用語集

イベントベースビジョンセンサ DVS event camera / dynamic vision sensor
センシング・光学

画素ごとに対数輝度の変化を独立に監視し、変化が閾値に達した画素だけが非同期にイベントを出力するイメージセンサ。イベントはマイクロ秒分解能で時刻付けされ、ダイナミックレンジは120 dBを超える。全画素を一定周期で読み出す従来型センサとは出力形式が根本的に異なる。

映像監視システム VSS Video Surveillance System
センシング・光学

セキュリティ用途で設置する映像監視の設備群である。国際規格 IEC 62676-1-1:2013 は、セキュリティ用途に設置される映像監視システム(VSS。従来CCTVと呼ばれてきたもの)について最低要求事項を定め、推奨事項を示すと規定している。性能要求と機能要求は、顧客、該当する場合は法執行機関、および供給者の間で運用要求として合意するものとされ、設計・計画・設置・試験・運用・保守の要求事項は同規格に含まれない。

X線保安検査 Security X-ray Inspection
センシング・光学

対象を開けずにX線で内部の画像を作り、隠された脅威物や禁制品を検出する保安上の検査である。米国食品医薬品局(FDA)は、保安用途の電子製品のうちX線を放射するものについて、容器の内部を非侵入で検査して隠された脅威や禁制品を検出するための画像を作ると説明する。遮蔽した筐体の内部にX線管を収めるキャビネットX線装置は、手荷物検査、国境を越える貨物車両の検査、食品の異物検査、基板やタイヤの欠陥検査に用いられる。人を対象とする装置は別の区分として扱われる。

FMCW LiDAR FMCW frequency-modulated continuous-wave lidar
センシング・光学

周波数を直線的に掃引した連続波レーザ光を送信光と局部発振光に用い、戻り光との光ミキシングで生じるビート信号の周波数から距離を求める測距方式。コヒーレント検波によって光のドップラー周波数シフトを直接検出できるため、距離と視線方向速度を同時に取得でき、外来光への耐干渉性も高い。

回折光学素子 DOE Diffractive Optical Element
センシング・光学

素子表面に形成した微細な周期構造による回折を利用して開口面内の位相分布を制御し、レーザビームの整形や多点分岐、強度の均一化を行う光学素子である。屈折レンズだけでは難しい強度分布を薄い平板で実現でき、レーザ加工や計測、露光装置の照明系などに組み込まれる。

共焦点レーザー走査顕微鏡 CLSM Confocal Laser Scanning Microscopy
センシング・光学

点光源のレーザーとピンホールを用い、焦点面から外れた光を遮ることで薄い光学切片を得る顕微鏡。Modern Pathology の報告によれば、蛍光共焦点顕微鏡は未処理の組織からヘマトキシリン・エオジン染色標本にほぼ対応する画像を得られ、術中の切除断端評価で凍結切片の代替となりうるとされる。

原子間力顕微鏡 AFM Atomic Force Microscopy
センシング・光学

Oxford Instruments Asylum Research の解説によれば、走査型プローブ顕微鏡の一種で、鋭い探針をラスタ走査させ、原子スケールからナノスケールで材料を測定し可視化する高分解能の手法である。センサであるカンチレバーの先端が試料表面の力を受けて曲がる量をレーザーと光検出器で読み取り、ピエゾアクチュエータで探針と試料の相対位置を3次元で変える。

指向性エネルギー兵器 DEW Directed Energy Weapon
センシング・光学

集束した電磁エネルギーを目標に照射する兵器の総称で、高エネルギーレーザ、ミリ波、高出力マイクロ波が含まれる。弾薬を消費せず光速で到達し1射あたりの費用が低い一方、霧や降雨などの大気条件でビーム品質と有効射程が低下する。主に対ドローン用途で試験が進む。

視線計測 Eye Tracking
センシング・光学

人が空間内のどこを見ているかを推定する技術である。代表的な方式は、赤外光による角膜反射像(グリント)と瞳孔の位置関係から視線方向を求めるもので、グリントの個数と配置が推定精度に影響する。装着型機器や医療用光学機器への組み込みが進み、消費電力と処理をどこで行うかが実装上の制約となる。

