デトネーションと呼ばれる超音速の燃焼現象によって推力を生み出す点で、従来のロケットエンジンと異なる推進方式である。NASAマーシャル宇宙飛行センターの試験機は、平均燃焼室圧力622 psiで4,000ポンドを超える推力を約1分間発生させた。従来の推進系より少ない推進剤で大きな出力が得られるとされ、月や火星へ向かう有人着陸機や惑星間航行機への適用が想定されている。燃焼器にはNASAが開発した銅合金GRCop-42を粉末床溶融結合で成形したものが用いられた。
宇宙機との間でテレメトリ、追跡、コマンドの受け渡しを行う地上設備である。NASAの小型衛星技術動向報告によれば、地上セグメントは衛星から利用者へ情報を届けるために用いる地上側の要素全体を指し、地上局のほか、複数の地上要素を結ぶ地上ネットワーク、運用を管理する管制センター、利用者側の端末からなる。アンテナは高利得のパラボラが主で、S帯、X帯、Ka帯に対応する。地球低軌道や静止軌道からの受信はS帯とX帯が中心で、深宇宙ではX帯とKa帯が用いられる。
折り畳んで打ち上げ、大気圏突入前に膨張させて大きな空力面をつくる減速・熱防護装置。NASAは極超音速インフレータブル空力減速装置(HIAD)として開発しており、柔軟な熱防護材と膨張式の構造からなる。
宇宙空間への安全なアクセス、軌道上での衝突防止、安全な帰還・再突入までを対象とする管理の枠組み。国連宇宙空間平和利用委員会の技術発表資料では、宇宙環境の持続可能性と保全を目的として位置づけられている。宇宙状況把握で得た情報をもとに運用者間の行動を調整する層にあたる。
宇宙環境、特に軌道上および地上のインフラに対する危険について、適時かつ正確な情報・データ・サービスを提供する取り組み。
軌道上で太陽エネルギーを集め、地上へ伝送して電力系統に供給する構想である。欧州宇宙機関(ESA)のSOLARIS計画のFAQは、宇宙太陽光発電が原子力・水力・石炭・ガスの発電所と同様に、連続的で安定したベースロード(非間欠)電源を電力系統へ供給しうると説明している。エネルギー変換の各段階で損失が生じるため、衛星のパネルに入射した電力のおよそ10〜15%を系統へ届けることが目標として置かれている。
複数の衛星を一つのシステムとして協調動作させる構成を指す。軌道高度、傾斜角、軌道面の数と面内の位相差といった配置設計により、観測の再訪頻度、通信のカバレッジや遅延といった性能が決まる。代表的な配置方式にWalker deltaとWalker starがあり、階層型や複数軌道併用型も用いられる。
人工衛星のうちミッション機器を除いた共通基盤部分。構造、電源、姿勢制御、熱制御、通信、データ処理、推進などの系をまとめ、搭載機器を保持して電力と機械的・熱的に安定した環境を供給する。同じバスを複数のミッションへ転用し、開発費と検証工数を抑える設計が一般的である。
技術の成熟度を1から9までの9段階で表す指標である。NASAの定義では、基礎原理の確認にあたるTRL1から、概念実証、プロトタイプ製作、実運用環境での実証を経て、実際のミッションで運用実績を得たTRL9までを区分する。研究開発の進捗把握と資源配分の判断に用いられる。
軌道上にある宇宙機へ別の宇宙機が接近し、寿命の延長や燃料の補給、搭載機器の更新、軌道の変更などを行う事業領域。打ち上げ済み資産の運用期間を延ばし、後から機能を追加することを狙う。燃料を使い切った通信衛星に取り付いて軌道制御を代行する用途で、運用事業者の関心が高い。
打上げ後の宇宙機に軌道上で推進薬を補給する技術である。NASAは軌道上サービスの機能として、打上げ後の衛星に燃料を補給し、修理し、機器を更新することを挙げており、燃料枯渇による運用終了を避けて運用期間を延ばす手段と位置づけている。燃料デポやサービス機を前提とした軌道上インフラの構成要素にあたる。
一辺10cmの立方体を1単位(1U)とする超小型衛星の規格。単位を積み重ねて3Uや6Uなどの構成を取る。外形と放出機構が標準化されているため、部品の調達と打上げ機会の確保が容易になり、大学や小規模事業者による宇宙利用を広げた。1999年に米国の二つの大学の共同作業として始まった。
ヒドラジンなど従来の有害な推進薬に代わる、低毒性で高エネルギーの液体ロケット推進薬である。NASAホワイトサンズ試験施設は、次世代の宇宙機に向けて従来の化学推進薬に対する高性能・高効率の代替になるものと説明する。輸送と貯蔵、漏出時の除染、人の被曝に伴う費用と危険を抑えられ、取り扱いの誤りによる着火も起こしにくい。一部のものは比推力が従来の推進薬より高く、凝固点がヒドラジンより低いため推進薬の保温に要する電力も少ない。低毒性と扱いやすさにより、地上処理の期間が週単位から日単位へ短縮しうるとされる。
月や火星など目的地にある物質を採取・加工し、推進剤や酸素、水、建設資材を現地で作る技術。地球からの補給に頼らずに活動を続けることを目的とし、探査ミッションの輸送量と費用を大きく左右する。月やその周辺の水氷、二酸化炭素が主体の火星大気が主要な原料として想定されている。
移動しながら電波を送受信し、その信号処理によって実際のアンテナ寸法を超える分解能を得るレーダ。自ら電波を出すため夜間でも観測でき、マイクロ波の波長帯によっては雲や雨の影響も受けにくい。分解能と観測幅はトレードオフの関係にあり、災害対応や地表の継続監視に使われる。
