用語集

摩擦攪拌接合 FSW Friction Stir Welding
製造・工作機械

回転する非消耗ツールを継手部に押し当て、摩擦熱で軟化した材料を加圧しながら機械的に混ぜて接合する固相接合法。ツールはショルダとピンからなり、ショルダが熱の大部分を発生させ、ピンが攪拌を担う。母材を溶融させないため、アーク溶接に伴う凝固欠陥を避けられる。

マシンビジョン Machine Vision
センシング・光学

カメラで対象の画像を取得し、特徴抽出により視覚情報をデジタルデータへ変換したうえで、判別基準に従って対象を理解し判断を下す技術。

末梢動脈疾患 PAD Peripheral Artery Disease
バイオ・創薬

アテローム性動脈硬化によるプラークの蓄積で末梢動脈の血流が減少する疾患。米国国立心肺血液研究所は、下肢型では脚と足への血流が減り、歩行で始まり安静で数分以内に治まる筋肉の痛みや脱力が典型的な症状だとしている。

マテリアルズインフォマティクス MI Materials Informatics
素材・化学

データ科学と材料科学を融合し、機械学習で物性を予測して新材料の候補を絞り込む研究領域。第一原理計算の自動化によるデータ生成、コンビナトリアル合成によるハイスループット実験、スパースモデリングによる計測データ解析を組み合わせ、計算で予測した候補を実験で検証する。

マルチコアファイバ MCF Multicore Fiber
通信・ネットワーク

1本の光ファイバ内に複数のコアを設け、それぞれを独立した光路として使うファイバ。コアやモードを多重の次元として利用する方式を空間分割多重と呼ぶ。NICT は2023年、38コア3モードのファイバと750波の波長多重を組み合わせ、毎秒22.9ペタビットの伝送を実証したと発表した。

マルチスタティックレーダ Multistatic radar
センシング・光学

送信機と受信機を空間的に分離し、複数の受信点を用いるレーダ方式である。バイスタティック配置を拡張したもので、多数の観測量とベースラインを同時に得られるため、三次元計測、単一パス干渉計測、移動目標の検出において単一機の構成にない利点を持つ。

マルチフェーズ降圧コンバータ Multiphase Buck Converter
半導体

降圧コンバータの電力段を複数並列に配置し、位相をずらして順に動作させる電源回路である。各相のリプル電流が互いに打ち消し合うため入出力のリプルが小さくなり、損失と発熱も分散する。プロセッサやAI加速器のように低電圧で大電流を要求する負荷への給電で標準的に用いられる。

慢性腎臓病 CKD Chronic Kidney Disease
バイオ・創薬

腎臓が損傷を受けているか構造に問題があり、血液を本来のようにろ過できなくなった状態である。米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)は、成人での最も多い原因を糖尿病と高血圧とし、主な危険因子として糖尿病、高血圧、心疾患、腎不全の家族歴を挙げる。検査を受けることが唯一の判別手段とされる。腎不全に至った場合は、失われた腎機能を置き換える手段として透析または移植が検討される。

水再利用 Water Reuse
環境・気候

一度使われた水を処理して別の用途へ回すことである。米環境保護庁は、水再利用を、都市下水や雨水などの排水を処理して、緑地灌漑から飲用水にいたる代替用途へ振り向けることと説明する。水源には雨水、都市下水、家庭排水、産業排水があり、用途ごとに必要な水質が異なるため、処理の程度を用途に合わせて設計する考え方が取られる。用途には製油所やデータセンターの冷却、灌漑、地下水涵養などがある。

ミリ波 FR2 Millimeter Wave (5G NR FR2)
通信・ネットワーク

5G NR で FR2 と呼ばれる周波数範囲。3GPP TR 38.817-01 は FR1 を450〜6000MHz、FR2 を24250〜52600MHz と定義する。FR2 は50〜400MHz の広いチャネル帯域幅を使え、運用はビームフォーミングを前提とする。

