用語集

使用済燃料再処理 Spent Nuclear Fuel Reprocessing
エネルギー・蓄電

使用済みの原子炉燃料から核分裂性物質を取り出して再利用し、あわせて高レベル放射性廃棄物の量を減らす処理である。世界原子力協会(WNA)は、再処理の主たる目的を、使い残しのプルトニウムと、それほど差し迫っては有用でない使い残しのウランを回収して燃料サイクルを閉じることに置き、これにより元のウランからおよそ25〜30%多くのエネルギーを得られると説明する。副次的な目的として、高レベル廃棄物として処分する物量を約5分の1に減らすことを挙げる。

シリコン負極 Silicon anode
エネルギー・蓄電

リチウムイオン電池の負極活物質としてシリコンを用いる方式である。黒鉛より単位重量あたり多くの電荷を蓄えられる一方、リチウム挿入時の体積膨張が大きく電極が崩れやすいため、膨張を吸収する構造設計と炭素との複合化、被膜の安定化が実用化の鍵となる。

水素ステーション Hydrogen Refuelling Station
エネルギー・蓄電

燃料電池車などの道路車両に気体水素を充填する設備である。国際規格 ISO 19880-1:2020 は、公共・非公共の水素充填ステーションについて、安全と必要に応じた性能のための設計・設置・試運転・運用・点検・保守の最低要求事項を定めている。水素の製造・受入系統、圧縮設備、バッファ貯蔵、プレクール装置、ディスペンサが適用範囲に含まれ、極低温液体水素の供給と金属水素化物を用いる用途は除かれる。

水電解 Water Electrolysis
エネルギー・蓄電

電気を用いて水を水素と酸素に分解する工程である。米エネルギー省は、この反応は電解槽(electrolyzer)と呼ばれる装置の中で起こり、電解槽は電解質で隔てられた陽極と陰極からなると説明する。電解質の種類によって系の中を伝導するイオン種と水素が生じる仕組みが決まり、固体高分子形、アルカリ形、固体酸化物形に大別される。

ステラレータ Stellarator
エネルギー・蓄電

外部に配置した超伝導コイルだけでねじれた磁力線構造を作り出し、高温プラズマを閉じ込める磁場閉じ込め核融合装置の一形式である。プラズマ中に正味の電流を流す必要がないため原理的に定常運転が可能で、電流の急激な喪失も起きにくい。一方でコイルとプラズマの形状が三次元的に複雑になり、磁石の製造性が実用化の課題となる。

全固体電池 All-solid-state battery
エネルギー・蓄電

電解液とセパレータの代わりに固体電解質を用いる二次電池。可燃性の有機溶媒を使わないため電池パックの安全・冷却系を簡素化でき、体積エネルギー密度の向上と急速充電の実現が見込まれる。NEDOのプロジェクトでは硫化物系の中型セルサイズで450Wh/Lを実証しており、課題は固体どうしの界面の形成と維持にある。

ダイバータ Divertor
エネルギー・蓄電

トカマク型核融合装置の真空容器内に設けられ、核融合反応で生じた熱と灰を排出し、プラズマの不純物混入を抑え、周囲の壁を熱負荷と中性子負荷から保護する構造物である。ITERでは垂直ターゲットの熱流束が定常で10MW/m2、緩やかな過渡現象で20MW/m2と見積もられている。

太陽電池 PV Photovoltaic Cell
エネルギー・蓄電

光を電気に変換する半導体デバイスである。米エネルギー省エネルギー効率・再生可能エネルギー局(EERE)は、半導体が光にさらされると光のエネルギーを吸収し、それを材料中の負に帯電した粒子である電子へ渡すと説明する。得られた余分なエネルギーによって電子が材料中を電流として流れ、太陽電池表面の格子状の金属電極から取り出される。変換効率は、セルに当たった光のエネルギーに対する取り出せる電力の比で表される。シリコンが今日販売されるモジュールのおよそ95%を占める。

タンデム太陽電池 Tandem Solar Cell
エネルギー・蓄電

吸収する波長域が異なる二つ以上の光吸収層を積層し、太陽光スペクトルをより広く利用する太陽電池である。単接合セルより高い変換効率を狙える。ペロブスカイトとシリコン、ペロブスカイトとCIGS、III-V族とシリコンなど、異種材料の組合せが研究されている。

蓄熱 TES Thermal Energy Storage
エネルギー・蓄電

蓄熱媒体を加熱または冷却して熱エネルギーを貯め、後から冷暖房や発電に使う技術。顕熱、潜熱、熱化学の3方式がある。

地質学的水素 Geologic Hydrogen
エネルギー・蓄電

地下に天然に存在する水素ガス。米地質調査所(USGS)は「地球の地表下に自然に見つかる水素ガス」と定義している。工業的に製造する水素と異なり、従来の石油資源と同じように地中の岩石によって生成され、岩石中に貯留される。