受動的音響モニタリング PAM Passive Acoustic Monitoring
センシング・光学

自ら音波を発することなく、ハイドロホンで水中の音を記録し、音源の存在や種類を推定する観測手法である。NOAAは海底に係留する固定型記録器やグライダー、漂流ブイなどを用い、長期の音響データを収集していると説明している。自ら音を出さないため、長期の無人観測や監視用途に用いられる。

上空常時赤外監視 OPIR Overhead Persistent Infrared
センシング・光学

衛星に搭載した赤外センサによって地表や大気の熱源を継続的に監視する方式である。弾道ミサイル発射の早期警戒を主目的として発展し、米国の防衛・情報コミュニティが依存するデータ源となっている。近年は山火事の発火検知など民生用途への応用も検討されている。

垂直外部共振器面発光レーザー VECSEL Vertical External Cavity Surface Emitting Laser
センシング・光学

利得チップと外部の出力鏡で共振器を構成する面発光の半導体レーザー。半導体ディスクレーザーとも呼ばれる。強度を一定に保ったまま励起スポットと共振器モードの径を広げることで出力を素直に増やせ、回折限界に近いガウシアンビームが得られる。発振波長はバンドギャップ設計で選べる。

数値標高モデル DEM Digital Elevation Model
センシング・光学

樹木や建物などの地表構造物を除いた裸地の地形面を数値データとして表現したモデルである。航空レーザ測量や干渉合成開口レーダから生成され、地形解析、水文解析、インフラ計画、電波伝搬計算、自律移動体の地図などの基盤データとして用いられる。

赤外線サーモグラフィ IRT Infrared Thermography
センシング・光学

物体表面から放射される赤外線を検出し、温度分布を画像として捉える非接触の計測手法である。機械や電気設備の状態監視・診断への適用手順はISO 18434-1で規定され、放射率や反射見かけ温度の補正を行うことで定量的な温度評価に用いられる。電力設備の点検で可視画像と併用される。

対無人航空機システム C-UAS Counter-Unmanned Aircraft Systems
センシング・光学

無人航空機(ドローン)の脅威に対処する検知系と無力化系の総称である。検知にはレーダ、無線周波数センサ、光学センサ、音響センサが用いられ、無力化には通信の妨害、機能停止、破壊、制御の奪取などが含まれる。運用は各国の法的権限によって制約される。

単一光子アバランシェダイオード SPAD single-photon avalanche diode
センシング・光学

単一光子アバランシェダイオード(SPAD)は、降伏電圧を超える逆バイアスで動作させたフォトダイオードであり、光子1個の入射が引き起こす雪崩増倍を電気パルスとして検出する。雪崩の立ち上がりはピコ秒オーダーで、光子の到達時刻を精密に測定できる。標準CMOSプロセスで作製でき、アレイ化が進んでいる。

短波赤外イメージセンサ SWIR short-wave infrared image sensor
センシング・光学

シリコンが感度を持たない1000 nmより長い波長域を撮像するイメージセンサ。InGaAsを受光層に用いた素子が代表的で、InP基板上に形成した受光層をインジウムバンプで読み出し回路に接合する構造をとる。専用の製造工程を要するため解像度に制約があり高価である。

地中レーダ GPR Ground Penetrating Radar
センシング・光学

米国環境保護庁(EPA)は、選択した中心周波数の電波パルスを地中へ送信して地下を調べる物理探査手法と説明する。送信機と受信機を一定の間隔で組にして用い、25〜1,500MHzの周波数が使われる。電磁的性質が十分に異なる境界で一部のエネルギーが反射し、残りは伝搬を続ける。多くの地下環境では誘電率の差が反射の主因であり、誘電率は含水率に強く左右される。信号減衰は導電率が支配するため、導電率の低い材料ほど適用に向く。

超伝導ナノワイヤ単一光子検出器 SNSPD Superconducting Nanowire Single-Photon Detector
センシング・光学

超伝導体の細線を臨界温度のわずかに下に保ち、光子1個の吸収によって局所的に超伝導が破れることを電圧パルスとして読み出す検出器である。米国国立標準技術研究所(NIST)は、最も高感度な単一光子検出器は超伝導体を用いると説明し、細線を絶対零度より1〜2度高い温度に保ちながら、超伝導を保てる最大電流をわずかに下回る電流を流すとしている。光子を吸収した箇所が発熱して抵抗が生じ、測定可能な電圧パルスが現れる。