無収水 NRW Non-Revenue Water
環境・気候

配水システムに投入された水量と、顧客に課金された水量との差。物理損失、商業損失、無課金の正規使用水の3要素からなる。

無人航空機システム UAS Unmanned Aircraft System
モビリティ

機体の内部または機上から人が直接介入する可能性なしに運航される航空機を無人航空機という。米連邦規則集14 CFR 107.3はこう定義し、小型無人航空機を、搭載物を含む離陸時重量が55ポンド未満のものとする。小型無人航空機システムは、その機体と、国家空域系で安全かつ効率的に運航するために必要な通信リンクおよび制御構成要素などの関連要素を合わせたものを指す。

無人水上艇 USV Uncrewed Surface Vessel
ロボティクス

人が乗り組まずに水面を航行する船である。米国海洋大気庁(NOAA)海洋探査局は、海上または陸上の運用者が遠隔で操作するか、あらかじめ計画した任務を与えて実時間の人的介入を最小限にしたまま判断させる形で運用すると説明する。多くは風、太陽光、波などの再生可能エネルギーで推進と搭載機器をまかない、厳しい環境や遠隔海域でも稼働できるとされる。用途として海底・水柱・生息域の地図化、海棲哺乳類や水産資源の調査、水質・大気質の監視、海洋ごみ・油流出・違法行為の検知が挙げられている。

無人地上車両 UGV Unmanned Ground Vehicle
ロボティクス

人が搭乗せずに地上を走行する車両システムである。全米アカデミーズの報告は、センサ、計算機、ソフトウェア(知覚、航法、学習・適応、行動と技能、人とロボットの相互作用、健全性維持の各モジュールを含む)、通信、電源、および独立した任務用装備を備えた移動プラットフォームとして記述している。同報告は自律の度合いにより、遠隔操作型、半自律の先導・追従型、プラットフォーム中心の自律型、ネットワーク中心の自律型の4区分を置き、知覚・航法・計画・戦術的行動・学習と適応を自律行動の技術要素として挙げる。

メタサーフェス metasurface
センシング・光学

波長より小さい寸法の光アンテナ(ナノ構造)を平面上に配列し、その形状と配置によって光の振幅や位相を制御する平面光学素子。従来の屈折レンズが担ってきた集光などの機能を極めて薄い平板で実現でき、半導体の微細加工技術で製造できる点が特徴である。色収差の補正が主要な技術課題となる。

メタン排出モニタリング Methane Emissions Monitoring
環境・気候

石油・ガス・石炭などの設備から漏出するメタンを衛星や現地計測で把握し、排出量を推定する取り組み。メタンは産業革命以降の気温上昇の約30%に寄与しており、大気中の滞留時間が短いため、排出を抑えた効果が比較的短期間で現れる点が対策上重視されている。

mRNA医薬 mRNA mRNA therapeutics
バイオ・創薬

タンパク質の設計情報をもつメッセンジャーRNAを体内の細胞に届け、細胞自身に目的のタンパク質を作らせる医薬である。COVID-19ワクチンでは、脂質ナノ粒子がmRNAをヒト細胞へ運び、体内で作られたスパイクタンパク質に対して免疫応答が生じるとNIAIDは説明している。

MEMSミラー MEMS mirror
センシング・光学

半導体微細加工で作られた可動の微小鏡で、静電・電磁・圧電・電熱のいずれかの方式で駆動し、鏡面を傾けて光線の向きを変える。モータ駆動の回転走査機構に比べて寸法、速度、コストの面で優位にあり、LiDARをはじめとするレーザ走査光学系の走査素子として使われる。

メモリの壁 Memory Wall
AI基盤

演算性能の向上に対してメモリ帯域とインターコネクト帯域の向上が追いつかず、データ移動が全体性能を律速する状態。サーバのピーク演算性能が2年で3.0倍に伸びる一方、DRAM帯域は1.6倍、インターコネクト帯域は1.4倍にとどまるとされ、推論のサービングで特に問題となる。