地熱エネルギー Geothermal Energy
エネルギー・蓄電

地球が持つ熱に由来するエネルギーである。米エネルギー省は、地熱資源を、地下のさまざまな温度と深さに天然または人工に存在する熱水の貯留層と説明する。数フィートから数マイルの井戸を掘って蒸気や高温水を地表へ取り出し、発電、冷暖房、直接利用にあてる。発電では高温岩体と流体、そして流体が岩の間を動ける透水性が揃う場所で、天然または人工の透水性と亀裂を通して流体が熱を受け取り、井戸で汲み上げた熱を蒸気に変えてタービンを回す。

長時間エネルギー貯蔵 LDES Long-duration energy storage
エネルギー・蓄電

長時間にわたって放電を続けられる蓄電技術の総称。米国エネルギー省は10時間以上にわたり電力を供給できる貯蔵システムと定義し、数時間規模のリチウムイオン蓄電池とは別の支援区分を設けている。出力部分と貯蔵部分を分離できる構成ほど、放電時間を延ばす際の限界費用が小さくなる。

潮流発電 Tidal Stream Energy
エネルギー・蓄電

潮汐によって生じる海水の流れの運動エネルギーを取り出して発電する方式。European Marine Energy Centre の解説によれば、潮流発電装置は水中に沈めた風車におおむね相当し、水の密度が高いためブレードは小さく回転も遅いまま相応の出力が得られる。同センターは潮流エネルギー変換装置を水平軸タービン、垂直軸タービン、振動水中翼など6つの型に整理している。

定置用蓄電システム Stationary Battery Energy Storage System
エネルギー・蓄電

移動体に搭載せず据え置いて使う蓄電池システムの総称である。経済産業省資源エネルギー庁は、家庭用、業務・産業用、再エネ併設・系統用の三つに区分している。家庭用と業務・産業用は需要家側(Behind the meter)に設置される系統連系タイプで、それぞれ戸建・集合住宅向け、商業施設・産業施設・公共施設に併設される電力貯蔵システムを指す。再エネ併設・系統用は系統側(Front of meter)に設置され、系統安定化や周波数調整に使われる。再生可能エネルギーの導入拡大とレジリエンス向上の観点から市場が拡大している。

鉄空気電池 Iron-air battery
エネルギー・蓄電

鉄と空気中の酸素との可逆的な酸化還元反応を利用する二次電池である。放電時に鉄が酸素を取り込んで酸化物(さび)となり、充電時に電流を流して金属鉄へ戻す。水系の不燃性電解液と豊富な鉄を用いるため、数十時間規模の長時間放電を低コストで担う用途が想定されている。

鉄燃料 Iron Fuel
エネルギー・蓄電

鉄粉を燃焼させて熱を取り出し、生じた酸化鉄を還元して再び鉄粉に戻す循環型のエネルギー利用。Nature Reviews Materials は鉄粉を「大量のエネルギーを蓄えられ、長距離を効率よく輸送できる、きわめて有望なゼロカーボンのエネルギーキャリア」と位置づけている。

デマンドレスポンス DR Demand Response
エネルギー・蓄電

需要家が電力の使用量を減らす、または別の時間帯へ移すことで電力系統の運用に関与する仕組みである。米エネルギー省は、デマンドレスポンスを、時間帯別料金やその他の金銭的なインセンティブに応じてピーク時間帯の電力使用を削減または移行することにより、需要家が系統の運用において重要な役割を果たす機会と説明する。発電設備を増やす代わりに需要側を動かして需給を合わせる点に特徴がある。

電気二重層キャパシタ EDLC Electric Double-Layer Capacitor
エネルギー・蓄電

電極表面とそれに接する電解液との界面に形成されるイオンの吸着層を利用して電気を蓄える蓄電デバイスである。産業技術総合研究所エネルギー技術研究部門の解説によれば、電気二重層における蓄電は静電的な吸脱着に基づくもので、二次電池のような化学反応を伴わないことから、高速な充放電が可能であり、充放電を繰り返しても劣化が小さいという特徴を持つ。電極材料の設計が性能を左右する。

電池健全度 SOH State of health
エネルギー・蓄電

新品時の性能に対する現時点の性能の比で、電池の劣化度合いを表す指標。容量基準のSOH_Qと電力量基準のSOH_Eという二つの定義があり、後者は航続距離という利用者の体感に近い。パック単位の測定手順が標準化されていないため、メーカー間で値を直接比較できない点が課題とされる。

