最適化問題をイジング模型の基底状態探索に置き換え、量子ゆらぎを使って解を探す計算方式。1998年に門脇忠と西森秀稔が横磁場イジング模型を用いて提案した。横磁場を時間とともに変化させる操作が、古典的な焼きなまし法で温度を下げる操作に対応する。ゲート方式の汎用量子計算機とは目的も構成も異なる。

量子誤り訂正 QEC Quantum error correction
量子

複数の物理量子ビットで1個の論理量子ビットを構成し、状態そのものを壊さずに誤りの兆候だけをスタビライザー測定で取り出して訂正する技術。代表的な表面符号は2次元配列と近接結合だけで実装でき、1操作あたり約1%までの誤り率を許容できるとされるが、論理量子ビット1個あたり多数の物理量子ビットを要する。

量子エラー緩和 QEM Quantum Error Mitigation
量子

誤り訂正が使えない段階の量子計算機から有用な情報を取り出すため、ノイズを完全に除去するのではなく、測定の工夫や後処理によって誤りの影響を小さくする一連の手法。

量子化 Quantization
AI基盤

モデルの重みや活性値を浮動小数点から低ビットの離散値に置き換えて保持・計算する手法。メモリ使用量と推論の遅延を減らせる。ビット幅を下げるほど圧縮率は上がるが精度劣化と釣り合わせる必要があり、どこをどの精度で表現するかの設計が中心的な論点になる。

量子鍵配送 QKD Quantum key distribution
量子

量子状態の輸送を伴い、離れた当事者間で共有秘密ビット列に合意する手続き。安全性の根拠は計算量の困難さではなく、量子もつれや、輸送される未知の量子状態を完全に複製あるいは測定することが不可能であるという物理法則に置かれる。ETSIのISG QKDが用語、実装セキュリティ、相互運用性の仕様を策定している。

量子センシング Quantum sensing
量子

量子系、量子的な性質、または量子現象を用いて物理量を測定する技術の総称。SQUID磁束計や原子時計が古くからの例で、近年はスピン量子ビット、捕捉イオン、磁束量子ビットが共通の基盤となっている。固体中スピンではダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)中心が最も注目され、磁場や温度などの測定に使われている。