デジタルマイクロミラーデバイス DMD Digital Micromirror Device
センシング・光学

独立に傾きを制御できる微小な可動ミラーを二次元格子状に多数集積したMEMS光変調素子である。各ミラーの向きを二値的に高速で切り替えて画素単位に光を空間変調し、デジタルリソグラフィ、構造化照明による三次元計測、光造形、光スイッチ、分光などに用いられる。

テラヘルツ波 THz terahertz wave
センシング・光学

おおむね0.1〜10 THz、波長3 mm〜0.03 mmの電磁波で、電子的に生成されるマイクロ波と赤外線の中間に位置する。光子エネルギーが低く非電離性である。多くの非導電性材料を透過する一方、水などの極性液体には強く吸収されるため、非破壊検査や厚さ計測に用いられる。

ナノフォトニックカラースプリッタ Nanophotonic Colour Splitter
センシング・光学

吸収で色を選り分ける従来のカラーフィルタの代わりに、ナノ構造で入射光を波長ごとに各画素へ振り分けるイメージセンサ用の光学素子。ベイヤー配列のカラーフィルタは原理上、白色光のエネルギー利用効率が約3分の1に制限される。

バイオセンサ Biosensor
センシング・光学

生物学的な感知要素をトランスデューサに接続または一体化した装置である。他の化学センサとの決定的な違いは、受容体すなわち認識要素をもつ点にある。1987年のTurnerの記述が文献で広く採用され、1992年に国際純正・応用化学連合(IUPAC)が定めた電気化学バイオセンサの定義の基礎となった。医療、環境計測、食品分野で用いられる。

ハイパースペクトルイメージング HSI hyperspectral imaging
センシング・光学

電磁スペクトルの一部を、狭い波長幅のバンドで数百に分割して撮像する手法。空間2次元に波長方向を加えたデータキューブが得られ、各画素が連続に近いスペクトルを持つ。可視の色情報では判別できない材質、含水率、化学組成の差を分光的に識別でき、衛星観測から産業検査まで応用が広がる。

薄膜ニオブ酸リチウム TFLN Thin-Film Lithium Niobate
センシング・光学

絶縁層の上に薄いニオブ酸リチウム層を設けた集積フォトニクス基盤。CMOS互換の低電圧、超広帯域、低損失を同時に満たす電気光学変調器を作れる。

光干渉断層撮影 OCT optical coherence tomography
センシング・光学

広帯域光源の低コヒーレンス干渉を利用して、対象内部の反射位置を深さ方向に分解し断層像を得る計測法。軸方向分解能は光源のコヒーレンス長で決まり、中心波長880 nm・帯域幅40 nmの条件では眼内で約7マイクロメートルとなる。眼科診断が最大の応用分野である。

光周波数コム optical frequency comb
センシング・光学

モード同期によって等間隔に並んだ多数の周波数成分を生成する特殊なレーザ光源。光の周波数に対する定規として働き、赤外から紫外までの光周波数を電子回路で扱えるマイクロ波帯の信号に結び付けて、高速かつ正確に測定できる。光時計や精密分光の基盤技術である。

光データストレージ Optical Data Storage
センシング・光学

レーザー光を用いて媒体にデータを記録し読み出す記憶方式である。Light: Science & Applications誌の総説は、レーザー光で二値データを蓄えるコンパクトディスク(CD)の発明をデジタル情報技術の大きな節目のひとつに位置づけている。同総説によれば、今日のデータ保存とアーカイブはハードディスクや磁気テープなど磁気記録が主流だが、容量・消費電力・寿命に制約があり、ナノフォトニクスを用いて光メモリの容量を大幅に高める研究が進められている。

飛行時間測距 ToF time-of-flight ranging
センシング・光学

光源から出た光が対象で反射して戻るまでの時間を測って距離を求める方式。飛行時間を1回の計測で直接測る直接ToF(dToF)と、変調光の位相差から距離を導く間接ToF(iToF)に大別される。方式によって必要な受光素子、得られる空間分解能、背景光への対処が異なる。

分布型音響センシング DAS distributed acoustic sensing
センシング・光学

1本の光ファイバ全長をセンサ配列として使う計測方式。パルス光のレイリー後方散乱の位相変化からひずみを検出し、戻り光が到達する時刻から位置を特定する。チャネル間隔は2メートル程度、計測距離は最大171キロメートルに達し、地震観測や設備監視に用いられる。