毛包幹細胞 HFSC Hair Follicle Stem Cell
バイオ・創薬

毛包の周期的な再生を担う幹細胞である。毛包は保護、体温調節、感覚を担う皮膚の付属器であり、毛周期を通じて比較的安定して存在するバルジがこの幹細胞のニッチの物理的な中心となる。加齢に伴って毛包幹細胞が枯渇すると毛の密度が明確に低下し、色素形成の機能不全によって白髪が生じる。

木材プラスチック複合材 WPC Wood-Plastic Composite
素材・化学

木粉や木質繊維を熱可塑性樹脂と混ぜ合わせた複合材料である。米農務省森林局森林製品研究所(FPL)の解説によれば、木材成分は通常は粉(フラワー)または繊維の形で熱可塑性樹脂と組み合わされ、押出・射出・熱成形が可能な複合材となる。製品の木材含有率はおよそ50%で、母材にはポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルなどが用いられる。木材が熱で劣化するため、200度以下で溶融または加工できる熱可塑性樹脂に限られる。

目視外飛行 BVLOS Beyond Visual Line of Sight
モビリティ

操縦者が機体を直接目視できない範囲まで無人航空機を飛ばす運航形態。米連邦航空局(FAA)は2025年8月7日、BVLOS運航を通常の運航として位置づけるための規則案を公表した。

モジュラーオープンシステムズアプローチ MOSA Modular Open Systems Approach
製造・工作機械

システムを独立性の高いモジュールに分割し、モジュール間の主要インタフェースに公開された合意標準を用いる設計・調達の方針である。米国防総省が主要な調達計画に適用しており、競争性の確保、技術更新の迅速化、構成要素の再利用、相互運用性の向上を目的とする。

モデルルーティング LLM Routing
AI基盤

要求ごとに性能とコストの異なる複数の言語モデルから実行先を選ぶ仕組みである。強いモデルと弱いモデルへ動的に振り分けるルータを学習する研究では、応答品質を損なわずにコストを2倍以上削減できた場合があると報告されている。エージェント基盤における推論コスト最適化の主要な手段のひとつである。

モノクローナル抗体 mAb Monoclonal Antibody
バイオ・創薬

実験室で作られ、特定の標的だけを認識する免疫タンパク質。米国立がん研究所(NCI)は「特定の標的を認識するようラボで作られた免疫系のタンパク質」と説明する。がん細胞に目印を付けて免疫系に排除させるもの、T細胞をがん細胞に近づけるものなど、標的と設計に応じて働き方が異なる。

モバイルマッピングシステム MMS Mobile Mapping System
センシング・光学

レーザスキャナ、慣性計測装置、カメラを組み合わせ、移動しながら三次元点群を取得する計測システムである。位置と姿勢はSLAMで推定される。静止型の地上型レーザスキャナより高速だが、幾何精度は劣ると報告されている。工場や建設現場のデジタル化に用いられ、点群はデジタルツインの入力となる。

模倣学習 IL Imitation Learning
ロボティクス

ロボットが熟練者のデモンストレーションを直接再現することで技能を獲得する学習手法。モデル予測制御、強化学習と並ぶ基本的な制御パラダイムの一つ。

薬剤感受性試験 AST Antimicrobial Susceptibility Testing
ヘルスケアデバイス

分離した微生物が個々の抗菌薬にどれだけ感受性を持つかを調べる検査。EUCASTは臨床ブレイクポイントに基づき、微生物をS(感受性)、I(感受性・曝露量増加)、R(耐性)の3区分に分類する。

UALink UALink Ultra Accelerator Link
AI基盤

AIアクセラレータ同士を接続するためのオープンな業界標準インターコネクト。ノードやラックの内部でアクセラレータを密結合するスケールアップ領域を対象とし、異なるベンダの機器を組み合わせられることを狙う。200G世代の1.0仕様が公開されている。

UCIe UCIe Universal Chiplet Interconnect Express
半導体

パッケージ内のチップレット同士を接続するダイ・ツー・ダイ・インターコネクトのオープン規格。UCIe Consortiumはパッケージ内のチップレット間接続を定義するとしており、独自仕様に依存しないチップレットのエコシステム形成を目的に掲げている。