電池リサイクル Battery Recycling
エネルギー・蓄電

使用済みまたは製造工程で生じたリチウムイオン電池から材料を回収し、新しい電池の材料へ戻す一連の処理である。米国環境保護庁(EPA)は、収集と選別のあと修理・再利用の可否を評価し、次に破砕する工程を示す。破砕によってブラックマス、銅・アルミ箔、セパレータ、その他のプラスチック、鋼缶、電解液に分かれる。ブラックマスは破砕された正極と負極からなる粒状材料であり、新しい電池の正極・負極に加工できる材料を含むとされる。

動的送電容量 DLR Dynamic Line Rating
エネルギー・蓄電

送電線の熱的定格を、実際の環境条件や電線の状態に基づいて動的に決める技術と手法の総称である。米エネルギー省の2019年6月の議会報告書は、より良質で粒度の細かい実時間データを用いて電線の熱的定格をより動的に決める多様な技術と方法論を指す包括的な用語と説明する。従来の静的定格は保守的な気象条件を前提に算出されるため、風による冷却などの好条件を活かせない硬直した制約になる。技術は気象条件を測る方式と電線自体を測る方式に大別される。

トカマク Tokamak
エネルギー・蓄電

ドーナツ状の真空容器の周囲に磁気コイルを配置し、約1億5,000万℃の高温プラズマを磁場で閉じ込める核融合装置。ITERは重水素・三重水素反応により、50MWの加熱入力に対して500MWの核融合出力、すなわちエネルギー増倍率Q=10を目標に掲げている。JETの1997年の記録はQ=0.67であった。

トリチウム増殖ブランケット Tritium Breeding Blanket
エネルギー・蓄電

核融合炉の炉心を取り囲み、重水素・トリチウム反応で発生した高エネルギー中性子をリチウムに吸収させて、燃料であるトリチウムを炉内で生成する機器である。燃料の自給と発電のための熱回収を同時に担うため、核融合を実験装置から発電プラントへ移行させる上で不可欠な要素と位置づけられる。

ナトリウムイオン電池 Na-ion Sodium-ion battery
エネルギー・蓄電

リチウムイオンの代わりにナトリウムイオンを電荷担体とする二次電池。IEAによれば最新セルのエネルギー密度は最大で約175Wh/kgとLFPの205Wh/kgを下回る一方、低温特性に優れ、最新世代はマイナス40℃でも公称容量の約90%を保持する。生産能力の95%以上を中国が占める見通しである。

ニッケル水素電池 Ni-H2 Nickel-Hydrogen Battery
エネルギー・蓄電

ニッケル電極と水素電極を圧力容器の中に組み合わせた二次電池。NASAの技術報告によれば、60機を超える静止軌道衛星やハッブル宇宙望遠鏡の電力貯蔵に用いられ、先進設計セルは放電深度60パーセントで3万サイクルを超えても故障が生じなかった。

熱光起電力発電 TPV Thermophotovoltaics
エネルギー・蓄電

高温物体が放つ主に赤外域の熱放射を、光起電力効果によって電力へ直接変換する方式である。可動部や作動流体を必要とせず、エミッタ温度が高いほど効率が上がる。蓄熱媒体を熱源とする系統規模の熱エネルギー貯蔵システムにおいて、放電側の発電段として研究が進む。

熱分解 Pyrolysis
エネルギー・蓄電

酸素のない環境で有機物を加熱し、蒸気・ガス・チャー(炭)へと分解する処理である。米エネルギー省(DOE)は、バイオマスの場合に摂氏500〜700度の無酸素環境で急速に加熱すると説明し、熱によってバイオマスが熱分解蒸気、ガス、チャーに分解され、チャーを除いたあとの蒸気を冷却・凝縮すると液体のバイオ原油が得られるとする。得られた液は貯蔵や取り扱いの性状を改善するため、触媒処理などによる改質を経て燃料になる。

熱暴走 Thermal Runaway
エネルギー・蓄電

リチウムイオン電池が安全な範囲を超えて加熱された際に、発熱がさらなる発熱反応を招く連鎖反応となり、温度と内圧が急上昇してガス放出・発火・破裂に至る現象。過充電、機械的な損傷、内部短絡などが引き金となり、隣接するセルへ伝播することが設計上の焦点となる。

燃焼プラズマ Burning Plasma
エネルギー・蓄電

プラズマ加熱の大部分が、熱化したプラズマイオン同士の核融合反応でまかなわれる状態を指す。核融合で生じたエネルギーが粒子衝突を通じてイオンを加熱し、この自己加熱の出力が外部加熱を上回ったときに燃焼プラズマの領域に入る。加熱がすべて核融合でまかなわれる状態は点火と呼ばれる。