燃料と酸化剤をあらかじめ混合し固体の推進薬グレインとして成形したロケット推進装置である。可動部が少なく短時間で着火でき、外部の酸素を必要としないため真空中でも動作する。一方で比推力は液体推進系に劣り、飛行中に推力を絞る操作が難しい。推力の時間変化はグレインの形状で設計する。
打上げ後に機体または第1段を回収し、整備して繰り返し使うロケット。使い捨て方式では毎回失われる構造とエンジンを再利用することで、打上げ費用の低減と打上げ頻度の向上を狙う。経済性は再使用回数と整備に要する期間に左右される。垂直離着陸方式による飛行実証が各国で進んでいる。
空間光通信の端末が相手局へビームを向け、走査して捕らえ、通信中その方向を保ち続けるための一連の機構と制御である。レーザビームが細いために必要となり、粗指向のジンバルと精指向の高速可動ミラーで構成される。リンク確立までの遅延と端末の体積・質量を左右する。
低軌道に民間事業者が所有・運用する有人の宇宙ステーション。NASAは2030年に運用期限を迎える国際宇宙ステーション(ISS)から商業宇宙ステーションへ移行する計画を掲げ、段階的な方式で設計・開発・実証を支援している。NASAは施設を保有せず、他の顧客とともにサービスを購入する立場に回る。低軌道での有人プラットフォームが途切れることを避け、微小重力研究の継続と費用の低減を狙う。
赤道上空の高度35,786kmを、地球の自転と同じ周期で回る円軌道。地上から見た衛星の位置がほとんど動かないため、追尾機構のない固定アンテナで連続的に通信や観測ができる。投入には静止トランスファ軌道を経由することが多い。通信放送衛星と気象衛星が長く使ってきた代表的な軌道である。
防護対象の衛星とカタログ上の宇宙物体との接近を予測し、リスクを評価して必要なら回避する作業。NASAはスクリーニング、リスク評価、リスク低減の3段階と定めている。
衛星の軌道面と太陽方向の関係が年間を通じてほぼ一定に保たれる地球周回軌道。衛星が赤道を横切るときの地上の地方太陽時が常に同じになるため、地表に当たる太陽光の角度がそろい、異なる時期に撮影した画像を直接比較できる。高度に応じた軌道傾斜角を選ぶ必要があり、極域付近を通る逆行軌道になる。光学地球観測衛星の標準的な軌道である。
液体ロケットエンジンの動力サイクルの一つで、プリバーナで推進剤を燃焼させてターボポンプのタービンを駆動し、その燃焼ガスをさらに主燃焼室で燃やす方式である。燃料リッチと酸化剤リッチのプリバーナを併用する全流量式は、タービン温度を下げやすく再使用性に効くとされる。
低軌道と静止軌道の間に位置する地球周回軌道の総称で、通常はヴァン・アレン帯より上に取られる。一機あたりの地表可視範囲が広く全球被覆に必要な機数が少ない一方、放射線環境が厳しい。測位衛星が代表的な利用者で、近年は通信コンステレーションの配置先としても使われる。
地表からおよそ高度2000km以下の領域を回る軌道である。欧州宇宙機関(ESA)の解説によれば下限は地表から約180kmで、この領域の衛星は地球に対して秒速およそ7.8kmで飛び、1周におよそ90分を要する。地表に近いぶん高い分解能の撮像が得られ、国際宇宙ステーションもこの高度帯に置かれるため飛行士の往来がしやすい。通信・観測・測位の衛星は、途切れない地球規模のカバレッジを得るためにこの高度でコンステレーションを組むことが多い。
導電性の推進剤から静電的にイオンを引き出して加速する電気推進。NASAの小型宇宙機技術の現状報告は、この方式を含むエレクトロスプレー推進の推力を10〜120マイクロニュートン、比推力を500〜5000秒の範囲としている。インジウムを固体で貯蔵し加熱して使う方式もある。
電気エネルギーを用いて推進剤を加速し推力を得る宇宙機の推進方式である。NASAの小型宇宙機技術の現状報告は、方式によって比推力が異なるとし、レジストジェット、エレクトロスプレー、イオンエンジン、パルスプラズマ・真空アークスラスタ、ホールスラスタを区分として挙げている。推力はマイクロニュートンからミリニュートン程度と小さいが、化学推進より高い比推力が得られる。
軌道上に残された使用済み衛星やロケット上段へ専用の宇宙機が接近して捕獲し、軌道から取り除く取り組み。衝突による破片の増加を抑え、軌道環境を将来の利用に耐える状態へ保つことを目的とする。接近・捕獲・軌道離脱という一連の技術は軌道上サービスと共通する部分が大きい。
推進剤の一方を固体、もう一方を液体として別々に保持するロケット推進方式である。NASAの技術報告は、固体の炭化水素系燃料と液体酸化剤を組み合わせ、燃料表面を流れる酸化剤によって燃焼が進む方式と説明する。燃料と酸化剤が密に混ざらず燃焼が拡散律速であるため爆発しないとされ、推力が酸化剤の流量に比例するためスロットリングができる。比推力は固体ロケットモータより10〜15%高いとされている。
衛星どうしをレーザ光で結ぶ通信方式。電波より広い帯域を使えるため大容量の伝送に向く。低軌道の衛星が取得した観測データを静止軌道の中継衛星を経由して地上へ届ける用途などに使われ、地上局の可視時間による制約を緩和できる。通信端末には精密な捕捉追尾と指向が求められる。